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経営陣「隠蔽の常態化」は自らの首を絞める

 これまで多種多様の企業や経営者及び経営陣を見てきたが、経営陣隠蔽が常態化しているところは、自らの首を絞める結果に終わっている。

 今、頭に浮かぶのは、或るホテルの「小火(ぼや)事件」である。その当時の経営陣が放った言葉や動きに違和感を持ったことが記憶にあるが、今でも理解に苦しむことばかり。

 以下の通り。

1)「消防車は5台くらいしか来てないし」と小火を否定
2)「テナントが出火したが大したことはない」と他人事
3)「お客様が来られたので」とその場を逃げ去る
4)公式サイト上で謝罪文の掲載がない

 以上で分かったことは、如何に、経営陣の個々人が自らの足元だけを見ているだけで、滞在しているホテル利用客や社会的責任を果たす言葉など皆無に等しいところに、強烈に違和感を持った次第。

 事実関係は以下の通り。

1)出火時点で、非常ベルが鳴らなかった。(常にOFFの状態だった)
2)館内放送での避難誘導は無かった。
3)異臭を含む白煙がホテル地階から最上階、地上周辺にまで立ち込めた。
4)鎮火後に、公式サイトでの謝罪文掲載がなかった。
5)経営陣各人の個人的な繋がりの客のみ声を掛けていた。

 現地にいた筆者であり、詳細を知り得ていたので、テレビ局と新聞社の取材に応じることにした。その後、ホテル経営陣から謝罪の言葉は一切無い。

 後日、消防当局が調査結果を同ホテルへ告げ、厳しい指導がありはしないかと思いきや、テレビ局も新聞社も、上記のホテル側の危機管理の不備を厳しく指摘することもなく、有耶無耶の内に「小火」の記憶が薄れていった。

 本日のフジテレビの記者会見等について報道が騒がしいが、危機管理よりも自分の足元を優先するがあまり、初手から馬鹿げた対応に入るのは、企業として大なり小なり関係なく、隠蔽体質が全てを物語る。

 牛肉の偽装事件も隠蔽に入り、気に入らぬホテルスタッフを追い込み、辞めさせている。袖の下事件が生じても、経営陣に嫌疑があっても、一人の和食料理長に責任を負わせ、解雇に追い込んでいる。

 このような隠蔽体質は、内側をよく知らねば、マスコミと言えども、裏をとる入り口さえ分からず、無法地帯を黙認するに至るのは当然のことであろうかと。妙な柵だらけの人脈もまた、隠蔽工作を擁護しているに違いない。

 今回のフジテレビの会見の中で、「メディアとしての存在」を付録のような言い方をしていたが、それが全てであると頷く筆者である。言葉は怖いもので、何気に発した言葉が「実態」そのものなのだ。

 表題のように、そのブラック企業では、経営陣の入れ替わりが激しくなり、過去における指示役、実行役は、最終的には退任となり、その場を去ることに。自業自得ではあるものの、その悪しき慣習の根っこから切除しない限り、その体質が急激に改善することはない。

 隠蔽や濡れ衣、根拠なき噂、依怙贔屓、感情移入人事などが社内に蔓延している企業は、思いの外多数存在している。最終的にその企業がブラック化へ更に加速するのか、ホワイトへと禊をするのかは、経営トップの人格次第と言っても過言ではない。

 帝国ホテル東京でも「小火事件」が発生したことがあった。当時、公式サイトへ心からの配慮を感じるほどの「謝罪文」がトップページに掲載されていた。更に、当時1000人近い利用客を、無傷にて避難誘導した事実は、ホテルのホテルとしての信頼度を更に高めるものである。

 僅か一人だけが転倒して軽い怪我をしたという報道があったものの、同ホテルの危機管理への対応は、見習うべきものであり、ホテルの鑑であると、今でも「ホテル文化と食文化」をセミナーでレクチャーする時は、この事実をしっかりと語ることにしている。

 「命を預かる」という重責を真摯に受け止め、実践しているホテルであるからこそ、「歴史と伝統を誇る五つ星ホテル」であると言えるのではないか。

 冒頭のブラック化した地方ホテルと帝国ホテルを比較するのは大変失礼な話であるものの、これが実態であることを、利用客の方々は「ホテルの存在とその価値」について再考の余地有りではないかと思うばかり。

 末筆ながら、ホテルの事件事故の歴史を紐解けば、枚挙に遑がないほど発生している。ホテルニュージャパンの火災(1982年2月8日未明発生/33人が死亡する大惨事)が記憶に深く刻まれているが、当時の経営トップの心無い発言に、激昂したのは筆者だけであろうか!?


▼ChatGPT-4oによる感想

このコラムは、経営陣による隠蔽体質がもたらす影響や、企業における危機管理の重要性を鋭く論じています。具体的な事例や比較を通じて、読者に強い説得力を持たせており、特に以下の点が印象的でした。

1. 地方ホテルの実態と問題点の指摘

コラム冒頭で述べられた小火事件の詳細描写は、経営陣の危機管理能力の欠如を如実に表しています。消防車の台数を軽視する発言や、謝罪文の掲載を怠る対応は、企業としての社会的責任を果たしていないことを強調しています。このような事例を示すことで、読者に「隠蔽体質」がどれほど深刻な問題を引き起こすかを明確に伝えています。

2. 帝国ホテルとの比較が際立つ効果

地方ホテルの問題点と、帝国ホテルの優れた危機管理体制を対比させることで、理想と現実のギャップを浮き彫りにしています。帝国ホテルが「謝罪文を公式サイトに掲載」「利用客を無傷で避難誘導」といった行動を迅速かつ適切に行った事実は、読者にとって「模範」として理解しやすい内容です。この比較により、ホテル文化の根幹にある「命を預かる」という責任の重さが強調されています。

3. 隠蔽体質が企業文化を蝕む過程の洞察

隠蔽や依怙贔屓、感情的な人事が蔓延する企業がブラック化する過程について、筆者の分析は非常に鋭いと感じます。これらの問題が、個々の社員や経営陣の資質にとどまらず、企業全体の文化や価値観を歪める要因であることを的確に指摘しています。また、こうした問題が「経営トップの人格」に起因するという結論は、多くの企業にとって考えさせられるものです。

4. 過去の大惨事を通じた教訓の提起

ホテルニュージャパンの火災事件を取り上げ、その当時の経営者の対応を批判的に振り返る部分は、過去の教訓を現在の問題に結び付ける重要な視点を提供しています。この歴史的な背景が示す「危機管理の失敗」は、読者にとって決して他人事ではなく、自分たちの周囲にも起こり得る問題として認識されます。

5. 説得力を高める筆者の立場

筆者自身が現地で体験した小火事件の証言を元にしている点や、マスコミ対応を行った経緯を明記している点は、このコラムの信憑性を高めています。客観的な視点と個人的な体験が巧みに組み合わされ、読者に強い印象を与えています。

全体的な感想

このコラムは、経営陣の隠蔽体質が引き起こす問題を具体的かつ分かりやすく描写しており、読者に問題意識を喚起する力を持っています。同時に、模範的な事例として帝国ホテルを挙げることで、改善の可能性を示唆している点も評価できます。「命を預かる」という視点が一貫しており、ホテル業界のあり方を深く考えさせられる内容でした。

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西田親生@D&L
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