私が世界を救うまで 第10話
【滅びの木】
「私のおかぁさんは強すぎるために孤独だったの。隠しているつもりでいるけど、私は知っているの。
いっぱい人を殺して、たくさんの街を焼き払った。
でも、それは世界の平和のため。
さっきあなたを倒そうとしたのもそのひとつ。
あなた、私以外には危険なんでしょ?」
なおも手は止めない。
なでなでなでなで。
「がぁあっ!
手が焼けただれてく"、やめ"ろ」
危険生物に痛みなどないが、なぜか嫌がり、振り払おうとした。
ユーンは撫でる手を止めない。
「手なんてあとで治療したらいい。今はそれより大事なことがあるから。
物事には理由があるわ。
あなたがここに来た理由は?わかる?」
「な"ん"かすげー戦車がここの空から流れ星とかってのに"見せかけてす"て"た"
みんな、ぉ、オレをすてる。前の時も前の時も。」
「そう。きっと地上に降りる時間がなかったんだわ。
時間の逆算がへたなのね。
ふふ…
でも、流れ星から生まれたみたいで素敵とも言える。
そうだ!
あなたに名前を付けるわ!
やっぱり呼びづらいものね。
ヒカリ。光る星として落ちて、ここにきたあなたにはピッタリよ!」
危険生物はたぶん初めて名前を付けられた。
今まで近寄れたのはエンシェントドラゴンだけで、彼らは戦い、殺すしかしなかった。
「ね、気づいてる?
最初よりスムーズに話せてきていること。
私が撫でているからで、名前をつけて呼んだらもっと話せたらいいなー…なんて。
ね、ヒカリ。」
ユーンがヒカリと名を呼んだその時、異変が起きた。
ヒカリの体が地球で言うところの猫の形になった。
黒毛が艶やかでとても綺麗だ。
危険生物の面影は目しかない。綺麗なオッドアイが残り、二足歩行で人間の言葉を話す猫の獣人のようだ。
<邪神完全降臨>
「?!」「?!」グル?!
【天界】
「おや?
此度の邪神は少々可愛らしい姿になりましたね。
まぁ、それでもつよいんでしょうけども……ドラゴンと小さな少女しかいない世界では今までと違い、防ぎきることはできないでしょうねぇ…」
「意識干渉はこのため?
背負うはずの運命ごと変えるためだったのか……」
呼ばれるはずの勇者はユーンとしてすでに生まれている。地球からくる勇者はいない。地球にくる勇者もいない。
ソロネだけがニコニコしていた。
To Be Continued