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見知らぬ人から
よく行くスターバックスがある。そのお店のカウンターで、いつもドリップ珈琲を注文する。ある時にバリスタさんから「kiyoくんに他のお客様から預かりものがあります」と英字新聞を手渡された。ドキドキした。友人知人には英字新聞を読む人はいない。僕も読む習慣は無い。
何かメッセージはないかとページの間を探すが何も無い。暗号の様なモノはないかと逆さに新聞を見てみたり、光に透かしてみたりするが何もわからない。ひょっとしたら、スパイが渡す相手を間違えて、僕は事件に巻き込まれたのかもしれない。追われるのかと一瞬頭をよぎるが、映画の観すぎだと自分で落ち着かせる。他の誰かと間違えたのだろう。英字新聞をカウンターに返した。
実は以前にもカウンターで手紙を預かっていたと、いただいたことがある。お手紙を読むと、偶然カウンターで隣になった人から映画のチケットを買ってくれないかと頼まれて、数枚購入した事への礼状だった。
CAFE、喫茶店、珈琲屋さんは僕にとってのパワースポットだ。偶然隣に座った人と知り合いになったり、話しかけられたり、話しかけたりして親しくなり出会いが広がっていく。
それからもスターバックスに行っている。英字新聞は誰からのモノだったのかはまだわからない。僕も事件に巻き込まれていない。まだ無事だ。でもカウンターで珈琲を注文する時に今でも少しドキドキしている。また何か手渡されたりしないだろうかと。
バリスタさんから小声で「綺麗な女性からアパートの鍵を預かっていますよ」とか言われたら、大事件だ。巻き込まれないようにしなければ。なんとしても。