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コマンダンテが解散してしまった

コマンダンテが解散してしまった。
最近、著名なコンビの解散が続いているがその中でも特に信じがたい。
コマンダンテに関しては、2019年の8月に仙台の日立システムズホールで行われた全国ツアーに行った。その後もルミネなど舞台で度々目にしていた。
音楽にせよお笑いにせよ、「ツアー」というものは東北に来てくれないことが多い。関東圏に比べて丁度いいキャパの会場が少なかったり、地方ということで集客が見込めなかったり背景には様々な理由があるのだと思う。
2019年、当時コマンダンテが仙台に来てくれたことは今考えても非常に嬉しいことだった。(私は仙台出身ではないが、実家がそう遠くないので仙台には色々なライブで足を運んでいた)
仙台でお笑いのライブをするとなると、会場は結構限られてくる。吉本の営業などは地区の市民会館の大ホールなどでよくやっているが、単独ライブとなると選択肢がかなり狭い。和牛は仙台駅から歩いて行ける「電力ホール」という場所で単独をやっていた。この会場は和牛なりの知名度であれば余裕で埋められるが、まだまだこれからといった芸人にとっては少し広すぎるのである。その他に、芸人の全国ツアーで使えるようなちょうどいい会場があまりない。
コマンダンテの単独ライブ会場である日立システムズホールは、仙台駅から地下鉄を使う必要はあるが若手芸人の単独には適した規模の会場である。(ちなみに2019年の8月15日のコマンダンテ単独ライブは昼に行われたのだが、なぜか同日にEXITの単独ライブも行われていた。4年前なので記憶が曖昧だが、コマンダンテの単独の後に会場を後にしようとしたところ若い女性の集団が車の出入り口にいて、ちょうどタクシーで会場を後にするEXITの二人をタイミング良く見かけた。)
ちょうどいい会場も無いし、地方なので人も集客もそこまで見込めないという理由で芸人の単独ツアーは滅多に仙台に来ない。2019年、コマンダンテは確か前年度のM-1でのネタが面白かったことから今年は準決勝に行くと期待されていた。そういうタイミングで東北に来てくれたというのは、私にとってすごく嬉しかったし非常に良い思い出になった。
覚えている限りのことを書くが、単独は全てのネタが非常に面白かった。当時、お笑いライブに行き始めの段階だった自分は結構良い席で生のコマンダンテがセンターマイクの前に立っているのを見て「デカっ」と思った。
他の人が散々書いているように、コマンダンテの漫才は決して「正統派」ではなく、早いテンポで多いボケ数、そしてパワーのあるツッコミという賞レースで評価されてきたものとは正反対のものだった。ローテンポで、声を張り上げることも少なく、数多くいた若手芸人の中でも「コマンダンテ」という唯一無二のスタイルを確立させていたと思う。静かながら比較対象がいないような圧倒的個性があった。仙台の単独で披露していたネタなどは4年も前なので流石に全て思い出せないが、静かな印象の強い二人がネタ中めちゃくちゃ動いていてそれが面白かった。二人ともすごい走っていた記憶がある。コーナーでは確かお題を貰って即興漫才をしていて、それも楽しく観ていたことを思い出す。閉演後、石井さんと安田さんは二人で出入り口でお見送りをしてくれた。二人と握手をして、そういったイベントがあるとは知らなかったので少し緊張してしまった記憶がある。その後もルミネなどでちょくちょく見ていたが、毎年M-1の予選動画を見るたびにさすがコマンダンテだな~と、大いに笑わせて頂いていた。
何だかコマンダンテが舞台に出ているということはいつしか「当たり前」になっていたし、それが今後も「当たり前」に続いていくのだろうと思ってしまっていた。舞台に出演している数が桁違いだったし、ネタで食っていける若手実力派の代表というようなイメージを持っていた。それがこんなに急に解散してしまうとは思いもしなかった。今になって考えれば「方向転換したのかな」と思うようなことはちょくちょくあったが、自分はそれに特にマイナスな印象を抱いていなかった。今のコマンダンテもおもしれ~と呑気に思っていた。それがある日突然解散してしまって、予定していたツアーも中止になってしまった。ツイッターのトレンドの一番上に「コマンダンテ解散」とあった時に、思わず「え」と声が出た。彼らと解散というワードがすぐには結び付かなかった。あのコマンダンテが解散?しかも全国ツアーを中止にしてまで?安田さんは活動休止?混乱した。すぐに飲み込むことはできなかったし、今でも信じられない気持ちがある。
これは非常に個人的なことで恐縮だが、私が2019年のM-1の決勝を観覧した時の同行者とはコマンダンテをきっかけに仲良くなった。当時、私はごく小さな学校に通っていて、そこの授業で「自分の好きなことをA4の紙にたくさん書く」というものがあった。同級生の書いたものを見るために皆で教室をぐるぐる回っていたところ、「コマンダンテ」という文字が見え、そこまで社交的ではない私はすぐにその子に話しかけた。彼女とは前述のツアーも一緒に行ったし、その他にもお笑いライブに色々行った。彼女はファッションやメイクにしても音楽にしても全てにおいて「センス」の人間だった。そんな彼女がコマンダンテを好きだったのは自分の中でかなりの納得感があった。今は近くに住んでいないので簡単に会うことはできないが、現在でも大切で尊敬する友人である。当時メンタル的に相当参っていた自分に対して、引っ越し前の別れ際に彼女は「本当に貴方ならどこに行っても大丈夫だから、生きてがんばってね」と言ってくれたのを今でもしっかり覚えている。コマンダンテが存在しなければ、彼女と仲良くなり一緒にお笑いライブに行くということは無かったのである。彼女の言葉に励まされることも無かったと思う。
解散に至るまでの経緯は何となく分かった。石井さんのnoteは購入して全文読んだ。大宮セブンライブで終演直前に二人が出てきたという配信は何だか悲しい気持ちになりそうで購入に踏み切れなかった。しかし公式YouTubeでの解散報告などを視聴して何となくの状況は理解できた。
石井さんのnoteを読んで、個人的にはすごく良かった。有料記事なのでネタバレは避けるが自分が想像していたよりも石井さんはずっと前を向いているということが分かって良かった。それにどういったすれ違いがあったのかについても記載していて、このnoteを読んで自分はようやくコマンダンテの解散を飲み込むことができた。もちろん全てを包み隠さず明らかにしているわけではないし、ファンが知らなくてもいいようなことは恐らく配慮してnoteには書いていないのだろう。そういった気遣いはありつつ、ファンが知りたいことや引っかかっていることを解消してくれるような記事だった。ファンの中には未だに心が落ち着かない方もいるだろうし、手放しに購入を薦められるわけではない。しかし、時間が経って少し余裕ができたらぜひ購読してみてほしい。解散発表当初の自分が考えていたよりも、二人は前を向いているし次のステージに進んでいる。芸人は引退しないということで良かったし、それぞれにしっかりと意思があることに安心した。
コマンダンテは本当に面白い漫才師だった。先日拝読したファンの方のnoteを紹介したい。
https://note.com/comafan009/n/nd57e7be6d29a
この方は従来の賞レースで評価されるようなお笑いが自分の感性に合わず、特にお笑いファンということではなかった。しかしお笑いライブにたまたま付き添いで行った際にコマンダンテを見て衝撃を受ける。その後ライブへ行くようになり、コマンダンテは自分の中での漫才という概念を変え、人生さえも変えてくれたと言っている。たった1ネタ、4分で観客に衝撃を与え、まったくお笑いファンではなかった方をライブシーンに引き込んでしまうようなとんでもないコンビだった。
舞台で見れたこと、ツアーに行けたこと、全て素敵な思い出です。お二人とも本当にお疲れ様でした。それぞれの今後を応援しています。


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ちくわポメラニアン
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