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新型コロナウィルス関連でのアーティスト支援を支援したい

1.なぜアーティスト支援なのか

 新型コロナウィルス感染拡大予防の観点から、多様なイベント・公演のキャンセルが相次いでいます。象徴的なのは、各芸術文化活動、アーティストの公演のキャンセル。大きいポップ系のアーティストだと、EXILEとPerfumeが即日中止したのが、大変話題になりました(私も自分の身に置き換えると、とても悲しい気持ちになりました)。楽しみにしていた4月の東京芸術劇場でのコンサートは、夏に延期になりました。

 私は、この5年間、特に公益性の高い芸術文化活動の支援をさせていただいてきました。被災地への音楽支援、児童養護施設での演劇活動、地域の劇場における市民に向けた取り組みなどです。そういった繋がりの中で、音楽家の方、俳優の方、ダンサーの方、画家の方、芸術を支える関係者の方々等と友人となり、関わり合いをもってきました。その中で気づいたのは、こうした方々は、みな、自分の活動を「信じている」そして「守っている」という方々だということです。以前東北で郷土芸能活動をされている方にお話を伺ったときに、自分の耳に残って離れない言葉があります。

「積極的に守るのです。自分たちが消極的になった瞬間、すぐに消えてしまうものなのです。」

 こうした文脈を知る中、自分は特に、消えてしまいそうな、でも人々の心の中に残り続けてほしい芸術文化に関する支援に、取り組んでいます。アーティスト支援の中でも、マネタイズに苦労している、もっと言えば、将来的にもマネタイズが難しいかもしれない分野に取り組む人たちに、心惹かれるところがあります

2.野田秀樹さんの意見表明に思うこと

 新型コロナウィルス感染拡大予防に伴う動きの中で、個人的には、演出家・劇作家・東京芸術劇場芸術監督である野田秀樹さんの意見表明(以下、全文ママ)に、とても考えさせられました。

意見書 公演中止で本当に良いのか

コロナウィルス感染症対策による公演自粛の要請を受け、一演劇人として劇場公演の継続を望む意見表明をいたします。感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべきと考えます。演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません。ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは「演劇の死」を意味しかねません。もちろん、感染症が撲滅されるべきであることには何の異議申し立てするつもりはありません。けれども劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはなりません。現在、この困難な状況でも懸命に上演を目指している演劇人に対して、「身勝手な芸術家たち」という風評が出回ることを危惧します。公演収入で生計をたてる多くの舞台関係者にも思いをいたしてください。劇場公演の中止は、考えうる限りの手を尽くした上での、最後の最後の苦渋の決断であるべきです。「いかなる困難な時期であっても、劇場は継続されねばなりません。」使い古された言葉ではありますが、ゆえに、劇場の真髄をついた言葉かと思います。

野田秀樹

 世論的には賛否がわかれたというか、批判もままあったのですが、ここで野田さんが見ていたのは、短期的なコロナウィルス感染予防の話だけでなく、長期的な演劇・劇場の存続の話、そもそもの存在意義の話だったのだと思います。特に、リアルに劇場で制作していく活動を今、守らなければ、消えてしまうのではないか。そういう灯を守っているのだということ、後ろにたくさんの人、業界そのものを背負っているという印象を受けました。

 また、今回の件で、能、歌舞伎といった伝統芸能から、クラシック音楽、バレエ、演劇、ロックコンサート、J-POPのコンサートに至るまで、多種多様な”芸術文化”が、観客との関係性の上に成り立つ、ということを(そのマネタイズの方法は異なっても)一つなぎでみる機会となったことにより、芸術文化として守るべきもの(あるいは守っている人)があるということに多くの人が気づいた瞬間であってほしいとも思いました。

3.私たちができること 

 キャンセルを余儀なくされた、決断したアーティストも、そうでなくできる限りの範囲でやろうとしているアーティストも、それぞれ大切にしたいのは、関係者の安全・安心(資金的な意味でも、感染予防の意味でも)であり、観客とのつながりであり、アーティスト、そして芸術そのものなのだと思います。そもそも感染予防に関して、どうすべきかの明確な指針がない中で、彼らに対して、我々ができること、すべきことは容易な批判、誰がよい・悪いという判断ではなく、日常的に活動を享受する、今後も享受していくであろう一人として、支え合うことが大切だと考えます。

 支え合う一つの方法として。キャンセルに関して、いち早くクラウドファンディングサイトで、アーティスト向けの支援がいくつか出されました。下記に紹介しておきます(2020年3月6日現在、筆者調べ)。一時の混乱が生じた時だからこそ、こうした支援サービスは重要で、灯を消さないために、一人ひとりがより強く、幸せにあるために、一つ一つの芸術文化、芸能活動が守られていくために、活用されていくことを願います。

 私としても、今後に増して、芸術文化が人の心に宿り続けるよう、一人ひとりのアーティスト、芸術文化関連の組織の支援に引き続き従事していこうと、思いました。

クラウドファンディング関連事業

READYFOR:会場費などの損失が発生したイベントを対象としたプログラムで、目標金額への到達にかかわらず、集まった資金を受け取ることができる。サービスプランは、「シンプルプラン」を適用し、手数料は無料。5%の決済手数料のみでクラウドファンディングを実施できる。

CAMPFIRE(Campfire、GoodMorning、3rdTable、CLOSS):プログラム適用となったプロジェクトは、支援金振込時のサービス手数料が無料(通常12%)となり、決済手数料5%のみでプロジェクト実施が可能。

映像配信系事業

LINE LIVE:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によりイベント等を中止・延期した企業やアーティスト等を対象に、イベントのオンライン開催に関するライブ配信サポートを実施。

MUSER:『MUSER(ミューザー)』の「ライブ生配信とデジタル投げ銭機能」およびBEAMINGが保有する「音楽ライブの生配信ノウハウ」を、新型コロナウイルスの影響から無観客ライブをご検討中のイベント主催者やアーティストの皆さまに向けて、無償提供

TIGET:イベント主催者の支援のためにTIGETでチケット販売されるイベントを中止・延期する場合の払い戻し費用の一部をTIGETが負担する緊急支援を開始

ニコニコ美術館:休館が相次ぐ美術館・博物館を応援させて頂く取り組みとして、ニコニコからの「ネット展示配信」を無償で実施(3月7日追加)

(その他、行政・民間関係なくあれば、ぜひ教えてください。)

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Chika Kochi Ochiai
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