父が亡くなった話<5>
ほぼ寝ない状態で日付が変わっているので感覚がおかしくなりますが、
<3>の終わりの時点で日付は切り替わって26日の朝、
父が亡くなってまだ三日目です。
とうとうリアルタイムで書く時間もなくなってしまい
気がついたらもう6月も終わってましたね。
今書かないと、あまりの寝ていなさすぎにすべて忘れてしまいそうなので、
備忘録代わりに頑張ります。
日程表見ながら必死に思い出しています。
ひとりふえる
準夜勤で真夜中に家に帰ってから、寝ないまま旅支度したT某が東京駅に向かっているであろう早朝の時間。
テンション高くなって喋り続けていた妹Wが少し落ち着いたので、わたしも少し眠ろうと寝室に引っ込んだものの、断続的に目が覚めてしまいます。
この日は確か、結局妹はほぼ寝ていなかったんじゃないかな。
わたしも何度目かの覚醒で、えきねっとのお知らせで、T某が新幹線改札を通過したことをベッドの中で確認し、眠る努力も虚しくなって起き出す。
朝の清掃が入る頃にはそれぞれ身支度を済ませ、
この日は、妹Wは、ハローワークに紹介された講習に参加するとかで、朝から出かけ、ついでに実家を少し片付ける、とのこと。
そんなの、葬儀日程が終わってここを出たら、みんなでやればいいのに、テンションが高くなって、勢いがついているので、思い立ったことをなんでもやろうとするのです。
そしてそのWがいなくなったあとで、納棺その他の打ち合わせにスタフさんがやってくる。
遺影を決め、祭壇やら棺やら花やら諸々を決めていくのだけど、スタッフさんは、わたしと末妹しかいないことに気づき、
「皆さんお揃いじゃなくて大丈夫ですか」
「気にしないでください」
お決まり通り、棺の中や上に使う花の話時には、「花なんか一切不要」みたいなわたしの淡泊さに面食らっていたようで、
祭壇の花と、遺体の周りに飾る花に関しては、妹の意見も合って採用しましたけど、でなかったらすべて不要と押し通していたかもしれないです。
ていうか、火葬場で棺の上にのせる花は二人揃って「不要」の回答を出したところ、
「では、会員様の基本プランの中に5000円分含まれていますので、その分だけお作りしますね」
早く言え。
基本はこれだけあります、後はオプションでこういうのがあります、的なことを最初に改めて説明するべきでは? と思ったけど、向こうも商売ですからね。
わたしは湯灌も不要じゃないかくらいの勢いだったんだけど(義父母の時はやってないです)、母の時はやっているし、つりあいというものがあるらしい。妹もこれは省こうとは言わない。なので、結構お高いですが、お願いすることにしました。
そしてこれに関しては、自分の認識をちょっと後から反省しました。
遺影は、前にT某と遊びに来たときに、父と並んで撮った写真の表情がとても良かったので、それを採用。
首から下の服に関しては、あまりかっちりしてないスーツが良かろうと、茶色のスーツを選び、朝の話し合いは終了。
午後の納棺の前に、駅までT某を拾いに行かなければいけませんが、
全員でぞろぞろ行くこともないので、ここは末妹Oにお願いし、わたしは留守番。
打ち合わせを終えて安心したのか、わたしはおなかがすいてしまい、
入れ替わりで戻ってきたWに留守番させて、お弁当を買いに行きました。
とんから亭のおかずセットを買っていったら、とんかつがおいしくてWが感動していました。
午後は、納棺です。
棺に納める
こちらは親族全員が揃い、
「納棺の儀」としてお坊さんがいらしたあとは、湯灌と納棺です。
湯灌をする方がそのまま納棺をするそうで、呼称としては納棺師なんだそうです。
今回は、男性と女性の二人。
安置室代わりの居間が、そのまま湯灌の場になります。
眠るような顔で亡くなっている父は、作られた湯船の中で、気持ちよさそうにしています。
親族が間近まで呼ばれ、タオルから出た足先と、髪を洗うのとを声をかけられて、
別に父が亡くなったことで悲しいとか言うのは全くなかったんだけど、
T某が髪を洗い、乾かしているのはちょっとぐっときてしまった。
足は次妹Oが洗ってました。
洗髪の後は顔を洗い、ひげそそって、パックしていました。
一通り清めて、着物を着せられた後は、旅支度の仕上げにまた声をかけられる。たびを履かせ、草履を履かせ、パックをして化粧のりがよくなったところに保湿のリップやらをして、ひととおり整えて棺に入れた後で、花を添える。
誰も泣かない、悲しまない、奇妙な遺族に見えただろうけど、この頃から更に雰囲気は明るくなって、
納める花の位置とかで笑いが絶えず、
あんなに父を嫌っていた末妹のOも笑顔で花を納めていて、
湯灌の流れから、なんだか気持ちが落ち着いたのかなぁ。
わたしは不要だと思ってたけど、こういう儀式が必要なひともいるんだな。
余裕がある人は、やってもいいんじゃないかな、って、思った。今回は全部父のお金ですしね。
湯灌が終わると、スタッフさんが完成した遺影のサンプルを持ってやってきました。
見てびっくり。
選んだときは全く意識してなかったんですが、全員揃って、
「そういえば、こんなスーツ、いつも着てた!」
人間の記憶ってすごいですね。
つづく