祈ること
最近、わたしは誰かの為に真剣に祈っただろうか、何かを願っただろうか
そんなことをぼんやり思っていた矢先、友人から電話が鳴った。「今さ、日曜美術館始まったばかりだから、観て」その要件のみで電話が切れた。
台所に立っていた手を止めて、TVの前に座る。写真家の藤原新也さんが映っていた。📷メメント・モリに出会ったのは、20代の頃。高橋歩さんの著作を経由して知った。「死を想え」とは何ぞや?どうにもわからなかった。
わたしが実際にメメント・モリを手にしたのは、仕事先で訪れた豊橋のアート系のお仕事をされている方のご自宅だった。「2冊あるからあげる」と、そのうち1冊をいただいた。本を開くと衝撃的なページがあり、そこに書かれてある言葉が目に焼き付いた。かの有名な
『ニンゲンは犬に食われるほど自由だ』
インドへ行きたいと高校生の頃から思っていた。理由は何故だか分からないけれど、妙に惹かれていた。社会人になってから、実際にインドへ行った方の話を聞くと、破茶滅茶で怯んだ。行った方がいいよ、という返しはなく「女性ひとりで行くのはやめておいた方がいいよ」というアドバイスばかり。盗難、暴行、詐欺、腹痛、レイプ、そんな話ばかり耳にした。
某会社の社長さんがインドは面白いですよ。宮殿に泊まれば大丈夫です。と教えてくれた。宮殿かぁ…
主治医と初めて会った時に言われたのが「貴女はインドへ行ってみた方がいい」という詞だった。
時はだいぶ過ぎて、わたしからインドへ行きたいという気持ちはすっかり消えていて、過去のことになっている。
話が戻る。友人から知らせを受けて観た番組を観ながら、じんわり涙が出ていた。わたしの魂みたいなところに何かが響いた。
現在巡回中の藤原新也さんの写真展があるという。テーマは『祈り』。
春からずっと、というよりここ1年くらい自分の生みだすモノに空虚感を感じている。ツマンナイのだ。躍動しないし、ピントが合わない。何かから目を逸らし、当たり障りのないところで、小さく縮こまっている。それだけ平穏なのかも知れないけれど、無駄に時だけが過ぎているような感じがするのだ。
年内に、ビューンと何処かへ行ってみたい。カチコチになってしまった何かを解して思い切り泣きたいような、笑いたいような。そんな気分。
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