「~と申します」
名前を聞くと「私は〜と申します」と言う学習者が時々いる。恐らく「私は〜です」よりも丁寧な言い方であると思っているからだと思う。
確かにこれは間違いではない。間違いではないが多少不自然である。この「〜と申します」だけではないが、敬語を使うには適切な場面がある。
大抵の場合、「〜と申します」を使う場面は、仕事や改まった場である。歓迎会などで名前を聞かれた時に「私は〜と申します」と使われたら「硬い人だな」と思ってしまう。
使い方としては
「私はABC社で営業を担当しております内田と申します」
「先程お会いした際に申した通り今月一杯で退社致します。今まで大変お世話になりました」
「(スピーチなどで)ただいまご紹介にあずかりました。鈴木と申します」
などのように使う。
謙譲語を扱う際は単に丁寧であるということではなく、改まった場面で使うことに気をつけて指導しなければならない。
『みんなの日本語』第50課の例では、
Q:お名前はなんとおっしゃいますか。
A:林と申します。
となっている。
質問した側が尊敬語を使っているので、おそらくそれに合わせて謙譲語で答えているものと考えられる。謙譲語を使えることは大事なことではあるが、丁重語に関しては、「自分がすることを述べる」ということから過剰般化が起きやすいと思うので、学習者にもよるが本当に最低限度でいいと思う。