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"BLUE"(Model:伊ト)【What is your color】
モデルについて
「What is your color」企画の39人目のモデルは、伊トさんです。
名古屋のジャグリング界隈を牛耳る重鎮。
数々のジャグリング大会に運営/主催として関わってきた、ジャグリング大会の第一人者。伊トさんが携わった大会の一つである「中部ジャグリング大会」は長年、全国のジャグラーに愛されています。
ジャグリングの腕前もピカイチで、複数のハットを操る日本屈指のハットジャグラーです。
集合
2024年5月4日。
名古屋駅で伊トさんと集合。
時刻は18時30分を回ったところです。
こんな時間から撮影開始、というわけではありません。
今晩はひとまず伊トさんと夕飯をご一緒し、明朝から撮影を開始するという算段です。
夕食
到着
名古屋駅から車で10分程で、「the LAZY HOUSE」に到着します。
ここは、「日本一接客態度が悪いレストラン」として人気を呼んでいます。
(予約せずとも来店可能ですが、大人気につきかなり待たされるので、予約推奨です)
ずっと前から行きたかったのですが、なかなか名古屋に立ち寄る予定がなく、半ば諦めていました。しかし、この度伊トさんを撮影するという大義名分ができ、来店に至ったというわけです。伊トさんは僕に連れてこられた被害者です。
お店に到着すると、すでに長蛇の列が。
パッと見ただけでも6組程は並んでいそうです。
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しかし本当に驚くべきはその客層。
並んでいる客の1/3程は「小学生以下の子供を連れた親」です。
ここがどういう店か知ったうえで並んでいるのでしょうか。
もし知らないのであれば一刻も早く帰宅した方が良いでしょうし、知っていて並んでいるのならそのエキセントリックな教育方針に舌を巻かずにはいられません。
入店
少し待つと、ファンシーな髪色の女性店員さんが出迎えてくれました。
「ここは日本一接客態度の悪い店です。一歩扉に入ると『通常の』接客になります。よろしければお進みください」
とニコニコしながら扉を開けてくれます。
要するに「覚悟してね」ということなのでしょう。
身構えながら伊トさんと入店します。
「さっさと入れオイ!!」
後ろから急に怒鳴られて思わず振り返ると、先ほどのファンシーお姉さんが鬼の形相でこちらを睨んでいました。こんなにシームレスに豹変するとは。物腰穏やかな人格は彼女の中から消滅してしまったようです。
静々と椅子に座ります。
内装はめちゃくちゃオシャレで、厨房からは美味しそうな匂いが漂ってきます。
しかし10秒に1回は、店員さんの怒号が飛び交います。恐ろしい店です。
注文
席に通されて5分程経ち、僕たちは気付きました。
このテーブル、メニュー表が置かれていません。
町中華のように店内壁上部にメニューが書かれた板がぶらさがっていないか辺りを観察しましたが、見当たりません。
つまり、「メニュー表を下さい」と店員さんに声を掛けない限り、僕たちは夕飯にありつけないということです。
伊トさんと「うわ~そういうことか~」と目くばせします。
気乗りしないことこの上ないですが、僕も今年で30歳になる社会人。
勇気を出して店員さんを呼んでみました。
すると、無精髭を蓄えた一際大柄な男性店員さんが無言で近づいてきました。間違いありません。店長です。
「何?」
脳内で即時に翻訳。
「何か御用でしょうか?」ということでしょう。
メニュー表を頂けないかとおずおずと切り出すと、店長は無言で店の奥の方に歩いていき、他のテーブルからメニュー表を奪うと、僕たちのテーブルの上に投げつけました。
絶句。
想像の遥か上をいく接客です。
メニュー表を失ったどこかの誰かさん、本当にごめんなさい。
そして僕たちはメニュー表を見てまた絶句。
とんでもないことが書かれています。
読んでいるだけでその日の幸せが全て逃げていくようです。
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何とか注文する品を決め、そこで「注文するためにはまた店員さんを呼ばなければいけないのか」と気付き、大いに嘆息。
何故こんなに肩身の狭い思いをしなければいけないのでしょう。
勇気を振り絞って、「すみません、注文良いですか」と厨房に呼びかけました。
すると、一番手前で作業していた女性店員さんがこちらを一瞥し、
「何でお前らのタイミングで注文取りにいかなきゃいけねぇの?」
と吐き捨て、作業に戻ってしまいました。
悲しい。
とても悲しくなってしまいました。
まず、この齢になって女性にここまで冷たい言葉を言い放たれること自体がメンタルにきます。
その後も何度か厨房に声を掛け、何とか注文を通してもらいました。
外食ってこんなに難しかったんですね。
食事
暫く待つと、注文していたソーセージが提供されました。
皿は勿論(?)放り投げられます。
早速実食し、驚愕。
めちゃくちゃ美味しいです。
不味ければ文句の一つも、という腹積もりでしたが、こんなに美味しいソーセージは久しぶりです。何も言えなくなりました。
お次はガレット。
しかし、店員さんは遠くのテーブルに僕たちのガレットを放り投げ、
「お前らが取りに来い」
と一言。
いきます。取りに行かせていただきます。
そして実食。
美味すぎる。そして食べ応えがあり過ぎる。
言い知れない満足感に包まれます。
最後にチーズポテトフライ。
あろうことか、こちらのテーブルに持ってくる道中、店員さんが僕たちのポテトフライをガンガン食べています。
つまみ食いとかのレベルではありません。
20%くらいは持って行かれました。あんまりです。
しかしこれまた美味い。ぐぬぬ。
完食
結局全ての品を完食し、満足の極みに至ってしまいました。
何なんだこの気持ちは。
完食までに罵詈雑言の雨霰も食らいましたが、「そういうエンタメ」としてめちゃくちゃ完成度が高く、もはや「罵倒待ち」みたいな状態で終始店で過ごしてしまいました。マゾなのかもしれません。
お会計のためレジに並ぶと、
「今からドM専門の風俗にでも行くの?」
と店長が見透かしたようなことを言ってきました。
今後飲食店では絶対に聞かないであろう言葉、「ドM専門の風俗」。
悔しい。けど面白過ぎて笑うしかありません。
追い立てられるように店を出ると、先程のファンシー女性店員さんが店の外まで出てきて、
「ご来店ありがとうございました!」
と笑顔で見送ってくれました。
嘘だろ。なんだそのギャップは。惚れてしまいます。
結局僕達2人は、完全にこの店に満足してしまいました。
末恐ろしい店です。絶対にまた来ます。
再集合
2024年5月5日。
再び名古屋駅で伊トさんと合流。
昨日のレストランがあまりにも強烈だったので忘れかけていましたが、これからが本番。本来の目的です。
まずは駅から地続きの「スカイストリート」に向かいましょう。
撮影
スカイストリート
名古屋駅から5分程歩くと、スカイストリートに到着します。
エレベーターで15階まで上がると、ガラス張りのオシャレフロアが広がっています。
早速撮影しようと辺りを見回すと、こんな看板を発見。
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マジかよ。
しっかりと撮影が禁止されています。
確かに、あまりにもオシャレなこのビルは、こうでもしなければ野良カメラマンの巣窟となり本来の業務に支障をきたすことでしょう。
仕方なく、次の撮影候補場所に向かいます。
スカイプロムナード
大通りを挟んで名古屋駅の向かいにある「ミッドランドスクエア」にやってきました。
この建物の42F~46Fには「スカイプロムナード」という大型展望台(入場料金有)があります。
スカイプロムナードに出ると、絶景が広がっていました。
吹き抜け(というかほぼ吹きさらし)構造になっているため、景色が素晴らしいだけでなく、風が心地良いです。
本を何冊か持ってきて、日が暮れるまで読む、という過ごし方も良さそうです。
開場(11時)と同時に入場したため、僕達以外の来場者はそこまで多くありません。今のうちに撮影開始。
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まずは44F~45Fあたりで撮影開始。
通路の幅がそこまで広くないので、ここでは1ハットのトリックやちょっとした動き、立ち絵等を撮影させて頂きました。
他の道具には無い面白い動きがハットには多々あり、伊トさんはそれら全てを完璧に実践してくださいました。おかげで撮影がポンポン進みます。感謝。
窓ガラス自体は少し青みを帯びているのもあり、色抜きすると全体的に青みがかった写真になりました。
にしても伊トさん、めちゃくちゃ目が綺麗です。なんというか、澄んでいます。心の内が表れているようです。
そして御召し物がめちゃくちゃ似合っています。
チャイナ風な紋様があしらわれた涼しげなシャツは、先日伊トさんが後輩さんと一緒に探し、購入していただいたとのこと。
本当にありがとうございます。
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続いて、42Fで座りの写真を何枚か撮影させて頂くことに。
簡易ベンチが窓際にあるため、外からの光も十分。
半屋内にもかかわらず、屋外のようなシャッタースピードで撮影することができました。
写真を確認していて思ったのですが、伊トさん、座りのポージングがめちゃくちゃしっくりきます。
何故だろう。
伊トさんといえば腰を下ろしているようなイメージがあるんですよね。
最後の1枚は、3ハットを片手に集めた後、周囲に散らすトリック。
派手な動きが伝わるよう、シャッタースピードを低めに設定し、ハットがブレるように写してみました。
撮影終了
2時間弱程で撮影は終了。
終始スカイプロムナードでの撮影となりましたが、想像を上回る満足感です。
GWにもかかわらず来場者はそこまで多くなかったので、名古屋で写真撮影場所にお困りの際は、スカイプロムナードを大いにお勧めします。
今回撮影した伊トさんの写真は、Twitter(現X)やInstagramにも載せていますので、そちらも是非チェックしてみてください。
それではまた。