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2024年の総括と2024年に見た新作映画ベスト10

 年末なのですが、今年は元旦から12/31までしっかりと仕事でした。毎年冗談みたいに「まだ正月気分が抜けていない」なんて年末に言ってるんですが、今年は2023年からの流れでずっと働いていたので正月気分すら感じずに過ぎ去ってしまいました。
 33歳のときにこの業界に乗り込んで10年経ちまして、年齢を考えるともう少しマイペースな仕事をしないとそのうち身体を壊すなと思いながら、今年は休む暇がほとんどなく健康に仕事をさせていただきました。ありがとうございました。

 電影と少年CQをはじめ、色々仕事をしていたと思うんですが、終わってしまうとあまり振り返られないし、振り返る暇もなく次々とやっていかないとならないこの手の仕事は忙しなく、来年はもう少し自分の作品を大切にしていきたいと思いました。
 個人的に12月16日に開催した電少の単独公演は、今までの電少や個人仕事、ルアンとゆっきゅんのソロの仕事までひっくるめた総決算的なものを作り切った自信があるのでめちゃくちゃ思い入れがございます。

 2025年はもうすでに大きな仕事がいくつか決まっていて、もうすでに休む暇があまりないのですが、発表できるものとしてはとりあえず電少としては2/24(23もちょっとある)の大阪公演、3/9の東京公演のツアーがあり、それを丁寧に作り上げていきます。
 やりたいこととしてずっと考えていたこととして、演出家/脚本家として自分の実力をしっかり試したいという気持ちがあり、お芝居公演など作れたらなとか思っていますが、それは2025年以内にできるのか2026年にもつれ込んでしまう気もします。

 そんな感じの2024年ですが、松永天馬のA研!でも発表した長田の今年の映画ベスト10でも発表して〆たいと思います。

10位『カラーパープル』
 スピルバーグとクインシー・ジョーンズが1985年に発表した黒人差別/女性差別をテーマにした映画のミュージカルリメイク。1985年版はなんかすごく怖くて陰惨な映画のイメージがあったのですが、こちらはとても明るく勇気が湧いてくる作品でした。
 とりわけ長田は『ピースメイカー』などにも出演していたダニエル・ブルックスさんのファンなので彼女が大活躍してくれていたのも嬉しかったです。

9位『悪魔と夜ふかし』
 1970年代のアメリカのテレビショーを舞台にしたホラー作品。痒いところに手が届くような丁寧な作りも素晴らしいし、俳優たちの怪演も素晴らしい(あの少女の妖しい瞳!)のですが、ホラー展開がエスカレートしていくなかで『ヘルレイザー』を彷彿とさせるような80年代SFXっぽいゴア演出が大好きでした。ミミズぶしゃー!!

8位『梟-フクロウ- 』
 15世紀の韓国で起きた王朝崩壊事件を下敷きに、弱視の鍼師が活躍するサスペンス。明るいところではまったく目が見えなくて、暗いところではぼんやりと目が見える鍼師というワンアイディアをこれでもかと活かしまくって終始ハラハラドキドキさせ、そこかしこに張り巡らされた伏線が終盤に向けて一気に回収されていく脚本作りが秀逸すぎる。こんな物語を描けるような実力を鍛え上げていきたいものですな。

7位『瞳をとじて』
 『ミツバチのささやき』で有名なヴィクトル・エリセが30年以上ぶりに監督した劇映画。静かな静かな169分の作品なのですが、映画の醍醐味ってスクリーンに俳優の顔が大写しになることだよなって基本的なことを考えさせられる、映画館でしか味わえない感動がありました。あと犬が可愛い。

6位『HAPPYEND』
 長田はどうしても日本映画を後回しにしてしまう傾向があるのですが、今よりちょっと差別主義が蔓延した近未来の日本を舞台にした青春映画。生活に不可分な政治や社会状況が大人になるにつれてより複雑化させていき、高校三年生の少年たちをのんびりとはさせていられなくなっていく、青春期の終わりの切なさを丁寧に描いて、ラストシーンの「飯食ってく?」「俺用があるからいいわ」の会話が本当に切なくてぼろぼろ泣いてしまいました。決して美形ではないかもしれない俳優たちの顔が本当に美しかった。

5位 『ドッグマン』
 リュック・ベッソンって90年代の日本で妙に持ち上げられすぎてやや苦手な監督だったのですが、これを見てリュック・ベッソンの真意がわかりました。彼はバンド・デ・シネ(フランスの漫画)を実写化したい作家なんだなと。それがわかった途端、いままでちょっと苦手だった彼の作品が一気に好きになりました。虐待を受け続けた犬しか友達のいないクイアで身体障害者の男性が大量の犬を使って犯罪と世直しをしていくアクション映画。基本的にゴア描写多めなのですが、人間はみな酷い目に遭いまくるのに犬は一才酷い目に遭わないのが最高。犬だけが幸せになればいい。

4位『アイアンクロー』
 20世紀を代表するプロレスラーであるフリッツ・フォン・エリックの家族に起きた不幸を描いたA24作品。プロレスをほぼ知らない僕はこれを完全なるフィクションだと思いながら見ていて、エリック家に起きるあまりに不幸すぎる物語を「これはあまりに嘘くさすぎてリアリティがない」なんて思ってしまったのですが、後から調べてびっくり。嘘どころか、現実に起きた不幸はよりひどくて、それはあまりに悲惨なので不幸要素控えめに描いていたそうです。美しい家族もの/青春群像劇/スポーツ映画でもあるのですが、一方で今年一番怖かった映画で、見終わったあと数日ドキドキが止まりませんでした。

3位『インフィニティ・プール』
 デヴィッド・クローネンバーグの息子であるブランドン・クローネンバーグの新作のSFホラー。人を人とも思わないセレブたちの蛮行を面白おかしく恐ろしく描いたカルト的な魅力のつまった作品。昨年の『Pearl パール』に引き続き現代のホラークイーンであるミア・ゴスのノリノリの演技が不気味でキュート。色使い、編集テンポなども小気味よく、不気味で残酷で楽しすぎる南国バカンスに旅立てます。

2位 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
 1970年代の寄宿学校を舞台に、クリスマスシーズンに取り残された偏屈なダメ教師と、偏屈な青年と、偏屈な食堂職員のほのかな友情を描いた大傑作。教師ものって、この時代に描くには、優秀な熱血教師などではなく、ダメ教師の方があってるんだなと思いました。1960年代くらいからある名作アメリカンシネマの風格すら漂わせています。年末シーズンに毎年見たくなる作品。

1位『ジガルタンダ・ダブルX』
 今年この映画があって本当に良かった南インド映画。映画愛映画って基本的に眉唾で見てしまう癖があるんですが、決して上品とは言えないがむしゃらで出鱈目な映画愛にむしろどんな映画愛映画よりも愛を感じてしまいました。南インド映画らしく、笑いあり、歌・踊りあり、アクションあり、個性的な登場人物だらけと盛りだくさんな作品ですが、そのなかでいまインドないしは世界が抱えている社会問題/映画界における状況もしっかりと描いて、軽い気持ちでエンタメを楽しもうとするとぶん殴られます。電少の単独公演の脚本を書いている最中にこの作品を見て、ほぼ全て書き直したくらい衝撃的でした。


 そんな感じで暇さえあれば映画を見に行って新作だけで120本くらい見たなかでのベスト10を発表しました。他にもここでは紹介しきれないほどたくさんいい映画もあったしドラマもあったので、その日の気分で順位はコロコロ変わりそうですが。
 2025年も暇さえあれば心の栄養を吸収しに映画に行きますよ。

 兎にも角にも今年もありがとうございました。
 来年もよろしくお願いします。

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