【彼になった彼女】11話 いらだち
その日を境に、彼女がいない日常が現実なんだと受け入れ始めた
こんなに悲しいのにお腹が空いたり、喉が渇いたり、トイレへ行きたくなったり、呼吸しなくてはいけなかったり、音が聞こえたり
そんなどうすることもできない体のつくりが苛立つ
部屋から見る外の景色、風が気持ちよさそうだ
まるであの日みたい
俺の心とは裏腹の陽気な天気
「ひー君・・・」
彼女が呼んでいる
主「アヤメ? どこだ?アヤメ?
アヤメ、そこにいたのか
今行くよ」
彼女のいる空に手を伸ばし、ベランダから落ちようとした
その時、さっきまで風なんてなかったのに急に突風が吹き
俺は尻もちをついた
驚いた
風はもうなくなってしまっている
鍵をかけていたはずの玄関が勢いよく開き
ユウが駆け寄ってくる