ダイアンのラジオのランジャタイ、ワイルドカードの金属バット


今週のダイアンのTOKYO STYLEは西澤さんが療養中のためランジャタイがゲストで出演した。津田さんとランジャタイといえば「お笑いの日」で披露したゴイゴイスーミュージカルである。ツイッターのトレンドに入り、キングオブコント終了後も話題にする人が多かったほど人気を集めた。津田さんは出番直前まで絶対滑ると思っていたらしい。(直前に出番だった鬼越・ほんこんのネタがあまりウケてなかったためらしい)ところがいざやってみると爆ウケ、今年のお笑いの日でキングオブコントの次に記憶に残ったのはゴイゴイスーミュージカルであるという人も多数だと思う。
番組内で津田さんはランジャタイのM-1の話を聞き、「来年3人でM-1出るか」と発言していた。その後に「めちゃくちゃ怒られそうやけど」と続け、ランジャタイの二人に「僕らは最初だけ喋ってあとは津田さんだけが動いて喋るネタにします」と言われていた。これが実現したらめちゃくちゃ嬉しいが、津田さんの口からそういった発言が出たこと自体が冗談だとしても嬉しかった。
ランジャタイは今年、準決勝には進めなかった。二人がコロナに感染してしまったことにより、例えワイルドカードで復活しても辞退するしかない状況となった。このような形で伊藤さんが思い入れの深いM-1を卒業するのは悔しいことだと思う。(国崎さんは賞レースは本当にどうでもいいらしい。オズワルド伊藤×ランジャタイ国崎のYouTubeでの対談で言っていた。これは面白かったのでおすすめ)でもランジャタイがM-1決勝に行ったことによる影響はすごく大きいと思っている。決して万人に受けるネタではないし、お笑いの感度がそこまで高くない人であれば理解できない芸風かもしれない。私も初めて見た時はそこまでハマらなかったが、めちゃくちゃ具合が悪く腹痛・頭痛で死にそうな時にYouTubeで「T.Nゴンの秘密」というネタを見て大爆笑してしまった。松本さんが決勝で言った「見る人の体調による」という発言は正にそうである。しかも「体調が良いとランジャタイが面白い人」と「体調が悪いとランジャタイが面白い人」の2通りがいるらしいのが面白い。
彼らが決勝に行って、テレビに出るようになったことでどれだけの人が救われて希望を貰っただろうか。M-1という大会自体が変化したようにも思える。数年前、ハライチの岩井さんはラジオで「M-1は正統派が評価される大会なので俺たちは無理」というような話をしていた。彼らが毎年M-1に出ていた時期は、確かにそういった傾向があった。しかし昨今のM-1は明らかに変化が見られる。個人的には2020年から完全に大会が変化したと思っている。私が観覧した2019年のM-1は賞レース独特の張りつめた空気があった。しかし2017年、2018年に比べるとその緊張感も緩和されていたように思う。あの辺りのM-1は今に比べればだいぶ空気が重く、ガチのスポーツの全国大会のような雰囲気を纏っていた。しかし2020年のM-1からは「お祭り感」が強くなったように感じている。マヂラブ、錦鯉と関東芸人の優勝が続き、2019年に出版されたナイツ塙の「なぜ関東芸人はM-1で勝てないのか」という書籍は今や過去のものとなった。今のM-1は関東芸人が勝てない大会ではなくなった。やはりマヂカルラブリーの優勝が大会を大きく変えたと思う。どう考えても「正統派」ではない、世間で漫才論争を巻き起こすようなネタで優勝した。マヂラブが優勝していなければ今の関東芸人はここまで奮闘していなかったかもしれない。それくらい彼らが与えた影響は大きいと思う。そして翌年、錦鯉が優勝したことにより関東芸人・特に他事務所芸人にも火が付いたように思う。
話が逸れたが、ランジャタイのような芸人が決勝に行ったことは今後のM-1に大きく影響を与えた。伊藤さんの夢である優勝は叶わず、決勝では最下位だった。しかしランジャタイがM-1に与えた衝撃、影響は計り知れず、M-1という大会自体に多様性を与えた。そういった意味での功績は非常に大きい。ランジャタイの二人、15年間お疲れ様でした。

これを書いている最中に、ワイルドカードが金属バットだと発表された。ツイッターのタイムラインには歓喜と安堵の声が飛び交っている。友保さんのコロナ感染など、心配事は今も大きいがとりあえず一安心した。主語が大きいかもしれないが、金属バットほどお笑いファンからの支持が熱い芸人はなかなか居ないと思う。金属以外の芸人のファンも今回のワイルドカードでは彼らを応援していたように思う。準々決勝の動画を見たが、落ちた理由は「題材が少し良くなかった」など、絞り出すように考えるしかなかった。未だになぜ落としたのだろうと思う出来だった。準決勝トップバッターのワイルドカード枠は、敗者復活には出場できないのが本当に悔やまれる。去年の敗者復活はひたすらに悔しかった。ハライチもラジオを聴くくらい好きではあるけど、あそこでは金属が行ってほしかった気持ちを抑えられない。
金属バットは今まで、賞レースに関する思いや苦悩は明かさない姿勢を貫いていた。賞レースに関する質問なども適当にボケて誤魔化していて、影での悔しさや努力を表には見せたくない意向が読み取れた。ワイルドカードもファンに再生を求めることはせず、むしろファンが一丸となって再生するようなことは辞めてほしいという姿勢が見られた。しかし今年は「死体を蹴れ」と指令があり、計り知れない数の人々が復活への思いを行動に示した。私がこの前読んだ金属のインタビュー記事では「やっぱり決勝行きたいですよ」と話していた。ここまでストレートにM-1への思いを語るのは、かなり珍しいことではないかと思った。
金属バットがM-1の決勝に出ないまま出場資格を失ってしまうのは、あまりに残念なことだと思う。どれだけのお笑いファンが、彼らがM-1の豪華絢爛なステージからせり上がってくる景色を想像しただろうか。
トップバッターは予選で最も不利である。未だに、ワイルドカード枠から決勝進出したコンビは歴史上で一組もいない。昨年の滝音はもしかしたら行くんじゃないかと思ったが一歩及ばなかった。金属バットならそんな定説を打ち破れると信じている。とにかく友保さんが後遺症など無く回復することを祈っている。金属バットがこれまでもこれからも大好きである。



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