見出し画像

【G1@Clubhouse⑦】鬼滅・DX・コロナが変える漫画ビジネス

2月4日22:00 ~23:00に行われたG1@Clubhouse⑦の内容のポイントをご紹介します。*本記事は2021/2/5に公開した知見録の記事を転載しています。

テーマと出演者

テーマ:「鬼滅・DX・コロナが変える漫画の未来」。今漫画ビジネスはどういう状況なのか。鬼滅、DX、コロナの影響は、グローバル化の流れは?それらを有識者の方々とゆるく議論します。

出演者:佐渡島庸平(コルク)、けんすう(アル)、樹林伸(神の雫・金田一少年作者)、堀義人  

発言のポイント

※上記出演者のご了解を得たうえで、記録、公開しています。

1)マンガビジネスについて

・基本のプレイヤーは、作家、原作者、出版社に属する編集者。近年は、出版社に頼らずにクリエイターをビジネスにつなぐエージェントや、ネット販売のサイト運営、描く作業のライブ配信といったサービスも生まれている。

・マンガビジネスの主な収入は、雑誌や単行本の売上げ。貢献度的には雑誌よりも単行本が大きい。近年は紙だけでなくデジタルからの収入も増えている。デジタルは絶版がないので、昔に出した作品も意外に今でも売れ続けて無視できない。

・マンガの市場規模は4000億円くらい。紙は伸び悩んでいるが、デジタル経由が伸びており、各出版社とも業績は伸びてきている。権利を利用する先が多様化しており(アニメ、Youtubeの動画など)、どのようにおカネにしていくか工夫の余地が増えている。

2)コロナや鬼滅、DXで今どういう変化が起こっているのか?

・日本では出版社主導でマンガのデジタル化が比較的うまくいっていて、世界の潮流とは少し違う変化が起きている。海外だと、作家が出版社に頼らず市場に売るまで垂直的にビジネスを成立させる流れが出てきている。

・鬼滅の刃は、定期的に来る大ヒット作の一つという見方。強いて特徴を言うと、近年バイラルの力でヒットがスケールしやすくなっている表れである。後続作品に流れを作ったという面も。

・背景として、ネットフリックスなどサブスクの普及によって、アニメをまとめ視聴、繰り返し視聴ができることはアクセスの良さを高めた。デジタルでマンガを読めるプラットフォームもたくさん出てきている。

3)今後の漫画の世界はどうなり、日本はどう活動するべきか?

・デジタルの世界が主戦場になるのはまちがいないが、一人勝ちになりがち。一部の作家が今までの何倍も儲かる一方で、裾野の作家の収入をどう確保し、多様性をキープできるかが課題。

・雑誌モデルでは、一部のヒット作のもうけを他の作家や新人の育成に分配できるのが強みだが、今後、既存の出版社経由以外でも新人の育成モデルができれば、非常に期待できる。

・世界と戦うためには、作家と伴走する編集者・プロデューサーが足りない。この役割の人は増やすのも難しい。編集者育成のプロセスは、現状、出版社内に閉じているので、それをオープンにしてノウハウを伝えるとともに、編集者という仕事の魅力を伝えようとしている。もともと編集者の知識は暗黙知で属人化しがち。どこかで形式知化するところが期待される。

・経営層はどうか。他業界でも現場と中間管理職は比較的強いが、思い切った投資や儲かる仕組み化といった経営層のパワーが足りない。ネット、デジタルという変化の中で、スタートアップにとってチャンスである。マンガは初期投資も必要人員も少なくて済み、スタートアップには合う。グローバルな流れも好機のはず。マンガは日本の財産であり、ビジネス面でスケールアップさせる経営者が現れて欲しい。

今後の予定

G1@CH⑯「社会の機会平等の確保と格差是正」今村久美 × 堀義人 (2/13)

G1@CH⑰「コロナ禍だからこそ考える企業のwell-being」プロノバ 岡島悦子 × 予防医学研究者 石川善樹 × 楽天 北川拓也 × 堀義人(2/14)

G1@CH⑱「日本のスタートアップエコシステム〜グローバルNo1企業を輩出し続ける為に何が必要か」スマートニュース 鈴木健 × グロービス 高宮慎一 × BEENEXT 佐藤輝英 × スクラムベンチャーズ 宮田拓弥 × 堀義人(2/15)