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丹後100kmウルトラマラソン2024(前編)
丹後100kmウルトラマラソンを走ってきました。
本来なら、もう数年後かな……とぼんやり考えていた噂の灼熱の丹後。
私にとって(というか全ランナーにとってだが)めちゃくちゃハードルの高い季節のウルトラマラソンでしたが、鼻息荒くエントリーしていた6月の飛騨高山(2回目の100kmチャレンジ)がお仕事で走れなくなって鬱々としていたところ、うっかり宿の空きが見つかり、ならもうこの際いっちゃうか!?!?おお!?!?と勢いでエントリー。あわわ。
とはいえ、こうでもしなけりゃなんやかんや言い訳して、ずるずる先延ばしにしてたかもしれないので、これはこれでいい機会だったかな。1回はやっとかないと関西勢が許してくれなそうな雰囲気だし。
そして、この身をもって体感した丹後は、例年より日差しの面では多少恵まれた天候だったものの、案の定、がっつりしっかりその洗礼を受け、ぼっろぼろのへっろへろに叩きのめされましたです……暑さやばい。
こいつは聞きしにまさるやべーやつだった。
あれやね。コースの行程差の面で飛騨高山の方が難易度高い扱いされているけど、断然丹後の方がきっっっっっついやんけ!!
毎年喜んで参加してる人たち、アタマおかしすんごいな……。
だいたいの大会において、「走ってよかった!また走りたい!」と感想を述べるお花畑脳ですが、今回は某LINEグループに「二度と走りたくない!!!」と断言。
吾輩は!二度と走りたくないでござる!!!
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【コースマップ】
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最高地点の標高だけで言えば、碇高原がようやく400mに達しますが、この標高だけでは決して想像することのできない過酷さがこの大会にはあります。
山陰海岸の地形が織りなす起伏にとんだこのコースでは、何度も続くアップダウンがランナーから体力を奪います。
わかるわぁ……この身をもって体感したわぁ……。
なんというか、80km以降のアップダウンが、飛騨高山より断然やべーの。
心をバッキバキにへし折ってくるの。
ぴえんなの。
【スタートまで】
ホテルを2時50分出発だよ、ということで、1時30分に起床。
今回、自宅から現地まではご近所さんの車に乗せてってもらえるし、その他の皆さんとホテルも一緒だし、スタート&ゴールへの送迎もしていただける、ということで至れり尽くせりおんぶに抱っこのありがた仕様で参加させていただきました。四方八方に五体投地礼!
なお、車を出せない場合は、公式ツアーが断然便利だしお値段も良心的だそうです。
起床時間はまだ真夜中で、腹もいまいちすいてないが、おにぎり1個、カップ味噌汁、前日に道の駅で購入したシフォンケーキをもそもそ食べ、経口補水液をちびちび補給。
スタート地点に送り届けていただいたのは、3時15分くらい。
私は4:35スタートの第4ウェーブなので、まだ1時間以上余裕がある。
ということで、荷物の準備をしたり、なんとなく集まってきた方々と喋ったりしながら楽しく過ごす。
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外に座って喋っているだけなのに、うっすら汗ばんで体がベタベタになってきたので、思ったより気温も湿度も高いことを悟る。
うーん……じっとしているだけで汗ばむんだから、走り出したらすぐ滝汗になるんだろうなぁ……。気休めに、塩タブレットをバリバリ食べる。
4時過ぎに荷物を預けて、仮設トイレへ。
女子トイレは4~5名程度の待ちで、これ以上列が長くなる気配はなかった。
時間差でどんどんスタートする方々を見送りながら、4時35分に私もスタート。
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【0~10kmまで(1:06:50): 記憶にございません】
スタート時刻はまだ日が昇る前で真っ暗。
晴れていれば満天の星が綺麗だよー、と聞いて楽しみにしていたが、雲がかかっているらしく上を見上げてもノースター(しょんぼり)。
まあいいまあいい。曇ってる方が今後の展開的にはありがたい。
とはいえ、蒸し蒸しまとわりつく空気に、すぐにだーっと汗が噴き出す。
どうひっくり返ったって後半ぶっ潰れること確定なので、とにかく少しでも長時間動き続けられるように、序盤は丁寧な生活で走ろう、と念仏のように唱えながら進む(この丁寧な生活、夏場にTJARをSNSで追っかけてた時に、何百キロも山越え谷越えしている選手の方々が、折々、とても律儀に足裏のケアをしながら進んでいたのを見て、丁寧な生活すごい!!といたく感じ入ったことに起因する。あんな過酷なレースをぼろっぼろになって走り切ってるのに、いや、走り切るがためゆえの、細部のコンディショニングに関しては超丁寧な生活が必要……私も、それ、やるです……!!)。
蒸し暑いとはいえ、まだ日の出前なのでキロ6分そこそこは出せそうだけど、絶対に絶対にキロ6分半より速くならないようにゆっくりゆっくり、丁寧な生活(走り方)を心がける。
ぽつりぽつりとある外灯と、周囲の何人かのヘッドランプのおかげで真っ暗というほどではないが、視界は悪く、時折、地面に足をこする音も聞こえてくるので、腰につけていたライトを手持ちにして、足元を確認しながら慎重に進む。
おかげで、この区間、周囲を見る余裕はなく(見ても暗いし)、どこをどんなふうに走っていたか、まったく記憶にございません……。
翌日、明るい時間帯に車でコースをなぞるように走っていただいたのだが、その際にけっこうアップダウンがあることに気づいてびびった。
なるほど、走っててまったく感じなかったけど、これ、じわじわ体力削られるやつだー……。このせいもあって、突っ込んだ人は早々に打ちあがってるんだな……とんだ罠だな。
記憶にあるのは、1回目の給水(網野駅)でカップに入れてもらった水が変な味で、「あれ?私、1年前にカップ洗い忘れてカビ生えてたかな???(雑な生活!)」と思って一口で飲むのをやめたのと、11.6kmの橘浄化センターでは水がなくなって長蛇の列になっていたこと。
序盤は人がまだ詰まっているにもかかわらず、水分補給は必須なのでエイドが混みがちになっていた。下手したら水がない場合もあるので、500mL程度の水の携帯はしておいた方がいいっぽい。
結局、16.2kmの大エイド(くみはまSANKAIKAN)までは手持ちの薄めたポカリで乗り切った。
あと、後日、他の人も最初の水は塩素味だった、と言っていたのでカビじゃなくてよかった……。丁寧な生活に心から憧れる雑な人間。
【10~20kmまで(1:13:34): 明るくなってきた!】
15kmを過ぎると徐々に周囲が明るくなってきて、気分も明るくなってきた。
やはり、足元を気にしながら暗闇を走るのはストレスがたまる。
あと、スタート時よりも日の出付近の時間帯の方が、湿度がましになってきた気がする(まあ走ってる以上、汗だくであることに変わりはないが)。
10km過ぎから、トイレに行きたいなぁと思いながら走っていたのだが、ここまでの小エイドのトイレは男女一緒で大行列だったのでスルーし、くみはまSANKAIKAN(16.2km)の建物内の常設トイレにIN。
思惑通り、女性はガラガラでトイレもきれいだし快適。
(この大会、通常の大会と比較しても女性の割合がえらい少なくて、トイレ事情がめちゃくちゃ有利だった)
ちょっとトラブルがあったので、トイレに5分くらい要してしまったが、まあ序盤も序盤なので特に気にしない。
ただ、トイレロスで、スタートからここまでずっと背中をストーキングしていたHさんを失ってしまってちょっとさびしいな。。。またどっかで追いつけないかな。
このあたり、風光明媚な久美浜湾をぐるっと回るのですが、以前、旅行に来た際に久美浜湾一周してみたいなぁ(徒歩で)と思っていたので、念願がかなってうれしい。
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明るいし、景色もいいし、道も平坦だし、疲れてないし、本大会で唯一、とても楽しく走れたゾーン。
【20~30kmまで(1:09:04): いろいろランデブー】
20km過ぎの久美浜公園で、コースの傍らに見知った顔を見つけて大喜びする。
60kmに参加予定のYさんと、応援のMさんだ!わーい!
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被っていたハットが汗で濡れて徐々に重く垂れさがってきて、周りの声がよく聞こえないので、ここから先、応援の方々に会うたびに脱ぐ羽目になり、かつエイドでもかぶり水のために脱ぐので、トータルの着脱がすごい回数になって面倒だった。日差しはしっかり遮ってくれるし細かい工夫もあるいいハットなのだけど、濡れると重いのでロング走には若干不向きだな……(今回初使用)。
特に、この日は直射日光は少なかったので、キャップも持ってきていたらそちらを選んだのに、と少し後悔。
ちなみに、この日のウェアは、せめて少しでも見た目的に涼しく……とブルー系で統一。Tシャツの生地が割としっかりしているので暑いかな、と心配していたが、厚さ故にリュックでの擦れがほとんどなくて結果オーライだった。これに+白のアームカバーを持っていて、日が刺したらつけて曇ったら外す、を何回か繰り返す。丁寧な生活。ふふーん(得意気)。
序盤はテンション上がった海もだんだん見慣れてきたので、しばし淡々と走っていると、前方遠~くに黄色いTシャツがちらちら見え始めた。あ、あれはちょっと前に大エイドで置き去られたHさんだな……よし、まだまだ遠いけど、あれをターゲットにしてじわじわ追いつくか……と虎視眈々と狙っていると、突然、Hさんと私の間に、もう1つ黄色いTシャツが出現。その後、爆走。速い。
ほほう……あれは、Mさんを守護するかっこいい騎士(ナイト)としての職務をまっとうする(はずだが、頻繁に飛び込むトイレで置き去られた)Sさんだな。爆走してるってことは、トイレですっきりして、Mさんを追っかけ中なうなんだな。
あれに着いていったら死亡遊戯だけど、Mさんと合流したらそのうち追いつけるかな~、と楽しみが1つ増える。
こちらも丁寧な生活を営んでおり、追いつくためにペースアップはできないので、なんやかんやそれなりの時間がたった後にようやく接近。
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第一関門の海山園(29.5km)に向かう坂で、黄色いぐわぁモン3体ゲットだぜ!
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【30~40kmまで(1:11:20): 峠攻略!】
大エイドの海山園(29.5km)でわちゃわちゃしている間に、せっかく捕まえたぐわぁモン達とは散り散りになってしまった(たぶん、私のエイド滞在時間が短くて先行)。
今回は完走に自信がなかったので、とにかく前に進むための時間を長くしおようと、意図的にエイド滞在時間を短くしてみた。
・エイドギリギリまで走り続ける(歩かない)
・エイドに入る前にやることを決めておく(食べ物をとるか、水orスポーツドリンクを何杯飲むか、ボトルの水を入れ替えるか)
・絶対やることも決めておく(水をかぶる、氷をもらう)
・多くてもやることは5つなので、指折り数えて、終わったらすぐエイドを出る
特に、飲み物は基本スポドリ、食べ物は果物、とある程度決めておいたので、迷う時間と脳内メモリが節約できてよかった。
逆に、みんなが言ってるへしこおにぎりとか、がちゃまんとかの名物は、視界から外れてて目にした覚えもない……くそう。
まあいいまあいい、どうせ見たとしても私は食べたらあかんやつだし、みかんとブドウがとても美味いので無問題。みかんとブドウない時は、バナナ美味い。もぐもぐ。
35kmからは前半の山場である七竜峠。
前日、車でコースの確認をさせていただいたのだが、正直、車だと長さの感覚はつかめても斜度の感覚はつかみにくかったので、走れるかな……、と不安だった。
実際は、それなりに傾斜がきつい部分があり、もちろん歩き走り交じりにはなるものの、70~100歩走って50歩歩く、のペースは最後まで崩さずにクリアすることができたので、思ったほどタイムロスにはならず、後で確認してびっくりした(一番斜度がきつい35kmラップで8:24/km、その他は6分台)。
やはり歩き交じりであったとしても、ベタ歩きにならん方が絶対にいいなぁ(まあ、それが継続できるのは、それなりにイキがいい時に限られるが)
なんだかんだでHPは使い果たさずに七竜峠クリア!ばんざい!
七竜峠のてっぺんから見た日本海は絶景だった。
【40~50kmまで(1:15:23): 昼ドラ疑惑】
七竜峠を上り切ったあたりで、海山園エイド(29.5km)で置き去りにしたSさんに逆捕獲される。
お、おお……あれ、本日、命を懸けて守るはずのMさんはどこに置いてきたんすか?ナイトの職務放棄っすか?さっきお見かけした時は、まだお元気そうだったので、第一関門でリタイアしたとは思えないんですけど……と怪訝な顔で問うてみたところ、「足がなくなって歩くことにしたけど、顔は元気そうだからオレは先に行くことにした」そうで。
なるほど、戦略的バディ解散なんですね。
では、ここからは、軽快に爆走してもろて……(早よ行け)
と、先を促すも、なぜか私の鈍足ペースでジョグりはじめる。
思ったより蒸し暑くて先が思いやられる、とか、車で通りがかったTさんがこの先で応援しているがもしかしたらサプライズ応援もあるかも、とかいろいろ雑談してくれて、めちゃくちゃ気が紛れて有難いが、傍から見たら、糟糠の妻であるMさんをあっさり放り出して、周囲をうろちょろしていた新手の女に乗り換えた図に見えないこともなくね?
爆裂昼ドラ疑惑じゃね?
もうすぐお知り合いが待っててくれるはずだけど、この尻軽がー!ってどやされるんじゃね???
……といらん心配をしてたらやっぱり出会った瞬間突っ込まれててワロタ。
汗まみれで異臭まき散らしながら誘惑に成功した魔性の女爆誕。むふー。
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峠のちょっと先の、42.195km地点通過は約5時間。
七竜峠を下ってしばらくは誘惑したSさんと前後しながら走る。
ずーっと喋っているわけではないが、なんとなく知ってる人が近くにいると気がまぎれてよいなぁ……と思っていたら、到着した浅茂川漁港(43.9km)で「ちょっとマッサージしてもらってくるわ!」とあっさりバディを解消され、若い男子に乗り換えられた。くそう……この尻軽め……。
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手汗がひどく、手ぬぐいも汗でびしょびしょになっていたので、スマホの画面が反応せず、接待画像をかろうじて撮影した後、以降の写真は断念。
ビニール袋とかに入れた乾いた状態の手ぬぐいも確保しておくべきだな。
浅茂川漁港エイドを出てから、丹後王国前エイド(51.2km)までの道のりは、日差しを遮るものはなにもなくてクソ暑いし(ちょうど雲の切れ目だった)、車道沿いで景色は単調だし、まだ半分にも到達してないのに地味に疲れてくるしで、なかなかのダレダレゾーンだった。
後編に続く。