【彼になった彼女】20話 知らない男の子

主「久しぶりだな、ここは変わってない
 本当変わってない、彼女と初めて会ったあの時のまま」

髪もサッパリして、少しおしゃれして
外見だけはいつもの俺らしい格好
ここに来るなら、あんな格好は・・・
この思い出の場所にはふさわしくない

草が生えていてわかりにくいが
その草をわけると上へと続く少し古びた階段が出てくる
上に上がると小さな池が現れる
小さな池にかかった橋の向こうには大きな木とベンチが1つ
ここに人は来たことがない
朝は少し澄んだ空気、昼は木陰が出来て穏やか、夜は星が街灯に邪魔されることなく見える

彼女にプロポーズしようとした場所
そして、彼女と最後に会った場所
ここは彼女と俺が好きな場所

ここに来るとやっぱり希望は捨てきれず、彼女がもしかしたら…
と思い待つ事にした
待っているうちにいつの間にか寝てしまっていた

「ここで寝ると風邪ひきますよ」

主「大丈夫だよ」と夢うつつのまま答える
あぁ、なんて懐かしく幸せな夢だろう
彼女と初めて会った時も寝落ちした俺に同じように声をかけてくれたっけ
そんなことを考えて
ハッと目を覚ます
彼女が来たのだと

とっさにその腕をつかんだ
目の前にいたのは知らない男の子だった

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