
16. 小説MCH - フレアと母「ただいまー!」(修正vol.5 2024/3/5)
「ただいま〜!」
その時、手を振りながら、いつもの聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あ、母ちゃん!お帰り!」
「フレア、今日もしっかりお留守番してた?」
「うん!もちろん!」
フレアはいつもの満面の笑顔である。
「あ、あのね!ちょうどさっきね、父ちゃんが帰ってきてたんだよ」
「あら、ラルフ帰ってたの?」
アティカはラルフを探しに家の中を覗き込む。
「...で、たった今、またどこかに出掛けて行ったとこ!」
フレアは、ラルフが走って行った方角を指さした。
「あら、なぁ〜んてこったぁ〜!」
アティカは、少し大げさに驚いてみせると、
「母ちゃん、なにそれ~?w」
フレアと一緒に声をあげて笑っている。
「それにしてもラルフさん。せっかくなんだし、もう少し一休みくらいしていったらよかったのに。
...でもまぁ、それが彼の仕事なんだから、しかたないか。しっかり働いてきてもらわないとね」
アティカは、ラルフが走っていった方角に、一人大きくうなずいた。
「あとそう言えば、アオさんがね、"母ちゃんによろしく" って言ってたよ」
「あら、アオさんも来ていたの?」
「うん!ほらこれ、いいでしょ〜」
フレアは、さっきアオからもらったばかりのバッジを、自慢げに母に差し出した。
「あら、これはなぁに?」
「これはね、アオ郵便のお客さんの証だよ。アオさんがね、"これをもっていたら、どこにいても伺いますよ" って」
「え〜っ? "どこにいても" は、ちょっと言い過ぎじゃないのぉ?
でもまぁ、なかなかすごそうねぇ。今度私もアオさんに、そのバッジを一ついただこうかしら」
「それはいいかも!そしたらさ、ボクと母ちゃんで手紙を送り合ったりしてさ。なんだか、いろいろ楽しくなりそうだよね!」
どうやらアオの "やりま〜...せん!" が、どこからか聞こえてきそうな会話である。
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