キーパーソン 2【主体・主導・受容】
◎主体
主体を子供に置いていないということは、子供は親に対して受動的になったり従属的になったりという関係性になって問題がおきてきます。また、子供は親がそうするように自分に主体を持ってこようとすることで、親子間で衝突がおきることもあります。
子供のいる家庭においては、基本は子供に主体を置いた生活のリズムをつくり、子供を優先した周囲の動きがあることが大切です。
子供が主体的になれるようにするには、選択的思考(「自己選択する力」参照)を育てることです。
義務的思考を育ててしまうと、子供は条件やルールといった義務的思考に振り回されることになって、子供自身の主体は無くなってしまいます。
◎主導
主導を子供に持たせて責任ある行動ができるようになることは大切なのですが、これを幼少期から始めてしまうと、子供は対人関係においてストレスを感じる関係の作り方しか出来なくなります。
子供に多くの主導権を渡してしまうと、主導を暴走して使うことで問題がおきたり、正しく主導を持つことが出来なかったりして問題がおきます。
かといって、親の主導が強くなりすぎると子供が受容できなくなってしまって問題がおきることもあります。
受容の関わり方が得意な人は、主導して引っ張る関わり方が苦手なことが多いので、受容ばかり強くなっている過受容も、子供に何らかの問題が起きることになります。
また、子供が主導的になってしまっている場合、大きな不安やストレスを感じながら成長することになるため、上手に主導を親が持ってあげましょう。
◎受容
受容される経験は、他者を受容することに繋がります。上手く子供を受容していないと、子供は不安を感じてそこから問題がおきてきます。
しかし、受容が行き過ぎていてもいけなく、主導を子供にまで渡してしまうことになってしまって問題がおきてしまいます。
主導するということは、受容しないこととは違います。
受容しつつも主導してあげることが、子供は安心して伸び伸びと成長することが出来るようになります。
子供に人間関係での問題症状が出ていたら、まず、キーパーソンを持てる子なのかそうでないかで、大きな差が出てきます。
キーパーソンを持ったことのない生き方をしてきた子は、園や学校を居場所にすることが難しくなります。
また、そういった子供は拗れていて、キーパーソンを作ろうとしてキーパーソンとして望まれることをやっても簡単には上手くいきませんので、キーパーソンとなる候補者に、行動を委ねられるようになる関係づくりから行うことになります。
キーパーソンをどう作るのか、これまでキーパーソンを持てていない子供は、状況に合わせての仮キーパーソンを持ちにくい状態にあります。
家族内でキーパーソンを作ってあげることが難しければ、家族以外の人にキーパーソンになってもらうことを考えていましょう。
家族内でキーパーソンを作るには、キーパーソンの役割を家族で共有する必要があります。
キーパーソンは子供にとって頼れる成長のための指標であり軸となります。それは、何かあったときに心の中でキーパーソンに責任転嫁してストレスにやられないようにするための存在でもあります。
そのため、キーパーソンが持つ主導権を第三者が否定して変えさせることを本人に見せてはいけません。そうすると、キーパーソンの役割を失って子供も迷って不安になってしまいます。
例えば、少し前の時代までの日本における子育ての主導権は、家長(祖父や父親)によって明確化されていました。
全権を握る家長であれば子育て方針もそこにあり、家長から「子育ては任せる」と母親に主導権を渡されることもよくありました。
園や学校に行けば、「先生の言うことはよく聞くんだよ。」と、園や学校では先生を仮キーパーソンにして過ごしなさい。という伝達もありました。
このように、子供は場面場面に合わせて、誰をキーパーソンにして、誰を仮キーパーソンにして過ごせばいいのか分かりやすく、家の外での他人の集団であっても安心して過ごすことが出来ていました。
男女平等によって夫婦で子育てをするのは良い事ですが、子供にとってのキーパーソンとなる軸をどっちに置くのかをはっきり決めることは忘れないようにしましょう。