
22. 小説MCH - フレアと母「母の幸せな一時」(修正ver.5 2025/1/19)
「それで、それで?なんで今日の村伝説が生まれたの?」
話の続きに興味深々なフレアに対して、アティカはそのまま言葉を続けていく。
「ねぇフレア。裏山の洞窟深くに、大きな闇グマ(ヤミグマ)がいるって話は聞いたことがあるでしょ?」
「もちろん。村長さんが、危ないから絶対に近づいちゃダメだっていつも言ってるからね。でも、洞窟の中に入らなきゃ、闇グマは外には出てこないから大丈夫だ、って」
「そうなのよ。あの闇グマたちは、昔から洞窟の外には出てこようとしないのよね。だって、あのコたちはさ、光に当たると急におとなしくなったり、眠っちゃったりするからね」
「え?母ちゃんもしかして、闇グマのことを"あのコたち"って呼んでるの?w
まぁ、たしかにそうだね。そういえばボクも、闇グマが洞窟の外に出てきたところは、一度も見たことがないよ」
「そうでしょう?
でもそんな闇グマたちが、実は、洞窟の外で暮らしていたらしい跡がみつかった、っていう話があってね...」
「だから、光をさえぎるものがない場所で、あの闇グマたちが生活できていたっていうことは...。もしかしたら、むか〜し昔のその昔、この光あふれるお空が、実はずっとまっ暗な時代もあったんじゃないか?...っては〜な〜し」
「この話を、信じるか信じないかは...」
「あなた次第です!」
フレアとアティカは二人で一緒に、今日も最後の決めゼリフをバッチリ決めた。
「母ちゃん、すご〜い!」フレアは今日も大満足の笑顔である。
「ただ、...まぁ、そうは言ってもさ、この空がぜ〜んぶ真っ暗だったっていうのは、ちょっと大げさな気がするけどね」
フレアは目の前の青空を、もう一度眩しそうに見上げると、
「だってさ、もしこの空をぜ〜んぶまっ暗にするならさぁ、これをぜ〜んぶスッポリ、洞窟の中に入れちゃうってことでしょ?」
——— そんなのムリムリ
フレアは笑いながら、大きく首を横に振る。
「あら、あなたもやっぱりそう思う?」 アティカは笑顔でフレアを見つめると、
「まぁ、これが"アティカの 村伝説" 、っていうことで、ね?」
フレアに向かって軽くウィンクした。
「あ、ねぇねぇ母ちゃん。"アティカの村伝説" は、他にはもうないの〜?」
フレアは「おかわり」と言わんばかりに、アティカにぐいぐい迫っていく。
「もちろんあるわよ〜。実はねぇ...」
「私たちがみんな持ってる、この "しずく" がね。
実は、たった1人のおじいさんが作っているんじゃないか?...っていう話があってね...」
「え〜、なにそれ〜?
さっきよりもさらにヘンテコな話〜。
やっぱりさすがは母ちゃんの "村伝説" 、だねっ」
思わず吹き出すフレアと一緒に、「そりゃ、そうよねぇ...」と、アティカも腹を抱えて笑い出す。
——— 今日もいっぱい笑ったなぁ
この光あふれる空のもと、満面笑顔のフレアを見つめて、今日もアティカは幸せな気持ちで胸がいっぱいになった。
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