DJ話<DJ活動8年目になりました>

12月でDJを始めて8年になります。

8年って中途半端な気もするんですが、芸人8年周期説みたいなのもある中で、末端ではあるものの栄枯盛衰だったり事件だったり、色んなものを味わってきたなあ、という気持ちがあります。特に今年はコロナ禍もあり、8年間で一番人前でDJをする機会がなかった1年でした。

嫉妬から、先

これはぼくの生き方に共通していることなのですが、基本的にコンプレックスの塊なので、行動のスタートが「見返してやる」から始まることがほとんどです。それはDJにおいてもあまり変わっていませんでした。同時期にDJを始めた、あるいはもっと後に始めた友人が、次々と大きなイベントに呼ばれるようになったり、高い評価を得たり。そうした姿を見るたびにぼくはすごいなあ、という賞賛や驚嘆の気持ちと、それと同じくらいの嫉妬を感じてきました。もっと上手くなりたい。もっといいDJがしたい。一番いいDJになりたい、という気持ちです。

ですが、それに少々疲れたのが今年でした。もっといいDJになりたいとか、そういう気持ちが薄れたわけではありません。マイナスの感情から自分を前に進めるためにエネルギーを使えなくなってきた、という意味です。

今年で30歳になったことや、去年散々苦しんだ転職活動もようやく終止符を打ったこと、コロナを通じてそもそも当たり前のようにやらせていただいていたDJをする機会が貴重になってきたこともあるのかもしれません。これまで抱えていた「人よりも」「他よりも」という気持ちから「今自分にできることを全部やる」という気持ちが強くなっていくのがはっきりとわかったのが今年でした。だからこそ、出させていただいた一本一本のイベントで、その時々で自分ができる限りのDJをさせてもらった、と自負しています。おそらく、ここ何年かで一番それを思った年でした。

「できること」と「できないこと」

「できることをやる」————そんな簡単なことができなかった気がしているのは、たぶんぼくが「できないこともやる」ことにこだわっていたからなのではないかと今では思っています。

悲観的なことを言うならば、今と同じようにDJをできる時間は、それほど多く残されていないと思っています。別に悪い意味ではありませんが、これからおそらく生活の基盤や自分の役割はどんどん変わっていくことになるでしょう。自分の中でDJの優先順位が変わっていく瞬間も、そこにはあるかもしれません。「できないこと」にも手を出す余裕は、もはやない。

だからここから先は「やりたいこと」、それ以上に「できること」をやろうと思うのです。それで、お客さんが楽しんでくれることが、一番ぼくがやれることなんじゃないかな、というのが、今年1年で―—遅きに失したかもしれませんが――ぼくの出した結論のようなもの、です。

ぼくのorbital period

ぼくの好きなアルバムの中にBUMP OF CHICKENの「orbital period」という作品があります。

タイトルが示す「公転周期」とは、天体の周りを他の天体が1周するのにかかる期間を表す言葉ですが、8年かかってようやくぼくは「できることをやる」という原点に返ってこれたような気がしています。カッコつけて言うのなら、新しいスタートみたいな。

こうして考えると、少しわくわくしてくるんですよねえ。来年何できるかなー、という気持ち。なんかこんなん久しぶりやなーという気持ち。9年目になりますがこういう風に思えるから、やっぱりまだDJは続けられそうです。来年もどうなるかわかりませんが、現場でお会い出来たらうれしいです。ちょっと早いですが今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

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