日本語は面倒である
妻は送り出し機関で働いている。日本へ行くための書類の準備もしている。その中でよく聞かれるのが住所の読み方やローマ字表記のしかた。
これに関しては調べないとわからない。
ありがたいことに住所は調べればすぐにわかるが、会社名などがカタカナである場合のローマ字表記については難しい。
例えば会社名で「クリーム」とあれば「KURIMU」と「KURIIMU」のどちらが正しいのか。ヘボン式ではどちらでもいいようだが、規則が多すぎるローマ字表記は日本人にとってもかなり面倒だ。
もし会社名が「Cream」であったなら、これをローマ字に変換する必要があるのかと思うと・・・。
ほかにも「町」の読みが「まち」であったり、「ちょう」であるのもこう言った場合は面倒だ。
話は変わって、
以前職場に「おおたに」さんという方がいた。その方はローマ字で名前を書くときに「OHTANI」と書いていた。ヘボン式では「OTANI」と書くのだが、おそらく読みやすさのためにそう書いていたのだと思う。長音記号を書いたからと言って、日本人でない方が長音で読めるとは限らない。
ちなみに私は「さとう」なのだが、ローマ字表記にすると「SATO」となり、日本人でなければ確実に「さと」と読む。私の娘の名前は「優(YU)」であるが、「YU」は「ゆ」になってしまう。グーグル翻訳の音声出力でもしっかり「さとゆ」と読まれる。
日本人の名前でもこのような状態なのだから、外国の方の名前はもっと大変だろう。ベトナム人の名前はそれでも簡単な方ではあると思うが、それでも長音の扱いをどうするかはかなり難しい。
例えば「Giang」という名前。これをある日本のドキュメンタリーでは「ジャン」としていた。ローマ字で書くなら「JAN」。しかし、実際には「ザーン」と聞こえる。これをローマ字表記するなら「ZAN」になる。
「HẮNG」という名前については、このままローマ字表記するなら「HAN」となり、「ハン」と読む。しかし、厳密に表記しようとすれば「Ă」の音は短く発音され、上昇の声調記号が付いているので「ハンー」と聞こえる。ローマ字表記にすれば同じであるが名前としては別物である。
ベトナム人の名前がやっかいなのはカタカナ表記すれば同じ名前が多くなることである。声調によって区別されているのだが、それがわからない外国人にとっては判別しにくい。
例を示すなら、「ハン」については「Hắng」「Hằng」「Hân」などがあり、「トゥアン」には「Tuần」「Tuấn」「Tuân」「Thuận」 、「チュン」には「Trung」「Chung」、私が知っている限りでは一番多い「フオン」には「Hương」、「Hường」、「Hưởng」、「Phương」、「Phượng」がある。
これに加えて同じ名前の人が多いので、クラスに同じ名前の学生が複数いたりする。ベトナムに来たばかりの頃は名前を覚えるのに時間がかかった。声調によってはよくない意味になってしまう名前もあるので、気をつけないといけない。
話がだいぶそれてしまったが、ローマ字表記の煩雑さにも何か意味があるのかもしれないが、それを調べる気にはならない。ただ、現行の状態がベストであるのかどうかはわからないが、面倒であることは確かだ。せめて長音記号(アルファベットの上の線、マクロン)を簡単に入力できるようにしてもらいたい。ネットには「マオリ語」に言語設定することで使えるようになるとか、いくつかの方法があるようだが、日本語入力のままでShift+何かを押すことでできるようになればいいのにと思う。