私が世界を救うまで 第3話
豊かだとは決して言い難い村が、そこに境界線をはさんでふたつあった。
自分たちの村の領土を広げようという争いが、最低でも2年に1回は起きていた。
繰り返される争いに嫌気が刺しながらも彼らは続けなければならなかった。
それがこの村にうまれた運命だった。
だが、半月ほど前
突如空からやってきたドラゴンと女の子により
あっさりと戦いは終結した。
最初こそ怯えてふたりに近づけなかった村人たちも
徐々にうちとけていった。
争いが止み、4大精霊に愛されているユーンがいるこのふたつの村は栄えた。
奪い合っていた領土はふたつの村で所有……
「いや、もういっそ……」と村をひとつにした。
【モッテアムゴット】という村名をユーンがウロコ占いでつけた。
そこからは
大きな争いになることはこれっぽっちもなく
小さな火種すら起きない。
ドラゴンが抑制となり、結果として起きることがないのだ。
この村に争いをしかけて来る無謀な者もちろんいなかった。
実に平和な村になったものだ。
村人たちはこんな平和がいつまでも長く続くものなのだと、ユーンと一緒に漠然と信じていた。
だが、それは世界の理が許さなかった。
ユーンが生まれるハズだった「地球」に滅亡の危機が訪れていた。
地球にも異世界転生という概念はある。
やってやれないことはない。
だが、代償が大きい。
あちらには呼ばれる運命を持った子が
ユーンの代わりに地球に生まれてしまっていたから。
異世界転生をしなければ特殊な能力やチートなチカラはない。
ただの人間では滅亡は防げない。
呼ばれずに生まれてしまった子供ではただの子供なのだ。
だが
ユーンがそのことをしることはない。
地球の滅亡を救う手は別にもあり、こちらも大きな代償を必要する。
これには少しばかりユーンに話さなければならないことがある。
ユーンが
自分の出生から数時間の出来事をしる日まであと少し。
To Be Continued