◆シャント手術術前説明①◆

*過去の自分のブログの転載です。

🍀🍀🍀

執刀医のS先生から聞いたシャント手術の説明。

まずは健康な心臓と娘の心臓の違いから。

主治医のY先生からも担当医のN先生からも聞いた説明ではあるが、執刀医のS先生が一番詳しく話してくれた。

通常、全身をめぐってきた酸素の少ない血液(絵的にいうと青い血液)は右心房(右房)→右心室(右室)→肺動脈を通り肺へ流れる。

肺で酸素を取り込んだ血液(赤い血液)は左心房(左房)→左心室(左室)→大動脈を通りまた全身に流れる。

右心房と左心房を隔てる壁を『心房中隔』、右心室と左心室を隔てる壁を『心室中隔』という。

血液の逆流を防ぐために右心房と右心室の間には『三尖弁』が、左心房と左心室の間には『僧帽弁』がある。

同じく逆流防止のために右心室と肺動脈の間には『肺動脈弁』、左心室と大動脈の間には『大動脈弁』がある。

娘ちゃんの心臓は肺動脈が閉鎖しているため、青い血液は右心房→右心室で行き場を失い逆流し、心房中隔に開いている孔(卵円孔)を通り左心房→左心室→大動脈を通って全身を廻る。

これだけだと肺に血液が流れず青い血液だけが全身を廻ることになってしまい、命に関わる。

その時に活躍するのが『動脈管』。

動脈管は大動脈と肺動脈を繋いでおり、左心房→左心室→大動脈と流れてきた青い血液は動脈管を通って一部が肺動脈→肺に流れて赤い血液になり、肺→左心房→左心室→大動脈→全身へと流れていく。

正常な心臓ならば本来は赤い血液だけが全身を廻るのだが、娘の場合は左心房で赤い血液と青い血液が混じりあって全身を廻ることになり、その結果『低酸素血症(チアノーゼ)』が出る。

さらに娘ちゃんの心臓で問題なのは『類洞交通』。
(今回の手術説明書には『冠動脈-右室交通』と書かれていた。)

『冠動脈』とは心臓そのものを動かすために必要な血管。

左心室から大動脈に出たすぐのところから枝分かれして、『右冠動脈』と『左冠動脈』に分かれている。

娘ちゃんの場合この右冠動脈の途中が2ヶ所ほど右心室と繋がっている。

まだはっきりとはしていないが、どうやら左冠動脈からも右心室に繋がっているようだ。

本来であれば全身に血液を送るポンプである左心室は圧力が高く、肺だけに血液を送ればいい右心室は圧力が低い。

だが娘ちゃんの場合、行き場のない右心室の圧力がかなり高くなっており、青い血液が右心室側からも冠動脈に向かって流れている。

そのため右冠動脈は右心室と大動脈の間で血液が行ったり来たりしていて、かなり太くなっている。
(N先生がエコーで見せてくれたが、通常1mm程度のところが娘は8mmもあった。)

さらには先日の心カテで見たところ、冠動脈と右心室が交通している少し先で、冠動脈が細くなっている箇所があるようだ。

これから先、ここが原因で血管が詰まりこれより先に血液が流れなくなる可能性がないとも言えない。

どうするのが娘ちゃんのためにいいのか、この点においては内科と外科で話し合っても現段階では答えが出ない。

娘ちゃんの心臓は右室が使えるかどうかでゴールが変わる。

右室が使えるなら『2心室修復術』、右室が使えないなら『1心室修復術』で『フォンタン手術』と言うものに進む。

『2心室修復術』は閉鎖している肺動脈を開通させて、健康な心臓と同じ血液の流れにするもの。

話だけ聞くと出来るならこの方が良さそうだが、娘ちゃんの場合は冠動脈がネックとなる。

肺動脈を開通させると右室の圧力が下がるため、現在大動脈-右室間で行き来している冠動脈の血液が大動脈から右室に流れ込む一方通行になる。

そうなると冠動脈が細くなっている箇所から先に血液が流れなくなり、心筋梗塞を起こす危険性がある。

危険を伴う『2心室修復術』ならば、『1心室修復術』の方が良いと考えている。

冠動脈と右室が交通している箇所は心臓の筋肉を貫いているため、今後どうなるか想像がつかず、もしかしたら塞がる可能性がないとも言えない。

そのため結論は急がずに今回は『シャント』のみを行い、退院し外来に通って経過を見て今後のことは決めていく。

🍀

長くなったので②へ続く。


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