人を傷つけない、当たり前のようで当たり前じゃないこと
『"好き"と"嫌い"の2択だとちょっとさみしいから、"好き"と"大好き"と"少し好き"の3択だと、言われた方も嬉しいよね。』
7月のじりじりと太陽が照りつける今日、「指伝話」というiPadで使うコミュニケーションアプリとコンテンツを開発された、高橋さんという方とじっくりゆっくりお話する機会を頂いた。
神経難病や、筋疾患などで自分の体が自分の意思で思うように動かせない方がいる。
頭では何度も何度も自分の体の動きを繰り返しイメージが出来るのだ。あぁ、いま頭を少し起こして、枕の位置をずらせたらもっとこの人の話が聞きやすくなるのに。状況がよくわかるのに。
あぁ、いま少し左に体を傾けられたら、この洋服のくちゃっとなっているところとシーツがおされているこのキモチワルい感じがなくなるのに。
あぁ、いま私の口から言葉がつむげたら、「てめぇ!覚えてろよ!」も「いつも本当にありがとう。」も言えるのに。
そんな方々の救世主、命綱、それが「指伝話」なのだ。もっというと「iPadの中のアクセシビリティ」なのだ。
そのことを私はこの「闘病した医師からの提言 iPadがあなたの生活をより良くする」という本で学んだ。
自分の思うようにことばが紡げない方でも、親指のピクッとした動き、まばたき、歯をかちっと噛む動作で自分の気持ちを伝えられるのだ。
執筆されたのは、現役の医師であり、自信がギラン・バレー症候群という疾患にて四肢麻痺と戦っておられる高尾先生という方だ。
この本の中で、本日お会いした高橋さんも「指伝話」のアプリの紹介や説明をされている。Facebookにこの本をアップした際、高橋さんから"感想聞かせてくださいねー☺"とコメントを頂いたが、私の感想はズバリ
「iPadを即ポチしました!!!」
という感想であった。それだけ、iPadがほしくなる、今すぐにでもアクセシビリティを試したい、アクセシビリティ欲がムラムラギラギラと湧いてくる、そんな一冊であった。
キャスパーアプローチの村上さんこと椅子を作るおっちゃんと全国をまわっていて気がついたことがある。どうにもこうにもあのおっちゃんが引き寄せたり、かめきちと馬があったりする方たちはとにかく変わっている方が多い。いわゆる「業界の異端児」である。
それもそうだ、村上さんは様々な場所で私たちが予想がまったくもってできないほどの淘汰を受けてきて、羽交い締めにされ、ときには集団リンチにあい、息も絶え絶えになりながら、それでもいいものはいいと言い続けて椅子を作り続けてきたきた、いわば変態なのだ。(村上さん、この記事読みませんように)
超絶一般ピーポーのかめきちは、そんな村上さんに出会ってコソコソと活動をしているわけだが、どうにもその「苦しくて苦しくてたまらなかった時期を乗り越えている神々しい方」との引き寄せに本当にバチコンと巡り逢えて、バチコンと心に刺さることが本当に多い。
そんな神々しい方たちに、共通点があると今日感じた。ので書く。よし!!!
今日はシンプルにひとつだけ、
神々しい異端児の共通点、それは
「絶対に人を傷つけない」
ことだ。
いや。絶対に、というと語弊がある。人の心はその人にしかわからないのだ。人の悲しみや苦しみはものさしで測れるものではないので、傷ついた傷つかないはその人の心にしかわからない。ので言い換えると、
「限りなく人を傷つけないような手段を取ることができる」
と思う。
無論、傷つける傷つけないの前にやるべきことをやられている。その方がどうやったらよりよい人生を送ることができるのか。どうやったら家族が笑顔になれるか。QOLが向上するか。ということを実践されている。
私が思うに、その神々しい業界の異端児は誰よりも否定され、けなされ、はぶかれ、淘汰され、傷ついてきたのでは無いのかと思う。だからこそ孤独や否定を知っておられるからこそ、余白があったときの喜びや受け入れられたときの感謝などを常に持ち合わせておられるのではないのかと感じる。
本当にみなさん、誰に対しても態度が一貫しておられ上も下も関係なく隔てり、感謝をされ本当に素晴らしい方々だ。尊敬しか無い。
今日、指伝話のアプリの説明をしていただいているときに、写真にあわせて、スイッチを押すと登録した言葉が流れるシステムのお話を頂いた。
表示された私の写真にタップすると「こんにちは。かめきちです。好きなことは浴びるようにお酒を飲むことです」と流暢な音声が流れてくる、という内容だった。
そこでシステムの説明をする高橋さんがテストで「好き」とことばを打ち込んだ。
語彙力が少ないので有名なかめきちは次に来ることばは「嫌い」なんだろうな、と薄ぼんやり考えていたが、そこで高橋さんはすかさず対になることばを「大好き」と打ったのだ。
正直、その数秒の間にわたしの心は稲妻に打たれたような気持ちだった。
私たちは常にYes・Noの選択で生きている。少なくともかめきちはそうである。
それなのに、「好き」の次に「大好き」と打ったのだ。なんならその次に「少し好き」と高橋さんは打った。
そしてこう仰った。
『"好き"と"嫌い"の2択だとちょっとさみしいから、"好き"と"大好き"と"少し好き"の3択だと、言われた方も嬉しいよね。』
なんて、なんて優しい言葉なんだろう。なんて、なんて優しい世界を作れる方なんだろう。心から思った。
他にも指伝話の素敵なところは、クイズのコンテンツで、どれをとっても正解になるコンテンツなどがある。
例:み◯ん
◯には何が入る?の問に
選択肢に「か」「と」「し」があり、どれを選んでも✗マークがでないものなどがある。
「か」を選択した子はみかんのイラスト、「と」を選択した子はミトンのイラスト、「し」を選択した子はミシンのイラストが出る。そう、全部正解。
指伝話はその子に「失敗させない、成功体験」を積ませる宝庫なのだ。
この仕組みは本当に素晴らしいと思った。
なぜ失敗させない仕組みなのか?超絶脳筋女のかめきちは「失敗してこそ人は伸びるのだ!!!」とクソこっぱずかしい自論を持ち合わせていた。
違うんだ。自分の気持ちを思うように伝えられない子達は人一倍、挫折を味わっているから。自分の気持ちが伝わらないショックを知っているから。だから失敗で思考を止めない仕組みになっているのだ。
本当に感動した一瞬だった。
これを開発された高橋さんはなんて優しい、人を傷つけない方なんだろうと思った。
高橋さんの経歴を拝聴し、本当にたくさんのことを学んで来られた方なんだと感じた。やはり知識は人を救うのはもちろん、知識は人を優しく包み込む。「知らない」は人を傷つける、と私は自分の教育事業でよく受講生に伝える。
人を傷つけない人は、「自分がたくさん傷ついてきたからたくさん学び、それによって人を守れる」んだなぁと強く実感した一日だった。
やっぱり勉強って大事だね。知識は大事。いつも言うことです。
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