桃田VS奈良岡戦消滅、全日本総合選手権というコンテンツの終焉
今年の全日本総合バドミントン選手権はTOP選手の出場辞退が相次いだ。混合ダブルスのワタガシペアは早々に欠場を表明。そしてホキコバ、シダマツ、ナガマツのダブルス陣、西本拳太、山口茜もトーナメント表に名前が載らなかった。
確かにオリンピックレースのポイントにもならないし、賞金もない。しかもここ数年の傾向として、世界ランクが上位にあれば全日本総合選手権で結果を残さなくても代表を外されることもなくなった。
もうこの大会は春に開催されているランキングサーキットと同じくらいのグレードに成り下がりつつある状況なのだ。
それでも一つだけ、この大会では目玉カードが期待された。それが男子シングルスの桃田賢斗VS奈良岡功大だ。二人が準決勝まで勝ち上がれば実現する。歴史的にも意義のある大一番だ。
その中継が有料放送でしか見ることができないのはちょっと残念ではある。まだバドミントンはお金を払わない層にも観てもらってさらに大衆の心にさしていかなければいけないステージなのだ。
まぁ、それはそれとして。どうしてもこのカードは観たいのでフジテレビにお金を払ってコンテンツを購入した。で、今日の、しかも試合開始直前での「奈良岡選手棄権」の発表である。
これでなんとすべての種目の国内ランキング1位が欠場をしたことになる。格闘技興業なら「金返せ暴動」レベルの話だ。
今日の奈良岡選手を責める気持ちはない。国際大会の舞台で一年中他国のエースと「毎日が全日本総合決勝」のような戦いを続けているA代表の選手に対し、全日本総合選手権という昭和の時代から続く仕組みと価値を押し付ける方に無理があるのだ。
このままいくと同じようなことは来年以降も繰り返されるであろう。これは放映権を買ったテレビ局とファンに対する大きな裏切りである。全日本総合選手権はその在り方を根本から見直す時期に来た。待ったなしだ。
そんな中、今年、協会の会長に元Jリーグチェアマンの村井満氏が就任されたことは一つの希望だ。その手腕に大きく期待をしたいところである。ファンの皆さんもぜひ、厳しい目で村井さんの仕事力に注目してほしい。