番外編 思い出の宝塚記念(1999年グラスワンダー)
こんばんは。
週末のG1の過去を振り返る番外編。
馬券のヒントはどこにも書いていないので悪しからず(笑)
今週は宝塚記念。今回は1999年、グラスワンダーがスペシャルウィークとの一騎打ちを制した年を回顧していきます。
黄金世代と呼ばれた98年クラシック世代。あまりにも豪華な面々です。この時代に競馬ができる年齢でありたかったです。
正直ミッキーロケットの2018年と迷いました。あの時の和田Jには天に召されたばかりのテイエムオペラオーが宿っていましたね。
触れたいですが今回は1999年。
やっていきます。
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12頭立てで行われた1999年の宝塚記念。競馬ファンの注目はなんてったって2強対決でした。
1番人気はスペシャルウィーク。武豊Jに初のダービーをプレゼントした馬で、皐月賞、菊花賞はセイウンスカイの策にはまり、ジャパンカップではエルコンドルパサーに完敗。ですが年明けはAJCCを完勝。続く阪神大賞典で春の天皇賞連覇を狙う先輩ステイヤー、メジロブライトをねじ伏せると、続く天皇賞春では、菊花賞で道中離されすぎて負けたセイウンスカイをいつでも捕まえられる好位で運び、直線であっという間にセイウンスカイを交わすと、連覇を狙うメジロブライトの追撃をしのいで勝利。メジロブライトは叩き良化型だったため、明らかに天皇賞の方が状態は良かったはず。先輩ステイヤーを封じ込めた“黄金世代”の筆頭格の実力は本物でした。宝塚記念の単勝支持率は過半数を超えていたとか。1.5倍の支持でした。
鞍上はもちろん武豊J。
そして2番人気。2.8倍でスペシャルウィークと人気を分け合ったのがこちらも”黄金世代”、外国産馬のグラスワンダーです。衝撃的な朝日杯3歳S(現朝日杯FS)のレコード勝ちの後、春先に骨折。明けとなった「伝説の」毎日王冠は的場Jがエルコンドルパサーではなくグラスワンダーに乗ることを選んだ理由などから人気を集めたものの、サイレンススズカはおろか、エルコンドルパサーの影すら踏めずに惨敗。続くアルゼンチン共和国杯はユーセイトップランの「エガオヲミセテに捧ぐ激走」もあって2着。
しかしその後に急上昇を見せ、有馬記念を勝利。意地を見せるます。1999年もはじめはアクシデントが重なりましたが、春初戦の京王杯SCを快勝。そして圧倒的支持で迎えた安田記念は、前走で負かしたエアジハードの強襲に遭い2着。そこからの宝塚記念で、秋春変則グランプリ連覇を狙います。
鞍上は的場均Jです。
ともに黄金世代とはいえ、実績的にスペシャルウィークが人気を集めるのは頷けますね。ちなみに3番人気のオースミブライトは15.9倍。99クラシック世代で、皐月賞は2着、ダービー4着と成績は申し分ないですが、支持には大きな差がありました。4番人気は古豪ローゼンカバリー。
スタートはオースミブライト、ローゼンカバリーが後手。逃げ馬という逃げ馬が不在でしたが、大外枠のニシノダイオーが手綱を押して出していきました。番手争いは真ん中ヒコーキグモ、内にステイゴールド、外にキングヘイローと3頭。
そしてその後ろ、外にスペシャルウィークでしたが若干掛かり気味。そのすぐ内にグラスワンダーがぴったり。さらに内スエヒロコマンダーと中団。
1馬身切れて内にオースミブライトが盛り返し、マチカネフクキタルと続きます。後方3頭はインターフラッグ、ローゼンカバリー、スターレセプションという隊列。スローの様相で掛かる馬もちらほら。
ニシノダイオーが3馬身のリードを取りつつ逃げますが、道中はスローペースでした。1000m通過は61秒フラット。各馬牽制しつつですが、向こう正面までは我慢させていました。
ここでスペシャルウィークの鞍上武豊Jが左右を確認する仕草を見せます。グラスワンダーの位置を確認していたのだと思います。グラスワンダーはこの時真後ろにいました。文字通りのマーク。的場均Jは機を窺っていました。
3コーナーで一気にペースアップ。残り800mでニシノダイオーのリードがほとんど無くなります。ヒコーキグモが外に並び、更にその外キングヘイロー。内のステイゴールドは激しく手が動き後退気味。それを外から馬なりで交わしていくスペシャルウィーク。その後ろにグラスワンダーが2馬身圏内で追走。2頭のペースアップにスエヒロコマンダー以下はついて行けません。
4コーナーでスペシャルウィークは馬なりでついに先頭に立ちます。手応えはかなり余裕がありそうで勝ちに行く構え。後退するヒコーキグモとは対照的に、食らいつくキングヘイロー。
ここで的場均Jの手が動きました。グラスワンダーが外から一気に上がっていきます。
武豊Jは内を確認。気配には気づいているでしょう。しかし、”怪物”グラスワンダーはすぐ外にいました。
キングヘイローが苦しくなり、盛り返してきたステイゴールド、外からローゼンカバリーが3番手を窺う勢いですが、すでに前2頭には届きそうもありません。完全に2強の一騎打ちになるかと思われました。
第4コーナーから直線に入って、スペシャルウィーク、武豊Jが追い出し開始。即座に右ムチを1発。しかし、グラスワンダーは並ばせてもくれませんでした。あっさり交わしてグラスワンダーが先頭に立ちます。内で懸命に食い下がるスペシャルウィーク、武豊Jも肩ムチを入れます。しかしグラスワンダーとの差は開いていきます。
2強対決の決着はあまりにあっけないものでした。
勝ったのはグラスワンダー。有馬記念に続くグランプリ連覇です。
そして、3馬身置かれたスペシャルウィークが2着。
3着は盛り返したステイゴールド。しかし、2着スペシャルウィークとの着差は7馬身もありました。
ローゼンカバリーは早めに動いた分苦しくなって4着でした。
レース後、武豊J含めたスペシャルウィーク陣営は口を揃えて完敗を認めました。確かに前半掛かったとはいえ、あんなに開くとは思っていなかったと思います。スペシャルウィークは秋には凱旋門賞を計画していましたが、この敗戦を受けて白紙になりました。
2頭のその後と言えば同年の有馬記念ですね。触れ始めたら止まらないので触れません。ですが、良いライバル関係を気づいていましたね。スペシャルウィークはジャパンカップで、エルコンドルパサーを凱旋門賞で負かしたモンジューらを横綱相撲でねじ伏せ、まさに「日本総大将」の走り。その後の有馬記念は死闘でした。
触れかけました。やめます(笑)
グラスワンダーはスペシャルウィークが引退してからめっきり走らなくなりました。太目も抜けず、寂しかったのでしょう。
左回りではポカも多かった馬ですが、右回り、特にグランプリレースには滅法強く、グランプリハンターとも呼ばれました。
的場均Jは、目標をマークした時はまさにロックオンですよね。ライスシャワーに跨り、ミホノブルボンを徹底マークで3冠を阻止した菊花賞。そしてメジロマックイーンの春の天皇賞3連覇も阻止と、マークさせたら恐ろしい騎手でしたね。
今回のグラスワンダーも図ったかのような仕掛け。スペシャルウィークが動いても動じませんでした。
そして、忘れてはならないのが、この宝塚記念を実況した杉本清アナ。
「今年もまた、あなたの、わたしの夢が走ります」とグランプリの際は名フレーズを話し、最後に自分の夢を乗せた馬を話していました。(その馬が走らないことでも有名でしたw)
今年はこう言いました。
「私の夢は、サイレンススズカです」
僕はもうここで毎回涙が溢れてきます。
サイレンススズカは1998年の宝塚記念を勝った後、同年の天皇賞秋で天に召されました。
普段は出走馬から本命馬を出してくる杉本清アナの粋な計らい。その他にも素晴らしい実況が多かったのがこのレースです。
カンテレ競馬さんがyoutubeに1999年の宝塚記念を出しているので、お時間のある時にぜひ見て頂きたいです。
名レースに名実況あり。今の競馬もとても素晴らしいものですが、この頃の競馬は馬も含めて個性派揃いでした。今とはまた違った楽しさがあったと思います。
さて、そんなこんなで今回は1999年の宝塚記念を回顧してきました。直線はあっけなかったですからね。短かったですね(笑)
今回触れた98クラシック黄金世代は今後も秋のG1で触れたいですが、どうしよう(笑)
最強世代ですよね。代が違えばもっとG1を取れていた器が揃っていました。遅れてきた大器、ツルマルツヨシも忘れてはいけません。グラスワンダーを安田記念で負かしたエアジハードだって同世代です。
豪華すぎますね。
それでは今回の番外編はここまで。
少しでもお楽しみ頂けていれば嬉しいです。
次の番外編は秋ですね。スプリンターズSの予定です。
またその時になったらよろしくお願いします。
ありがとうございました。