![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/131826583/rectangle_large_type_2_2c7712514e9d2ae9e912b79ba87f1a63.png?width=1200)
『みんなの日本語』初級:第46課「ところ」
一般的に時間的強調であるという言い方で説明されるこの「ところ」。動作や状況がまさにその時であると説明され、であるから「~なのだ」となり、暗に含みがあるというのである。
この説明は確かにそうなのだろう。わかりやすい気がする。しかし、それは日本語母語話者だから感じられることであって、言葉の「含み」は頭で理解できても、そう簡単に感じられるものはない。
A:いっしょに晩ごはんを食べませんか?
B:すみません、
1.今から晩ごはんを食べます。
2.今から晩ごはんを食べるんです(よ)。
3.今から晩ごはんを食べるところです。
4.今から晩ごはんを食べるところなんです(よ)。
この4つの違いを明確に説明できるのであろうか。学習者の立場からすると、「ところ」を使った言い方は「含み」があるということを言われても、それを感じることはできないだろう。学習者、特に初級では言語の表層しかとらえることしかできないからだ。
上の例では1と3は不自然である。初級で学習する「~から(理由)」を使っても、その不自然さは拭えない。2と4が自然に感じる言い方で、意味の違いはほぼない。「よ」を使ったほうがどちらもより自然に感じる。ここで「含み」について2のほうには「含みがない」のかと言えば、そんなことはなく「んです」によって何かしらの「含み」が感じられるであろう。
「んです」には「説明」「主張」「命令」などいくつかの用法がある。しかし、それは文脈の中で「感じられる」というものなので、その用法も「含み」を言語化したものにすぎない(この場合は「機能」と言ったほうがいいかもしれない)。そうなると2と4に明確な違いがあるとは言えない。強いて言えば4のほうが2よりも文が物理的に長いので、そこから感じられるのは「説明的である」ということや「丁寧さ」のような「含み」、「印象」である。これを学習者に伝える場合は「説明的な言い方になり、丁寧な印象を与える」と言えばいいだろうか。無論、「とこ」と縮約形の形もあるので、一概に「丁寧」であるとは言えないが。
では、この文型を使ってどのような練習が考えられるか。なかなかいい練習が思いつかないが、今回ヒントを得たのは聴解タスクの1番である。
この聴解タスクから、絵を見ながら説明をするという練習を考えた。早速あるクラスでやって見た。学生からは「難しい」という声が多かったが、私としてはクラスのレベルを考えると、思ったよりよかったと思う。
ただし、かなり時間がかかったし、何よりも一回の説明で例の通りに書いている学生がほとんどいなかった。結局一人一人に説明をするということになってしまった。
本当は内容を覚えて発表というところまでやりたかったが、そこまでの時間はなかった。イラストについても、もっとわかりやすいものにする必要があるが、授業で使ったExcelデータを参考までに添付しておく。