ほんとのおわかれ
眠れなかった夜にふと聞き始めたエッセイラジオ
友人と手紙のやりとりをしていた学生時代の話
なんておセンチなタイミングで私の思い出をくすぐるんだろうと思って、また眠れない
私にたくさんのものをくれたあなた覚えていますか
思い出しますか
縋るのが怖くて思い出さないように生きる私にかける言葉はありますか
捨てられない箱詰めのメッセージ、あの時の私たちの全てもぎゅうぎゅうに詰めて鍵をかけた
前を向くあなたはお元気でしょう
ひまわりのように太陽に向かうのでしょう
雨だって、日陰だってきっと味方につけて
私はいつでも頭を垂れて、
振り返っては過去に手を振る
まだいるよね?
どこにも行っていないよね?
そんな見えすいた思いを抱えて、何度目かももうわからないさようなら
もういいよ、と声が聞こえる
振り返らないで先に行きなよ
そんなことは分かっているけど
全部を抱えて生きていきたいと思う
前を向くことはできない、精々下を向いたまま歩くだけ
それでも抱える荷物は捨てない
ただ本当の宝物にするために、誰にも見せない奥の奥に隠すことにするよ
煌びやかな箱だけ残して、暫しお別れ
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