30代前半でファイナンシャルプランナー的に考えてみる
学校ではあんまり教えてもらえないものの一つに、ファイナンシャルリテラシーがある。
30代前半、住宅ローンや、自己投資など大きなお金を動かし始める前に知っておきたいリテラシーをまとめてみた。
1.お金に対する考え方の再確認をする
(1)「消費」と「投資」の違いを知る。 【投資と消費】
①消費と投資の違いを知る
消費:今の楽しみを増やす。 将来的な価値は生み出さないものへの消費
投資:今はちょっと我慢。 将来、金の卵を生み出す金の鶏への投資
※いろいろな価値観があるため、一概に誰にとっても、どのタイミングでも同じわけではない
※今の価値に着目している「消費」のすべてが悪いわけではない。
※将来への投資は、どれだけの価値を生み出すか慎重に試算する必要がある。
消費の例:自分の楽しみのために映画を見る。
投資の例:本を買って自分の未来の情報や、スキルを得る。
②「お金の機能」を区別して考える。
1)お金を、食べ物や生活必需品と、交換できる機能 【お金の交換機能】
→できるだけかしこく使い、最小で最大の効果を得る。
2)お金が自分の部下のように働いてくれて、さらにお金を集めてくる機能 【お金の増幅機能】
→社長のようにお金の配分をタイミングよく調整することで、お金が働きやすいよう整える。
(2)毎月お金を「何につかっているか」を知る 【自分の損益計算書】
何に使っているかを、お小遣い帳(≒損益計算書)から知る。
保険、自動車ローン、住宅ローン、積立貯金、サブスクサービス、家賃、食費、光熱水費、教育費、自動車維持費など、
自分は何にどれだけ使っているかを確認
①大きく使っていることは何か?
自動車のローン、維持費
固定費用の確認
②惰性で使っていることはないか?
保険内容の見直し
住宅ローンの利率の見直し
③もう少し、賢い買い方はないか?
メルカリやZOZOで、中古で買えないか。
④逆に、今の時期に大切なことに、使えていないことはないか?
家族、友人と過ごす時間
健康のための食費
将来への勉強のための書籍費
⑤どんな消費をしているか?
どんな投資をしているか?
自身の想いのある、能動的な使い方を増やす。
(3)現在持っているもの(資産、負債、物など)を知る
【自分の貸借対照表】
今、所有しているものの価値をシビアに計算してみる。
(≒貸借対照表をつくる)
何を所有していて、合計どれだけの価値があるかを知る。
所有しているものが資産か、負債かを確認する。
→ 具体的手順
個別の資産が、どのようなお金(≒価値)を生み出すのか試算し、現在の値段をつけてみる。
方法1:時価計算
資産を購入した金額ではなく、今すぐ投げ売りするとしたらいくらで売れるかという売却価値で試算。
※例:
築年数同程度の中古物件相場500万円(もしくはその8割)が時価価値。(≠購入価格2500万円)
中古車の下取価格の50万円が時価価値(≠中古車購入価格の100万円 ≠購入価格250万円)。
方法2:収益計算法
※例:
住宅を今後貸すとしたら家賃3万円なので、それを15年分かけた約500万円を時価価値とする。
100万円の株は、配当2%で複利15年で130万円の価値
リストアップする資産
負債:ローン、借金 → 住宅ローンが意外と大きい
金融資産:貯金、貯蓄型保険、手持ち現金、その他
→ 保険などの資産が意外と多い
不動産:住宅、土地、(相続見込資産)
→ 建物の評価が意外と低い
所有物:車、家財道具、嗜好品
→ 車の評価は意外と低い
(ソフト資産):家族、仲間、スキル、趣味、豊かさ、健康
→ 将来の価値になるソフト資産を意識する
2.投資(資産運用)の具体的な手順
資産運用とは、資産の価値をあげていくために、事前に準備すること。
①労働から効率よく現金を得る
②得た現金を賢く使い、貯蓄に回す。
③現金のみで資産を貯蓄する考え方を改める。
④現金以外の資産の特徴を学ぶ。(株(個別株、インデックスファンド、ETC)、不動産(賃貸物件、REIT)、事業)
⑤すべての資産にリスクがあるので、リスクとの付き合い方を学ぶ。特に資金管理をよく知っておく。
⑥資産の増減は、精神的な負担を伴うのでうまく付き合える方法を経験より学ぶ。
⑦割安で価値のある資産を増やす。
⑧仕込んだ資産が割高になった時に減らす。
⑨相場の癖を勉強し、得意な資産で㈯㉀を繰り返す。
⑩資産は種類によって特徴があるので、世の中の変化に対応できる資産を増やしておく。
11広い意味では、健康、スキル、友達、家族、安定した職なども資産と考え、価値のある資産配分を行う。
(1)種銭を貯める。
お金がお金を生み出す「投資」では、10倍の元手があれば10倍のお金を生み出すことができる。
投資に使える余剰資金がどれだけあるか確認しながら、まとまった資金(種銭)を集めることが大切。
100万円、200万円、300万円、500万円、800万円、1300万円、2100万円、5000万円、1億円
※体験だけなら、20万円程度でも可能
(2)資産運用とはどんなことかを知る
①資産運用とは、資産を現金のみにせず、株や不動産や金など性質の異なる形の資産に変え、能動的にポートフォリオに分けるということ。
②資産運用と意識していなくても、すでに現状で、
持ち家で不動産に偏った資産
住宅ローンでかなりの負債過多
保険や貯金資産に偏った資産(≒貯蓄現金資産)
などと、なっていることも多い。
③ライフステージや家族構成、職業の状況、資産の総額にあわせた、資産分散をしておくことが必要。
※1億円の資産分散と、100万円の資産分散とでは考え方が異なるので同じ割合にならない。
例:仕事が少なくなる可能性があるので、現金資産を1年間生活できる分は残しておく。
学資保険の付け足しで、積立で株を定額購入(ドルコスト平均法)する。
④資産とは、現金になる資産だけではなく、健康や、家族、スキル、人脈、情報などの価値も含まれる。
⑤運用とは、一時的に割安なものを手に入れ、それの価値が上がった(戻った)時に現金に換えること。
何が割安で、何が割高かを感じるアンテナを鍛えておく。
(3)自分の方針を確認する。
人それぞれ、所有する資産額、残された時間、勉強量、リスク許容量などに違いがあるため、投資のやり方もいろいろなパターンがありうる。
①自分にはどれだけの時間があるのかを意識しながら、どれだけのリターンを目標とするのか考える。
個人投資家にとって、長期間の時間と複利は大きな武器となる。
例:
毎月3000円のリターンが欲しい
3年後に20万円のリターンが欲しい
10年後に100万円のリターンが欲しい
30年後に500万円のリターンが欲しい
②リスクをどれだけ許容できるか
リスクとリターンは、呼応しているので、大きなリターンを得たければリスクをとる必要があるので、あらかじめ自分が許容できるリスクを知る。
例:500万円資産があるとして、
ほぼ元本保証
→ 国内債券、貯蓄系保険などで運用 → リターン 年間1万円
−5%まで許容
→ 海外債券インデックスファンド等で運用 → リターン 年間10万円
−10%まで許容
→ 海外債券やリートなどのミックスで運用 → リターン 年間30万円
−20%まで許容
→ 株式インデックスファンド等で運用 → リターン 年間100万円
−50%まで許容 → 株式などで運用 → リターン 年間150万円
−100%まで許容
→ 株式などで積極的に運用 → リターン 年間300万円
③自分の性格で、個別の売買の勉強や経験に、どれだけの勉強時間や情熱をさけるか? を知る。
経済の勉強(書籍10冊〜100冊)をできるか?
→ 個別の銘柄の研究や、売買を繰り返したりも可能
書籍や経験からリスクマネジメント、資金コントロールを学ぶことで、比較的リスクをとりやすくなる。
勉強し、経験し(≒失敗し≒成功し)具体的な資産運用スキルを身につけることは有効。
売買が気になってしまい、本業や、生活が脅かされることも多い。
ギャンブル性を理解したうえで、客観的に冷静に売買をくりかえすための、精神の鍛練が必要。
→ 気にするのがいやであれば、インデックスファンド等の毎月定額積立(ドルコスト平均法)も有効。
(4)リスクマネジメントについて(経験から)勉強する
リスクに絶対はなく、最悪全額失っても人生を大きく変えない余剰資金での投資が原則。
一気に購入せず、買うタイミングを時間分散(最低4回、半年間)して、リスクをコントロールする。
①時間分散
銘柄の分散より、購入のタイミング(購入金額)の時間分散をしたほうが、リスクマネジメントがしやすい。
≒安いときに買えば、それ以上下がる可能性が少ない。
≒平均購入額を下げていくことで、リスクに強くする。
≒これで底と思い込まず、時間と価格差をあけて、ナンピンすることが大切。
≒常に余剰資金を残しておく。
≒安いときにポジションを増やし、高いときにポジションを減らしながら、ポジションを持ち続ける。
②資産分散
例えば、余剰資金500万円すべてで一気に購入せず、半分は現金で持っておくなどの資産分散がいい。
まずは、一つの銘柄の購入、売却をくりかえし、市場や銘柄のくせを勉強する。
いたずらにいろいろな銘柄に分散しても、同時に動く要素も多いためあまり意味がない。
いくつかの逆相関傾向にある資産に分散することには意味がある。
(5)売買をしながら考えるべきこと
①時間分散でリスクコントロール
・時間分散で、リスクをコントロールしながら、再起不能の失敗を避けることが必要。
・うまく生き残りながら、ごくまれにある明らかな一瞬のチャンスなどにのることをめざす。
・くせを知っている同じ銘柄で、購入時期(≒購入価格)を分散させたものを何本ももち、平均価格を下げながら所有する。一時的に高値になった時は本数を減らし、下がれば本数を増やしながら、所有し続ける。
・長い目で収益を考えるべきなので、時価総額の上下に一喜一憂しない。
・リスクがコントロールされている(≒最大リスクのイメージができている)と、価格下落局面でも、逆にいい買い場と感じることができ、落ち着いて、売買を繰り返すことができる。
・一気に購入せず、手持ち資金に余裕を持たせながら、安全なナンピンで時間分散する。
②手持ち現金、資金コントロール、ポジションコントロール
・投資資金合計把握し、そのお金でどれだけのポジションを持つのかコントロールする。
すべての資金でポジションにしていなくていい(≒時間分散)
例:資金コントロール、ポジションコントロール
投資に使えるお金が500万円だとしたら、
平時には300万円までしか買わない
2か月に一度の下落時に、400万円まで増やす。
2年に一度の下落時に、450万円まで増やす。
半年に一度の高値時に、200万円まで減らす。
・チャンスに、しっかりとした資金を投入できるように、現金資産をある程度余裕をもっておく。
・投資のために準備したお金のすべてで購入せず、平時は半分ぐらいの購入しかしない。
・下落が意外と進みそうで、余裕資金が心配な時は、一度損切を行い、ポジションをコントロールする。
③精神衛生を保つ
・投資のチャンス(≒ピンチ)は、10年に1度という場合も多いため、長期間落ち着いて、精神衛生を保ってとりくむための工夫をする。
・常に相場を見ないようにする、毎日見ないようにする。などの工夫で、日々の生活を脅かさない。
・100万円を入金せず、97万円を入金しておくなどして、きりにいい数字にしたいという無意識を使って、100万円を目指す。
・長期チャートを眺めながら、事前に当面の売却目標や損切価格を設定しておく。
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