【彼になった彼女】8話 開いた扉

扉が開く音
鍵かけ忘れてたのか? まぁ、そんなことどうでもいいか

母「ヒロキ? いるの?」
母の俺を呼ぶ声が聞こえてきた
足跡が俺のいるリビングへ近づいてくる

リビングの扉が開く
ぐちゃぐちゃになった部屋を一瞬見て驚き
その部屋を無言で片付けだす母

母「いつまでも、そうやって地べたに座って 自分だけがかわいそうなわけ?
 一番かわいそうなのはもっと生きたかった、アヤメちゃんと違う?」
そう、淡々と言ってくる母
カッとなり、母に手を上げそうになる衝動を両手を握りグッとこらえる
主「俺の気持ちなんてわからるわけない!」

そう叫んだ俺は頬をひっぱたかれた
母「甘ったれて! 悲劇の主人公ヅラしてるんじゃないよ!」
主「帰れ! 帰れよ !!」
母を見ず、自分の体を守るように丸まった
そうやって俺はまた自分の殻に閉じこもる
母「いつまでもそうしたって意味ないからね」と言って母は帰っていった

もう疲れた
寝たいのに、怖くて寝れない
やっと寝れたかと思うと
夢の中で俺は彼女を探し求め
彼女の後姿を見つけ腕を捕まえようとして目が覚める
起きると汗をかいていて、体がだるい寝た気がしない身体を無理して起こす
そんな彼女のいない日々

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