コナンが一番つまらない?大きくてリッチな宝を手にしたら貴方の夢は? /エンタメ・リカレント「1周回って知らない名探偵コナン」第4巻③
ジンとウォッカの登場回の次のシリーズは
4巻File7「暗号表入手」からのイタリアの強盗団のお宝を暗号解読して探すシリーズです。
8「暗号解読のABC」の冒頭でさりげなく「米花」固有名詞シリーズ第2弾として「米花公園」が登場するのも固有名詞リカレントですが、
物語はひょんなことから歩美、元太、光彦の少年探偵団(まだこの時点では命名なし)が手に入れた暗号の推理から始まります。
実はこの暗号、日本で捕まったイタリアの強盗団が隠した1万5000枚の金貨のありかを記しているのですが、さて暗号解読の正解は推理ファンに任せて、私が気になったのは少年探偵団が暗号解読を試みた際「ORO」と書かれた部分を光彦が大きくてリッチな宝「ORO」とダジャレのような推測をしたところです。(本当はイタリア語で「金」なのであながち間違っちゃいないんですけどね)
もし宝が手に入ったらという「捕らぬ狸の皮算用」になり、
元太は「世界中のうな重食べまくり」
歩美は「世界百周旅行」
光彦は「NASAからスペースシャトルを買って宇宙へ」
と子どもらしい夢を3人に語らせる青山先生の目論見は感じられましたがふと思ったのは、どれが一番コストかかるかな?ということ。
まず元太の夢。そもそも「うな重」は無いにせよ、世界中のうなぎ料理ってどれぐらいあるのか調べてみたところ想像よりはバリエーションありました。中国、ベルギー、フランス、スペイン、でも一番おいしそうなのはやはり日本のうな重のようです。
筒切りにしたうなぎを赤ワインとブイヨンで煮込むフランスはロワール地方発祥のアンギーユ(仏語でうなぎ)料理「マトロット」、スペインではうなぎの稚魚であるアングラスのアヒージョ、煮凝りのようなイギリスのうなぎ料理Jellied eels(ジェリード イールズ)、中国は福建省の切り身の揚げもの料理「注油鰻魚(ヅゥ・ユウ・マン・ユー)」などなど・・しかしどうみても食べたいランキング1位は日本の圧勝でしょうね。
世界を回ったとしても1周で十分な気がします。その分、元太には三島の「桜家」のうなぎか東京「野田岩」の鰻を食べさせてやりたいもんです。
いいところ1000万から2000万あればかなり贅沢に移動しながらグルメ三昧できそうな気がします。
さて歩美の「世界百周旅行」を試算してみましょう。こちらも100周を人生のうちで体験しようと思ったら、まあまあのペースで回らないと達成できないのですが、とりあえず妄想なので格安チケットを使って飛行機で回っただけというケチなことはいわずに豪華な船旅で考えてみましょうか。
日本最大級の豪華客船「飛鳥2」で試算してみると2021年の「バルコニーなしバスタブ付きの部屋」でおよそ1人440万からだそうです。最上クラスのロイヤルスイートだと2400万からだそう。もしああ見えて歩美がしたたかな女だったら。2400万×100回で24億円となかなかの金額をお宝とみていたのかもしれません。もし恋人や夫と二人だったらその2倍の48億円。4巻の終わりでほっぺたとはいえ、コナンに自らキスしちゃうしもしかしてうーん、歩美って実は大胆で豪快なのかも・・・です。
光彦の夢、スペースシャトルは桁違いでした。この4巻の連載の1995年の直近で打ち上げられたのが1992年に初飛行したエンデバー号なのでこれで試算すると、その製作に17億ドルから18億ドルかかっていたそうで、さらに1回の打ち上げにかかる費用が2002年の時点でも4億5000万ドル(2007年では事故後の安全対策もあり1回の飛行で約10億ドル)とのことなので約22億ドル、日本円にして当時1ドル100円ぐらいなので2200億円ということになります。しかもたった1回。光彦の夢、恐るべしです。
ちなみに作品に出てくるお宝は日本円に直すと6億円相当の金貨と作中で説明があったので、元太の夢はかなったとしても歩美や光彦の希望には全く届かないので、歩美や光彦には強盗なんぞ計画せずにぜひ自身の成功で宇宙へ旅立つ権利を手にしてほしいと思います。
さあここまでスケール広げておいてのコナンの答えはというと・・・
「ちょ貯金かな」と答えるコナン。
元太にさっそく「オメー夢ねーな」と言われて
「(悪かったな)」と心の中でつぶやくはめになります。
もし新一のままだったら、或いは質問された相手が蘭だったらもう少しましな答えだったのか気になるところですが、即座にスケールの大きい答えが貴方はできますか?と聞かれることは、意外と普段考えている「贅沢」とか「リッチ」の器と想像力が試される怖いことなのかもしれません。
今回、事件解決は筋力増強シューズも犯人追跡メガネも使わずでしたが以外なところに学びと気づきがありました。それではまた。