【彼になった彼女】21話 ロケットペンダント
恥ずかしい、彼女と間違えるなんて
気まずい
主「・・・・・・す、すみません」
彼「いえ」と答えながら彼は俺をジッと見てくる
視線に耐え切れず
主「あの、なにか?」と聞いた
彼「あ、すみません・・・」
それでも、俺をチラチラ見てくる
彼「どこかでお会いしました?」
主「?初めてですが・・・」
彼「すみません、なんだかあなたの事とてもよく知っていたような気がして」
主「そう、ですか…」
変な子だ、でも何だろうもっと話してみたい気がする
主「隣、座ります?」
彼「は、はい、失礼します」礼儀正しい子だ
主「・・・」
初めて会うはずなのに、彼の隣は心地がいい
そんなことを考えいてると彼が口を開いた
彼「初めてくる場所なんです
なのに、なんだか懐かしくて、好きだった場所な気がするんです
夢のせいかな?」と微笑む
主「夢ですか?」
彼「はい、夢で見た景色そのままで驚きました」
主「・・・」
彼「・・・ベンチに女性が座っているんです
話しかけても返答してくれない、こちらが見えていないんでしょう
まぁ、夢なんで、そういうもんなんでしょうけど・・・
大事にしているんでしょう
彼女がずっと触っている
ロケットペンダントの模様が薄れているんです」
主「ロケットペンダント・・・」
彼「はい、今時ロケットペンダントなんて珍しいじゃないですか
家族か、彼氏か、いずれにせよ彼女のあの顔・・・
きっと、大切な人の写真ですよ」
主「その、ロケットペンダントの模様わかる?」
彼「確か・・・アヤメの花だと思います
アヤメの下に、A&Hってありました」
ぞわっとした
俺がアヤメの誕生日に送ったペンダントだ
オーダーメイドだから世界に一つしかないから間違うはずがない
一つの仮説が俺の脳裏をよぎる
この子の心臓はアヤメのものじゃないだろうか
テレビなんかで見たことがある、臓器にはその人の記憶が刻み込まれている
だから、移植された人間は苦手なものが好きになっていたり
知らない場所を知っていたりすると
のどがゴクリとなる
確信が、欲しい