【彼になった彼女】5話 彼女の行方

慌ただしかった
どうやらドナー登録をしていたらしい彼女
彼女と適合する人がいるらしく
急いで手術をしなければならない

悲しみに浸る暇もないまま、そのための説明を聞かされた
彼女の心臓が別の人の体に移植される
俺はそれを拒否した
誰にも渡したくない

義母「ヒロキ君、アヤはもう死んでるの、だからもうやめて。ね?」
そう泣きながら言うお義母さんの手を振り払った
主「彼女はまだ生きている!生きてるんだ!」
俺の言っていることがおかしいみたいな空気

彼女の体に誰も触らせない
俺は看護師、医者、彼女の両親の手さへも近づけないようにした

彼女は生きていると言っても誰も信じてくれない
周りに謝りながら俺へと延びる父の手を振り払う
全ての人が敵に見えた
俺は彼女に覆いかぶさり
主「こんなとこ、早く出て、家帰ろう、な?」
そうつぶやいた

医者たちは俺に聞こえないように遠くから会話する
医者「一刻も早く移植しなければ、彼に鎮静剤を打つしか...」
両親「お願いします」
皆が俺と彼女を引き離す
暴れる俺に、鎮静剤を打つ
意識が朦朧としてきて立っていられなくなる

彼女が連れていかれる
主「待って・・・」
そして、俺は意識を手放した

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