【彼になった彼女】22話 確信

彼の夢の話と、この場所、ロケットペンダントの模様
見ず知らずの人なのに、知ってる気がする感覚

風の音、鳥の声、彼の声すべてが遠くてよく聞こえない
はっきりと聞こえるのは自分の心臓の音だけ
落ち着かせようと、必死に自分の手を握りしめ、深く呼吸をする
深く呼吸しているはずなのに息苦しい

主「最近、心臓を移植した事があったりする?」
彼以外の風景が何も見えない
彼「えっ⁉ はい、よく・・・」

仮説が確信へと変わった瞬間、緊張で冷たくなった自分の手が彼の首を掴んでいた
彼「?どうしっ・・・・・」
少しずつ首を絞めあげる俺、それに抗う彼
逃がすものかと、一気に力をこめる
体温が急上昇する熱いはずなのに、汗をかいているのに皮膚が冷たく感じる
息苦しい、心臓の音がうるさい
タラリと汗が彼の顔へ落ちる
もう俺にはどうすることもできない、殺意は外へ放たれた

コイツがアヤメの心臓を・・・
絞める首からつたわる、ドックンドックンと生きている音
彼「かっはっっっっ」
自分の心臓の音とヒュッ、ヒュッと彼の浅い呼吸が聞こえる

顔がだんだんと赤く色づき、彼の額と俺の手から血管がくっきり浮き出る
そして彼の首は俺の手元から徐々に白く広がっていく
更に大きく脈打つ音が手元から伝わる

彼の意識が遠のいていっているのか、俺にあらがっていた身体の動きが鈍くなる
そして、また一瞬の突風が吹いて俺は彼から離され
ベンチから落ち地べたに尻もちをついた

はっ!として彼を見る

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