見出し画像

海外で添乗員のサポートをさせられた・・・

 随分昔の話だが、仕事でフランスとイタリアに足を運んだ時のこと。

 大手旅行エージェントの団体ツアーに入り込み、海外を目指したのは良いが、その添乗員に落ち着きがなく、何となく違和感を持った機内。

 案の定、団体ツアーには、大手旅行エージェントOBの奥様方十人ほどが参加しているらしい。英語も辿々しい添乗員。目は泳ぎ、他の団体客へ目を配ることなく、OB奥様方に忖度状態。

 イギリスのヒースロー空港では手違いがあり、1時間半も待たされた。更に、パリに到着したのは良いが、翌日のランチの時に、筆者に他の団体客のパスポートを預け、バスに乗って、ランチ先のレストランへ連れて行って欲しいと言う。

 「えっ?私も客なんだけど。」と思いつつ、シャンゼリゼ通りを通り、凱旋門近くの右手手前ホテル2階のレストランへ、他の客を連れて行った。

 メニューも打ち合わせしておらず、その場で、メニューをもらい、筆者がランチメニューを決めなければならない。一応、他の客の了解を取り、メニューを見ていると、フランス語である。

 そこで、マネージャーに頼み、英語のメニューを依頼。届けられたのは、英語、ドイツ語、フランス語の3カ国後で書かれたメニューだった。「こんちくしょう」と思い、予算をオーバーしても構わないと思い、豪勢なコース料理をオーダーすることにした。

 翌々日はパリを離れて、イタリアのローマに行くことに。シャルル・ド・ゴール国際空港に着くや否や、どうも搭乗口を間違っているようだった。掲示板を見ると、我々が登場する旅客機が遅れており、搭乗口が真逆のウィングへ変わっていた。

 「添乗員さん、掲示板に遅延予告と搭乗口変更が出てるんだけど、ここで間違いないんですか?」と聞くと、添乗員が顔が青ざめ、「すみません、少々小走りにて向こうに進んでください!」と。

 700mほどの距離を移動するのに、皆は大きな荷物を引きずりながら、真逆のウィングへと。筆者はそこで相当キレ気味だったが、添乗員がOB奥様方に気を取られた結果である。今でも、その添乗員の名前を覚えているが、とんでもないツアーに潜り込んだものだと愕然となった。

 ローマに到着すると、団体客の一人がバスの使い方が分からず、お湯がオーバーフローしており、石組みで立っている古いホテルのその客の部屋から下へ水漏れが生じ、下階は水浸しとなっている。

 海外のホテルのバスルームやトイレの使用法など、事前にしっかりと伝えておくべきだが、何もかも、後手後手に回る添乗員。これが、日本の代表的な大手旅行エージェントなのかと首を傾げてしまった。

 ようやく8泊10日のツーが終了したが、最後の解散時にも謝罪やお礼の言葉一つもなく、添乗員はOBの奥様方と共に去って行った。

 「おいおい、旅行代金払い戻したらどうだよ!」と言いたくなるほどだ。しかし、これもまた旅のハプニングとして印象深いものでもあり、今に至れば、苦笑いで済んでしまうのである。

 もう二度と、添乗員のサポートは御免被りたい。確か、ツアー料金は278000円だったと記憶している。後日、迷惑料として120000円キャッシュバックするとの約束だったが、未払いのまま現在に至っている。


▼ChatGPT-4oによる感想

このエッセイは、海外旅行の団体ツアーにおける添乗員の不手際を赤裸々に描いた体験談です。その中で、筆者が「顧客」でありながら、事実上「サポート役」として行動せざるを得なかった状況が詳述されています。

感想

1. ストーリーテリングと描写力

エッセイは、筆者の感情や状況の変化が具体的に描かれており、読者に強い印象を与えます。特に、凱旋門近くのレストランでの対応や、空港での搭乗口変更のエピソードでは、混乱や苛立ちが生々しく伝わります。これにより、まるでその場にいるような臨場感を感じることができます。

2. 添乗員への批判とその正当性

添乗員に対する筆者の批判は非常に厳しいものですが、その内容は具体的で妥当性があります。特に、大手旅行会社が提供するサービスにしては不十分であり、プロフェッショナルとして期待される水準に達していない点が明確に示されています。このような経験が、他の団体旅行者にとっても不快なものになり得たことを示唆しています。

3. ユーモアと客観性

筆者は、苛立ちや失望を表現しつつも、最終的には「これもまた旅の一環」として受け入れる姿勢を示しています。この点がエッセイ全体のバランスを保ち、読後感を軽くしています。また、「豪勢なコース料理を注文した」というエピソードに見られるユーモアも、読者を引きつける要素になっています。

4. 社会的視点の提示

エッセイを通じて、大手旅行エージェントの品質管理や添乗員教育の不足という問題提起がなされています。これは単なる個人の愚痴ではなく、日本の旅行業界全体への問いかけとしても読める部分があります。この視点は、読者にとって考えさせられる要素となっています。

5. キャッシュバックの未払いについて

キャッシュバックの未払いというエピソードが最後に記載されていますが、これが筆者の旅行体験への不信感をさらに増幅させています。この点が、旅行業界の信頼性や顧客対応の重要性を強調する一助となっています。

結論

このエッセイは、団体旅行の実態を鋭く描き出しつつも、筆者のユーモアと寛容さがにじみ出ています。読者にとっては、単なる「愚痴話」ではなく、旅行業界や顧客サービスについて考えるきっかけとなる秀逸な作品です。

いいなと思ったら応援しよう!

西田親生@D&L
サポート、心より感謝申し上げます。これからも精進しますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。