【第177回】【モデル地区紹介②】神奈川県横須賀市平成町マンションソフィアステイシア
質問 神奈川県横須賀市平成町マンションソフィアステイシアの地区防災計画について教えてください。
概要
①内閣府及び地区防災計画学会のモデル地区
②地区の特性
③防災活動が活発になりマンション価格が上昇
解説
①内閣府及び地区防災計画学会のモデル地区
神奈川県横須賀市平成町マンションソフィアステイシアは、地区防災計画制度が施行された2014年度の内閣府のモデル地区であり、また、2023年度の地区防災計画学会のモデル地区でもあります。
日本で初めてマンションの地区防災計画を作成したことでも知られています。
2023年度の地区防災計画学会のモデル事業の担当教員は、金思穎専修大学兼任講師になります。
②地区の特性
ソフィアステイシアは、2003年竣工の14階建ての都市部のマンションです。
309世帯で、約1000人が在住しており、外国人が10%を占めています。
横須賀基地に近い「基地の街」であり、海岸に面しており、首都直下地震での津波や液状化等の危険を想定して地区防災計画を作成しました。
マンションが建てられた当初は、マンションの住民間の人間関係は希薄でしたが、防災コンサルタントであるリーダーが主導して、防災活動を活発化させていきました。
そして、大学教員や行政等の支援もあり、次第にその防災活動は高度化していきました。
祭りをはじめとする地域活動と連携した防災活動、子供の消防隊による防災活動等住民による多様なタイプの防災活動を実施しています。
そのような中で、防災訓練をはじめとする防災活動レベルも向上しており、例えば、毎年12月に実施される市消防局と連携した防災訓練では、マンションの高層階から梯子車を利用して避難する訓練をしたりもしています。また、住民による災害用トイレの設置・設営・撤収訓練、炊き出し訓練・給食訓練、日本語・英語による避難訓練等も実施されています。
居住者の96%が居住者台帳の作成に協力し、住民間で悩みを相談する習慣もあります。
さらに、住民が共同して、居住者台帳の情報を活用して、深夜急病を発症した単身高齢者の救急救命に成功したり、住民が協力して不審者を取り囲み、警察に引き渡したりした実績もあります。
③防災活動が活発になりマンション価格が上昇
そして、上記のようなコミュニティでの活発な防災活動が評判になり、マンションの価格が上昇しました。
文献
・西澤雅道・金思穎,2024,「地区防災計画制度施行10年を迎えて―23年度モデル地区の状況―」『地区防災計画学会シンポジウム(第10回大会)基礎資料』.
金思穎,2019,『日中の都市コミュニティにおける地区防災計画づくりに関する実証的研究』専修大学大学院文学研究科博士論文.