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国連・子どもの権利委員会、デジタル環境と子どもの権利について子ども・若者からの意見を募集

 国連・子どもの権利委員会が、現在作成中の一般的意見25号(デジタル環境との関連における子どもの権利)の草案に関して子ども・若者からの意見を募集しています。

 一般的意見25号の草案は8月中旬に公表され、すでに一般からの意見募集が開始されていました。草案の概要については、Facebookで次のように説明しておいたとおりです。

 国連・子どもの権利委員会が「デジタル環境との関連における子どもの権利」についての一般的意見25号草案(8月11日付)を公表し、意見募集を開始しました(提出期限:11月15日)。
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRC/Pages/GCChildrensRightsRelationDigitalEnvironment.aspx
 おおむね委員会の報告ガイドラインの構成に沿って、各条ごとに政府等がとるべき措置を明らかにする内容になっています。
 特徴的な点としては、4つの一般原則(差別の禁止/子どもの最善の利益/生命・生存・発達に対する権利/意見を聴かれる権利)の項目に子どもの「発達しつつある能力」(条約第5条)もあわせて掲げられ、「保護」と「子どもの自律・プライバシーの尊重」とのバランスをとる必要性が強調されている点を挙げることができます。この点は委員会も常々強調してきたことであり(たとえば、「デジタルメディアと子どもの権利」というテーマで開催された2014年の一般的討議の勧告参照)、国際的議論の基調にもなっています。
 企業セクターおよび商業広告・マーケティングの問題についても取り上げられています。子どものプライバシー権(条約第16条)をどのように保障すべきかについても、他の権利に比べて詳しい記述が行なわれています。


 子ども・若者からの意見募集を開始するにあたり、協力団体の 5Rights Foundation によって草案のチャイルドフレンドリー版(PDF)も作成されています。

 意見は以下のアンケートに回答する形で提出することができます(英語のみ)。提出期限は明記されていませんが、とりあえず一般向けと同じく11月15日と考えておいたほうがよさそうです。
https://www.surveymonkey.co.uk/r/UNCRCCOMM

 一般的意見25号にどのような内容を盛りこむべきかについては、NGO等の協力も得てすでに子どもたちの協議が複数回実施されており、草案の冒頭(パラ1)でも次のような子どもたちの声が引用されています。

〔オンラインでは〕自分の目で見て世界で重要だと思ったことを表現してる」(15歳女子・カナダ)
「学校や楽しみのためにテクノロジーは必要」(13歳男子・クロアチア)
「悲しいときには、インターネットが楽しめそうなものを見つけるのに役に立つ」(13歳男子・ブラジル)
「政府、テクノロジー企業、先生たちには、オンラインの当てにならない情報に対応する手助けをしてほしい」(ガーナの子どもグループ)
〔両親には〕私の写真をアップロードする前に許可を求めてほしい」(15歳女子・英国)
「具体的にどの会社が自分のデータを利用しているのか、もっと知りたい」(15歳男子・ポルトガル)

 委員会が最近採択した一般的意見では、このような形で子どもたちとの協議が行なわれ、そこで出された声が内容に一定程度反映されていることが多くなっています(委員会の一般的意見の日本語訳は筆者のサイトを参照)。今回は、協議に参加できない子ども・若者の声も広く募集することを試みることにしたようです。

 以前Facebookでお知らせしたとおり、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のサイトに設けられている国連・子どもの権利委員会のページには、委員会の活動等に関する子どもたち向けの情報が掲載されるようになりました(7月1日以降)。世界の子どもたちの声が委員会の活動にいっそう反映されるようになっていくことを期待します。

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平野裕二
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