カリフォルニアのシュタイナー学校訪問

今回のアメリカ滞在の私にとっての目玉は、シュタイナー学校の見学にいくこと。日本でシュタイナー教員養成講座を受けている(出産によりお休み中)が、子どもが授業を受ける様子は見たことがない。ユカイヤで教師をしている友人のおかげで、素晴らしい機会にめぐり合えた。
私はシュタイナー学校の雰囲気が好きだ。美しい黒板絵。ぬくもりのある装飾。朗らかな歌声が重なる。そこにいる子どもたつはどんなまなざしをしているのか。その空間に身を置ける機会に、わくわくしていた。

当日は6時半出発の8時授業スタート。薄暗い中で車を出してくれた夫に感謝。

到着したら、私は次男を抱っこしながら、友人が教える4年生クラスを見学した。教室に入る時に先生と生徒が握手する。教室には3.4人かけの丸テーブルが並び、グループごとにすわる。黒板にはテーマの「human&animal」と人間の絵が描かれる。生徒の椅子やロッカーのネームタグ、掲示物ににじみ絵が飾ってある。8:20~10:20のメインレッスンは、体を動かすアクティビティやグループごと、クラス全体でのディベート(which is most important?Head/Body/Lim)をした後、頭は太陽、体は月などシュタイナー人間学につなげた講義があり、ノートテイク、最後ににストーリー(Octopus)という展開だった。
シュタイナー人間学で日本語で学んだことが、英語で説明され、黒板に描かれる。違う文化の中でも同じものを共有していることが、不思議で、しかし、嬉しかった。子どもたちが先生の話を一生懸命聞いて、一生懸命話して、描くノートも美しくて。何かを吸収しようという姿はまぶしかった。そして、子どものペースにあわせて教えてあげたいという学校が、海の向こうに存在していることに、胸がいっぱいになった。
私も板書しようとノートを開くと、近くの子どもが色鉛筆を差し出してくれた。日本語なんて触れたことがないだろうに、心があたたかくなった。

その後、長男が夫と参加している幼稚園クラスへ。窓や電球にピンクのカーテンがかけられ、うすぼんやりしたシュタイナーの雰囲気の教室。テーブルには野菜スープが並べられていて、スナックタイムがはじまるところだった。長男が「このお野菜はぼくが切ったんだよ」と嬉そうに教えてくれた。優しい味。少量で満足。その後靴を履いて、手をつないでoutdoor playへ。滑り台やブランコ、鉄棒、すなば、木の小屋など日本の遊具と変わらないが、飛び交う英語しかもスピーディーにドキドキ。でも長男はたくさんわらって、日本語で「待ってよ~」「どいてよ~」と伝えればなんとなく伝わる雰囲気。どんぐりを投げてきたり、棒を持って「Fleeze」と言ってきたりする子もいた。ちからいっぱい遊ぶ子どもはかわいい。鐘が鳴ると室内に戻り、丸くなって座って手遊びをした。日本の手遊び「あたまかたひざぽん」をやらせてもらった。そのあとパペットをみて、ランチタイム。私たちは失礼した。

とても心が満たされた時間だった。なぜだろう。シュタイナー教育は、私が思うにたいそう手間と労力がかかるやり方だ。教師は講義から手遊びや歌、お話を考え、しかも頭にインプットしなければならない。時短や効率化がもてはやされる現代で、地道な準備に真摯に向き合う教師たちは、まさしく愛される権威と言えるだろう。そんな教師と向き合う子どもたちは、のびのびと、言いたいことを言えているように見えた。私も学び続けたいと、気持ちを新たにした。


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