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私が世界を救うまで 第7話

【天界社畜課】

深淵級社畜(※エリート社畜)は足の震えが止まらなくなっていた。貧乏ゆすりでも武者震いでもなく、とてつもなく怯えていた。

上司は「しっかりと見てくださいね?」と念を押し、上層部しか普段は入ることが許されない場所へ、エリート社畜あるふぁを連れて、異世界を覗ける水晶鏡を見に来ていた。

なぜ?
こんな下っ端な僕がこんな部屋へ?
と疑問が頭をぐるぐるさせた。

ぐるついた頭でみた水晶鏡には、ユーンがホウキに乗っている姿が映しだされていた。
「ぇ、え、あの子…魔女だったんですか?地球に生まれる魂だったんですよね?
異世界に生まれたらただの人間じゃなくて魔法使いにでもなっちゃったんですか?」

「違います。
あの子は地球に人間として生まれ、たまに病気になったり恋をしたり本を読んだりするだけの平凡な人生になるとゆう星はず持っていた”はず”でした。」

はず?でした?
そんな言い方じゃあ…なんかまるで……

「ちがう星を持ってしまっていたということですか?」

上司がやっといつもの笑顔を見せてくれる。フフっと。

「さすがですね。
クリニックでの秀悦なコメント、アーカイブとやらで電話をしながら追いかけていました。
フフっ、あの元気をくれる子、いいですね♪
いい魂からでる声色でした。
あなたがクリニッククリニックと行きたがる気持ちも少しは分かりましたし、コメントを見ているとあなたが頭が良いのだとわかりました。私は見る目があった♪」

上司は、天界人で社畜課なのだ。このぐらいのマルチタスクはどぉということもない。
電話しながらLIVE枠を名前かと思われる単語から探しだし、アーカイブを聴いて、コメントもしっかり読んで追いかけただけである。
このぐらいは朝起きて白湯を飲むぐらいのレベルでしかなかった。

「転生ではないから、チート能力は持ち合わせない。と、私たちは思いましたが、これが転生ではないと言うところから間違えていました。
まっさらな魂に見せかける意識干渉をアイツはしてきたのです……」


【ユーン】

「みんなー、雨が降ってきたしウロコ具合が悪いからお迎えに行ってくるね。
この前、魔女ごっこしてたらなんでか乗れちゃったホウキで行くね!」

気をつけてね、早く帰れよなど声がかけられた。
すっかり村の一員な気がしてホクホクする。

「ホウキさんかぁちねー(可愛いね)」

ブワッ

ホウキは安定感バッチリ。
ご機嫌さんで、ユーンを乗せて彼女の行きたい方角へ進んでくれた。ユーンは母ドラゴンを想った。それだけでホウキは現代カーナビも驚くぐらい正確にそこへと最速で連れて行ってくれた。

「わぁ、なんかメラメラ〜ゴォ〜って、おかぁさんが炎を吐いてる。なんでだろ?
……まさか喧嘩?誰と?!」

グ…グル?
グルるる…!!

「ぇ?
近寄るなってなんで?!」

ん"ん"ャァァアん

「…?!
喧嘩相手は君なのね?
よいっしょっと。
人間じゃないみたいだけど…どこから来たのよ!」

母ドラゴンはユーンを思い、近寄るなと鳴いたが、聞く耳を持ってはもらえない。
危険生物はユーンに威嚇してみたが、それも華麗にスルーされ質問を投げかけられるという異常な光景が繰り広げられた。

「……待って。君、よく見たらすごく汚い。
真っ黒なのは最初からかもしれないけど、なんか……
ねちょってしそう…」

うげぇとしかめっ面をする少女。

「…に"んゲん、オレヲ、スてる。ふくしゅー」

「なんだ、話せるんだ?
汚い君は名前はあるの?なんて呼んだらいいかわからないと話がしづらいから聞かせて?」

グ……グル?
グルる??

「おかぁさん、大丈夫。危険なんかじゃない。
話せるもの。
ね、私は人間だけど、名前があるの。
ユーンって言うの。この辺に転がってる死体は君が?」

ユーンも周りに転がる死体には気づいていた。
恐れたりしないだけだった。

「おマェ、ユーン…オレはナマエない。オレばマワ"りのいの"ち…吸収"するようになっでるだけ。自然にそうなる。いつもそう。に、にんげんがオレを、俺たチをいじめたり捨てたりしたから×××……様がそうした……な、んで、お前は、近寄れ…る?」

ん"なァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ん!!



【天界社畜課】

「な、なんですか、あれ。
それに今あの化け物が口にした名前って……」

「そうですね。
しっかり聴き取れて偉いです。お見事。」

上司から盛大な拍手をもらえたと思うと、意識干渉してきたアイツと同一人物なのだと教えられた。

……座天使ソロネ
天界上層部第3位
『意志の支配者』の異名を持つ天使様の名だった。


To Be Continued


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