「10万円」はじめて自腹を切った印刷代
<この失敗からの学び>
不備の連絡を受けたら、内容を冷静に聞き、まず謝罪
気持ちの切り替え(自分のせいではないという気持ちに打ち勝つw)
期日までに対応可能な策を考える
再発防止策を考える
上記を迅速に対応、クライアントに報告
何かあったとき、自腹が切れない金額の案件は請け負わない
19時30分、クライアントから突然の電話
明日はクライアントがイベントに出展する日。この日のために、何ヶ月も前から準備されていた。私が請け負ったのは、当日朝9時から使用するパンフレット。デザイン制作から印刷入稿まで行った。いつもメールで連絡をいただくのに、今日に限って電話…。
恐る恐るスマフォを手に取る。
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「昨日、パンフレットが到着しましたが、なぜか折り目がズレてました。
このまま使おうと思えば、使えます。
でも、印刷屋さんが間違えた可能性もありますから。なぜこうなったのか、原因をお調べいただき、報告くださいますか?納品されたパンフレットの写真はメールでお送りしていますので、ご確認ください。」
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要するに、右のXの状態で納品された。
心臓が破裂しそう…
クライアントの冷静な対応に導かれ、私は一つ一つ確実に対応しようと、心の準備をした。
入稿したネット印刷業者に電話、原因究明。
コール音がいつも以上に長く感じる。その間、入稿した日のことを必死に思い出そうとするものの「もし、私のミスだったら…」という恐れの気持ちが勝り、上手く記憶が辿れない。
オペレータさんの声でふと我に返る。
私は、入稿時の注文番号と状況を伝える。するとオペレータさんより「入稿データを調べ、折り返しご連絡をさせていただきます」といわれ、一旦電話を切る。
折り返しを待つ間、本日中に入稿可能なスピード印刷業者を探す。
待てよ、でも条件がある。夜21時に家を出て電車で22時までに到着し、入稿できること。明日朝9時までイベント会場に持っていける立地。地域を絞り込み、会場に近いところから順に電話。
条件に合う印刷屋・・・1件
印刷見積もり・・・10万円
"じゅうまんえん"。ネット印刷では約3万円で印刷できのに。とはいえ、クライアントが社運をかけて出展されるイベント。
この案件は、増刷*だったので、手数料を差し引いても約9万8千円の自腹。たくさんの人の想いが詰まっているパンフレット。たくさんの外注業者から、私を指名いただいたという事実。
会社の人たちは、今のままでもいいと言われるけれど、私の失敗で大事な商談の足を引っ張る訳にいかない。自腹なんてどうでもいい。スピード印刷屋が見つかっただけで、神様ありがとう。
数分後、ネット印刷業者から電話があり、前回の入稿時の状態を告げられた。やはり私のデータミス。
私はクライアントに以下の件を電話報告。
・原因は入稿データ。
・明朝会場に印刷物を届ける。
・印刷費はChild Dream(私)負担。
・再発防止のため、今後の対応方法を伝える。
ネット印刷の3Dプレビュー(上記グレーバックの画像)で、印刷の折り目を確認しスクショをとる。さらに、入稿はなるべく日中に行う。
クライアントは冷静に私の報告を受け入れてくれた。
電車でスピード印刷業者へ
途中、色々な想いが脳裏を駆け巡る。
・じゅうまんえん…w
・クライアントがお金を出すと言ってくれた(甘えるべきだったか)。
・クライアントを紹介してくれた方への申し訳ない気持ち。
・信頼はお金に変えられない。
・これで業者変更になれば、今後11万円すら稼げない。
何度も同じ思考になりながらも、信用が第一。そう自分に言い聞かせる。クライアントの社長は、私以上に大きな責任を負っている。
そして、無事スピード印刷屋さんに入稿→翌朝納品ができた。
緊張だらけの10時間となった。
数日後…
担当の方からメールをいただいた。
「先日は、迅速な対応ありがとうございました。おかげ様で、イベントも無事終了させることができました。今後もよろしくお願い申し上げます。」
「今後もよろしくお願い申し上げます。」
この言葉にどれだけ救われことか。
その翌年、クライアントの社長から初めて年賀状をいただいた。
「この会社のデザインは、全て根立さんに任せたい。」
「ヒョエーーー!(嬉)」
フリーランスという働き方を選んでから、仕事や人間関係で、悩んだり、傷ついたり。私にとっては会社員時代より浮き沈みが大きい日々が続きますが、この言葉は今でも私の心の支えとなっています。
そして、このような懐深い素敵なクライアントに巡り会えたことに感謝しています。一日でも早く恩を返せるように精進したいと願っています。
*増刷:一定の部数を印刷した後に、さらに印刷すること。
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