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「杉田久女 全句集」を鑑賞

こんばんは。

春はあちこちで花が咲き、
気持ちが軽やかになりますね。

昼間はわが家の亀ちゃんも
活発になってきて、
嬉しく思っている、ちりです😊


さて、久しぶりに
先人の句集を読みました。

杉田久女さんの句集です。

以前、
高浜虚子さんの句集を読み、
先人の句が面白い
という記事を書きました。

そのおかげで
先人の句への抵抗がなくなり、
今は安心して読めます😌


久女さんは家庭内の問題や
先生の高浜虚子さんとの問題など
悲しい出来事も多かったようです。

が、こちらの有名な句を含め
素敵な句を多く残されています。

谺して山ほととぎすほしいまゝ
花衣ぬぐやまつはる紐いろ~ *

*踊り字が出せなかったので、表記を少し変更しています

句集にはかなりの量の句が
掲載されていましたが、
好きな五句を厳選しました。

鑑賞しつつ、ご紹介したいと思います。


姉ゐねばおとなしき子やしやぼん玉 杉田久女

きっとお姉さんがいる時は
一緒にふざけて遊んで、
笑ったり泣いたりしてるはず。

そんな時のしゃぼん玉は
きっと大きく、軽やかな虹色で、
高くどこまでも飛んでいくでしょう。

でも、今日はそのお姉さんがいません。

寂しい心から
きっとしゃぼん玉も小さく、
遠くまで飛んでいかなそうだな
と想像しました。

具体的な情景を詠んでいるので
久女さんの世界観というか個性が
自然に出ていると思いました。


西日して薄紫の干鰯 杉田久女

一読して、
色合いのとても綺麗な景だな
と思いました。

西日のオレンジ色が干鰯に当たり、
薄紫色になっているのです。

紫は赤と青を混ぜるとできる色。

それは夕日の赤/オレンジと
鰯の青々しさが混ざったのでしょう。

常識的には
鰯の灰色っぽい色が見えますが
そこを紫と見たのです。

よく観察したからこそ
見えた色だなと思いました。

そして、
こうして何気ない風景も
俳句として綺麗に詠めるのだ
という勉強になりました。


ストーヴに椅子ひきよせて読む書かな 杉田久女

暖かいストーブの前で、
ゆっくりと読書。

さっと読める雑誌ではなく
じっくり読みたい本でしょう。

それは、小説か、句集か…

「椅子ひきよせて」という表現が
写真のような切り取りというより
動画的な動きが見えてきます。

きっと静かで
ゆったりとした時間を
過ごされたのでしょうね。

現代に置き換えても
まったく古さを感じさせません。

そういう句が
良い句なのだと思いました。


魚見せて呼べど猫来ぬ寒さ哉 杉田久女

亀俳句のための猫俳句
という記事を書くほど
最近、猫俳句に興味があります。

猫らしさが出ていて、
この句も参考になります。

あまりの寒さに
大好きな魚をちらつかせても
猫が来ないという状況。

ちょっと面白いですね。

それほど寒いのでしょう。

「寒さ」という季語が
よく立っていると分かります。


野菜屑すてに出て見る星凍てし 杉田久女

野菜の屑を捨てるために
外へ出てみると
冬の星が輝いています。

冬の寒さの中にある星は
空気が澄んでいて、
とても綺麗に見えますよね。

ただ見ているのは
ゴミ捨てに出たその瞬間です。

野菜の屑なので
そこまで汚くはないものの
生ゴミと綺麗な星の対比が
斬新で面白いと思いました。

日々の生活において
綺麗なものをちらっと感じる
清い心が見えるようです。

俳句を始めると
それができるのが良いですね。


以上、好きな五句でした。

実際に読んでみて
気づいたことがあります。

それは、
ひらがなが少し多めかな
ということです。

今回の五句は
そこまで多くはありませんが、
私が漢字にする字を
久女さんはひらがなでした。

時代なのか、句の効果を狙ってか、
私と違う使い方が面白いと感じました。

ひらがなは読みやすいですし、
優しい感じもしますし、
うまく取り入れて真似したいですね。

今回も勉強になった一冊でした。

また時間を見つけて
先人の句を読もうと思います。

ここまでお読みくださった方、
ありがとうございました。

PPhoto by Kind and Curious on Unsplash

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