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『脅し』にいい未来は待っていない
一時期、ブームといっていいほど「流行ってしまった」、鬼の電話。
子どもが言うことを聞いてくれない時に、実際に鬼から電話がかかってきたような画面が出て、電話しているかのように鬼の声が聞こえて…。
お母さんに『鬼から電話が来るよ!』と脅されて、涙ぐんでごめんなさいと謝る子どもを何人も見てきた。
そんな時、子どもはどんな気持ちを抱えているのか---。
お母さんの気持ちも、痛いほどわかる。まだまだ自己コントロールが未熟な子どもは、気持ちをすんなり切り替えることも難しく、そんな時に鬼の電話という一言を出せば、効果てきめん。
忙しい時には、確かに使いたくなる。
鬼の電話の他にも、ついつい声をかけてしまうこんな言葉。
そんなわがままいうなら◯◯買ってあげない
言うこと聞かないならご飯なしだからね
◯◯しないならゲーム取り上げるよ
私も親からたくさん言われたし、言いたくなる気持ちも、普段子どもたちと関わっていると痛いほど、わかる。
けれど、気持ちが切り替えられないことと、そのせいで何かしらの罰を与えるというのは、本来は関係がないはず。
でも、脅しは即効性があることが多い…。
脅しに一定の効果は感じられやすいが、長期的に見ると「脅されたら気持ちを切り替える」という方法を、気づかないうちに身につけてしまっていることにもなる。
では、そうしないためには、どうすればいいのか。
その方法は、時間はかかるし、即効性は感じにくいし、慣れるまではイライラもするかもしれない。
でも、おそらく数年のうちには、子どもが自ら考えて気持ちを切り替えることが格段に上手になる。
それは、ただただ、子どもの気持ちを代弁すること。
そして、気持ちが切り替えられた時に、その事実を認めることを、何回も続けること。
「嫌なのね、分かった。気持ちが切り替えられたら、◯◯しましょう」
とでも伝えて、一人の時間を与える。
そして何分かかってでも、気持ちが切り替えられたら、「自分で切り替えられたのね」と認める。
脅しの手法は、その瞬間は手っ取り早いかもしれないけど、その後何十年も脅し続けないといけなくなるかもしれない。
それって…誰にもいいことはない気がする。
脅しではない方法で、子どもの一瞬をひとつずつ受け止めてあげる。そんなかかわり方こそ、保育者やお母さんお父さんたちにブームとなって広まっていって欲しいと、そう思う。
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