国連・子どもの権利委員会、気候変動と子どもの権利に関する共同声明を発表
先日の投稿で触れておいたとおり、国連・子どもの権利委員会は、11月20日の世界子どもの日にあたり、「子どもの環境権イニシアティブ」(CERI: Children's Environmental Rights Initiative)および「人道行動における子どもの保護のための連合」(Alliance for Child Protection in Humanitarian Action)とともに、「気候行動における子どもたちの中心性」と題する共同声明を発表しました(11月19日付)。
★ The Centrality of Children in Climate Action
https://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Statements/Joint-Statement-20-11-2021.docx (Word)
この共同声明は、世界の子どもの半数近くにのぼる約10億人の子どもがきわめて高い気候危機リスクにさらされていることを明らかにしたユニセフ(国連児童基金)の報告書などを踏まえ、子どもの権利条約の締約国に対して次のことを求めるものです。
● 気候変動・気候正義に関連するすべての行動の不可欠な一環として、子どもたちとその権利が守られるようにすること。
● 子どもたちへのさらなる危害を防止する目的で、リスク要因と保護要因に対処するために資源を動員すること。
● 子ども・若者が情報にアクセスでき、かつ意味のある参加に対する権利を持てるようにすることにより、あらゆるジェンダー、能力および背景の子ども・若者の意見表明と関与を統合・強化すること。
● 子どもたちが気候変動との関連で司法および救済措置にアクセスできるようにすること。
● 将来世代のために生態系の健全性(ecosystem integrity)を保護することなどにより、すべての子ども・若者のために気候正義を促進すること。
● 気候変動・気候正義について活動している人権擁護者としての子どものために、安全でエンパワーメントにつながる環境を提供すること。
共同声明は、
「気候危機への対処は、世界の子どもたちに対する責任を問う究極の試金石となるでしょう」(Addressing the climate crisis will be the ultimate test of accountability to the world’s children )
という言葉で結ばれています。
UNDP(国連開発計画)が最近発表した大規模国際調査では、有効な気候変動対策を求める若者たちの声が世界的に高まっていることが明らかになりました(UNDP駐日代表事務所〈若者を中心とした世論が圧力となり、世界の主要経済国において意欲的な気候変動対策への気運が高まる見通し〉)。日本からも2万2,554人(うち18歳未満9,655人)が回答しています。
先日の投稿でも触れましたが、日本も、国連・子どもの権利委員会から2019年に出された勧告などを踏まえ、子どもの権利の視点に立った気候変動対策を強化していく必要があります。
なお、国際NGOである KidsRights も『気候変動、大気汚染および子どもの権利』(Climate change, air pollution and children's rights)と題する報告書を最近発表しており、現状と課題が要領よくまとめられているので、あわせて参照してください。チャイルドフレンドリー版もあります。
【追記】セーブ・ザ・チルドレンが9月27日に発表した報告書『気候危機の中に生まれて:子どもの権利を守るために、なぜいま行動を起こさなければならないのか』(Born into the Climate Crisis: Why we must act now to secure children’s rights)も参照。