キーパーソン 1【ブレれば子供もブレる】
子育てにはキーパーソンが必要で、その役割はとても重要です。
基本的に子育ては、子供が主体である必要があります。
『主体』という言葉を考えるとき、行動するかしないかは切り離して考えます。
積極的や自発的、能動的という言葉はそこに行動が伴っているのに対し、主体的には本人の行動は含まれていないため、これらの言葉と同意にはなりません。
また、主体的の反意の言葉としては受動的や従属的という言葉になります。
子供が育つ環境は子供自身が主体である事が欠かせません。親の都合に子供が合わせるのは主体とは言えなくなります。
子供が主体的に育つことは、自分勝手に我儘に育つこととは違います。
子供を自分勝手な我儘にしないためには、子供に主体性を持ったまま、主たる養育者は子供との関係で主導権を持つ必要があります。
この『主導』というのは、やらせることでもなく、従わせることでもありません。そうしてしまえば子供は義務的思考(「自己選択する力」参照)に育ってストレスにやられてしまいます。
主たる養育者は、子供の行動に関することで、子供に対し主導権を持つということです。別な言い方をすれば、子供に対して後手に回らない接し方が主導であり、先手になることです。
主たる養育者が子供に対して主体を残して主導になるということは、子供の模倣すべきモデルとしてお手本になり、子供は対人関係においてストレスを感じにくいコミュニケーション力を模倣して習得することになります。
子供との関わりにおいて、子供の主体を奪うような主導の取り方だけでなく、過干渉の関わり方や過受容な関わり方は、子供自身の対人関係の作り方に問題を起こしますが、この両者ともに共通して言えることが、子供にとって成長するための『キーパーソン』が不在になっているということです。
子供が成長するにあたっての代表的な存在のキーパーソンは主たる養育者ですが、必ずしもキーパーソンは主たる養育者である必要はありません。
キーパーソンが子供に対する必要な要素が満たされていればよく、この要素を満たせる人がキーパーソンになることが理想です。
キーパーソンに必要な要素
・子供に主体を置く関わりができること
・ブレない主導がとれること
・子供に現実自尊心が左右されないこと
・子供発信の出来事を子供主導にしないこと
対人関係構築に強い不具合を来たしている子供は、キーパーソンを持った経験がないために起きてきます。
子供自身が主導権を握った関係だけを望んで、主導権を握られることに強く反発するようになっているか、周囲に対して従属的な関係しか持てなくなっていて義務的思考でしか行動できなくなっています。
基本的にキーパーソンとなる人は、子供を受容することは大切です。
子供を尊重して関わることが受容していることであり、子供の言いなりになることや、先回り子育てをすることが受容していることではありません。
子供と主たる養育者との関係において、極端に悪い関係が生じている場合は、主体・主導・受容のバランスが崩れています。
主体は子供側にあり、キーパーソンとなる人は受容しつつも主導権を握ることが基本となります。
“主導権を握る”ということは、子供のやることに対して責任を負う覚悟を持つということです。子供の失態を尻拭いするのが責任を負う事ではなく、子供が成長して出来るようになったり分かるようになったりすることに、責任を持って関わっていくということです。子供が出来なかったり分からなかったりしたら、それは子供の責任ではなく、主たる養育者に責任があり、出来るように考えて育てていくことが責任になります。
子供に対して過干渉したり、過受容したりしていたら、まず、主たる養育者自身が正しい責任の所在を判断出来なくなっているため、十分にこの仕組みを知って子育てに活かしていけるようになることが大切です。