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【メンバーレポート】「劇場版 荒野に希望の灯をともす」を観て考えたこと。

こちらは過去、地球のしごと大學コミュニティ内に限定投稿されたメンバーによるレポートの紹介です。

先日、東中野ポレポレで「劇場版 荒野に希望の灯をともす」を鑑賞してきました。

「中村哲」という人物のアフガニスタンでの現地活動を追ったドキュメンタリー映画です。

ご存知の人も多いかと思いますが、中村哲先生はアフガニスタンにおいて数十年にわたり、恵まれない人々に医療を提供してきたお医者さんで、多くの人から深く尊敬されてきた人物です。

しかし、本当に残念ながら2019年に現地の武装勢力に銃撃され、死去することとなってしまいました。

僕に関しては「中村哲」という医師の名前、そしてその素晴らしい功績を知ったのは恥ずかしながら「死亡した」というニュースをたまたま岩手県田野畑村にある羅賀荘のサウナの中で見かけた時でした。

その後、気になってご本人が執筆した著書をいくつか読んで分かったことは、中村哲という人物は、医者という範疇を越え「解決するべき問題が目の前にあるならなんでもやる人物」だったということ。

アフガニスタンの山岳地帯に3つの診療所を開設。

ハンセン病対策のために足を傷つけないサンダル製造を事業化する。

大旱魃に見舞われたアフガニスタン国内の水源確保のために井戸掘削と地下水路を復旧。

全長25キロメートルにも及ぶ灌漑水路を建設。

医者という枠組みを遥かに越えて、素晴らしいという言葉では到底言い表すことのできない功績の数々。

死去から3年たった今、中村哲先生の遺志は現地民にしっかり受け継がれ農業振興が進んでいる、ということです。

そんな先生のドキュメンタリー映画がポレポレで観ることができる、という情報を偶然ツイッターで入手したので出向いたという話。

既に本で得ていた情報の上に、記録映像と本人の肉声も加わって、視聴する前後で「中村哲」という人物の解像度が本当に大きく高まりました。

全体を通して感動する内容だったのですが、その中から一つ、特に感動したハイライトを挙げてみます。

「山田堰(やまだぜき)」と聞いてピンとくる方はどれくらいいるでしょうか?

山田堰は福岡県朝倉市に現存する筑後川に作られた堰の名称です。

江戸時代に干ばつで苦しむ農民たちを救うために筑後川右岸の耕地を水田化するために設けられた井堰、治水設備で、大がかりな機材がなくても造れること、生態系への影響も少ないことなどが特徴だと言われています。

まさに「環境土木」のど真ん中。

あらかじめ読んだことのあった本の中にも書かれていましたが、この土木技術に中村哲先生は目を付け、学び、アフガニスタンでの水路作りに活用。

現地で水路に引き込むための「クナール河」は流量が多く・流速が速く、一生懸命作った堰はことごとく破壊されてしまっていました。

ところが、江戸時代に作られた山田堰を学び、その仕組みをクナール河にも応用することで水路に水を引くことに大成功したのです。

そして、この水路建設がきっかけとなって荒野だったアフガニスタンが水と緑のある肥沃な大地に変わっていきました。

上空から見た山田堰。表面はセメントで補強されているが、構造は江戸時代のままだそうです。

「天、共に在り」より

上記の白黒写真は中村哲先生著「天、共に在り」より引用。

少し前に僕は「先人たちの素晴らしい知恵や技術や考え方を社会や後世につなげていく流れの中にいる 」という確信を得た話。 という記事を書いたのですが、中村哲先生はこれを本当に地でいくような人でして映像で観て、完全に震撼させられました。

その結果、山田堰の推しとして勝手に(心の中で)立候補もしました。

最近、NFTをちょこちょこ買い集めているのですが、もしも「山田堰NFT」が出るようなことがあればきっと爆速で買います(Openseaなどのマーケットプレイスを探したところ今はまだ存在しない)。

買った山田堰NFTは利益目的で売るようなことはせず、末長くホールドし続けることで、その素晴らしい技術との関係性を保ちながら支援していきたい。

中村哲先生のように技術を学んでそれをリアルに実装して、後世に残すという動きがもちろんベストなことは分かっています。

ですが僕にはいかんせんその力がありません。

でも、この技術の素晴らしさや中村哲先生の考え方を後世に伝えていくための手段は一つではないはずで、例えば、Web3・NFTという技術は使えるのかもしれない?なんてことを今は思ったりしています。

さらに、実はこうやって「記事」にしたりして伝えていく以上に、これからは影響を及ぼすものになりそうな気もしてきているのです。まだまだ仮説ですが。

実際の山田堰もこの目で見てみたく、朝倉に行きたい気持ちが高まっております。

今回のレポートが、読んでくださった方にとっても何かを考えるきっかけになれば嬉しいです。

(著者:田中新吾

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