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映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」感想

 一言で、役者の癖はそこそこあるものの、タイムループ物としては微妙で、内輪系のB級作品でした。世間では高評価のようですが、人を選びそうですね。残念ながら、私には合いませんでした。※殆ど褒めてないので、本作を好きな人は、ここから先は読まないでください。

評価「E」

※以降はネタバレを含みますので、未視聴の方は閲覧注意です。また、殆ど褒めてないので、本作を好きな人は、ここから先は読まないでください。

 本作は、CHOCOLATE Inc.所属の竹林亮監督による劇場映画2作目で、竹林氏と夏生さえり氏の共同脚本、ジャンルは「お仕事×タイムループ」です。
 竹林氏の作品について、2021年3月に商業映画デビュー作となる青春リアリティ映画『14歳の栞』が公開され、1館からのスタートからSNSで話題となり、36都市まで上映が拡大しました。
 本作も、3館で先行公開ののち、拡大上映となりました。所謂、『カメラを止めるな!』と同じく、最初は小規模上映ながら、口コミで広まった作品です。
 ちなみに、竹林監督の過去作には、夏生氏との共同脚本を務めた、あさぎーにょ主演のYouTube短編映画『ハロー!ブランニューワールド』(動画名:もう限界。無理。逃げ出したい。)があり、国内外で5000万回以上再生され、国際短編映画祭ブランデッド部門にて優秀賞を受賞しました。 
 また、すべての工程をインターネット上のみで仕上げたリモート演劇『Bestfriends .com』はメディア芸術祭の審査員推薦作品に選出されました。 

・主なあらすじ

 過酷な労働環境の小さな広告代理店で働く吉川朱海たち。次から次に降ってくる仕事の影響で、オフィスに泊まって迎えた「月曜日」の朝。しかし、それは「鳩が窓ガラスに激突した衝撃で一同が目覚める」という気分の悪いものでした。  
 そこに部長が出勤してきて、吉川は仕事を再開しようとしますが、後輩の遠藤と村田から「僕たち、同じ一週間を『繰り返して』います」と告げられます。しかし、余裕のない吉川は聞く耳を持たず仕事に戻ってしまいます…。
 二人が吉川に対し粘り強くタイムループの根拠を示し続けるうち、ある月曜の朝、吉川は鳩の窓ガラス衝突を契機に記憶がフラッシュバックし、自身が「タイムループ」していることを認識します。
 また、二人は「タイムループの原因は部長が身に着けている怪しいブレスレットにある。あれを彼が破壊しないとこのループから脱出できない」という推論を吉川に伝え、吉川→森山→平→部長の順で上伸し、全員にタイムループを認識させる作戦を提案しますが…。

・主な登場人物

・吉川朱海:円井わん 
  野心を持って仕事にあたる、広告代理店の女性中堅社員。同業他社の木本事務所からヘッドハンティングを受けており、今受けている案件を成功させようと躍起になっていますが、仕事の多忙さから恋人と上手くいっていません。

・永久茂:マキタスポーツ
 吉川らが働く広告代理店の部長。漫画雑誌を片手に出勤していますが、手首にはいつも怪しげなブレスレットをつけています。

・遠藤拓人:長村航希
 吉川の後輩社員。会社のタイムループにいち早く気づきます。仕事が終わったら有休をとって海外に行く予定です。

・村田賢:三河悠冴
 吉川の後輩社員。眼鏡をかけた吉川の後輩社員で、会社のタイムループを吉川に伝えます。『ヌー(ムーがモデルと思われる)』の読者です。

・森山宗太郎:八木光太郎 
 吉川の対面の席の同僚で、アイドルグループ・lyrical schoolのファン。

・平一郎:髙野春樹 
 仕事人間である吉川の上司。部長からも信頼を置かれています。

・神田川聖子:島田桃依
 吉川の同僚の事務員。影が薄いです。

・崎野雄大:池田良 
 吉川を誘う木本事務所の社員。納期の厳しい、味噌汁専用炭酸タブレットの広告の仕事を吉川に依頼しています。

・木本貴子:しゅはまはるみ
 木本事務所の社長で、吉川が憧れる業界の有名人。

1. 役者の癖はそこそこあるので、嵌る人は嵌るかもしれない。

 本作は、主演の円井わんさんを始め、殆どの俳優さん方は、知名度としてはマイナーな方々のようです。
 顔と名前がわかる俳優さんは、マキタスポーツさんと、『カメラを止めるな!』に出演されたしゅはまはるみさんくらいでした。
 所謂、無名の若い役者さんと監督とで作った劇中劇低予算映画で、『カメラを止めるな!』と似たようなジャンルになります。
 口コミでジワジワ拡散されているのか、劇場には意外と人が多く入っていました。
 最も、主演の円井わんさんは、癖の強い演技が印象的だったので、売れそうです。

 本作の良い点を挙げるなら、「以上」です。ここからは褒めてないので、読みたくない方はここでお別れです。

2. 笑いのツボが合わず、体感時間がとてつもなく長く感じた。

 本作、前評判が良く、観ている方もチラホラいましたので、面白いのかな?と思って鑑賞しましたが、私には全く合いませんでした。残念でした。
(期待値を上げすぎたのかもしれませんが。)

 まず、笑いのツボが合わなかったのか、とにかく面白くなくて、笑えませんでした。ジャンルとしてはコメディーなのでしょうけど、自己満足系・内輪系・身内系の匂いがプンプンしてきて、観るのがしんどかったです。
 特に、「鳩のポーズ」や「味噌汁専用炭酸タブレット」のようなトリッキーな行動や物を流行らせたい意図を感じました。

 また、タイムループを繰り返すせいで、同じシーンが何度も挿入されるのは承知の上でも、起承転結の承→転に行くまでが長いので、展開にメリハリを感じられませんでした。上映時間が82分とは思えず、2時間近く感じて、途中で何度も眠くなりました。

3. タイムループ作品としては凡庸だし、緊迫感も達成感も意外性も感じられない。

 本作はタイムパラドックスものなのは理解しますが、その仕組みが雑で伝え方も微妙だったと思います。そのため、緊迫感も達成感も意外性も感じられませんでした。

 タイムループを扱った作品といえば『時をかける少女』や『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』などがあり、それぞれオリジナルのアイデアやギミックがあったりしますが、本作ではこれと言って特筆するような要素が何もありませんでした。

 タイムループという着想自体は悪くないのです。でも、本作の場合は、設定の穴が多すぎるように感じました。

①例えば、繰り返される一週間、社員達は帰宅していないのでしょうか?もし帰宅していれば、家族がいても、独居でも、タイムループしているせいで、人の発言・SNS・テレビ番組などが「同じ」内容だったりするはずなのに、これに誰も気が付かないというのは、無理があります。実際に吉川は何度も彼氏と電話していたし。彼氏は何とも思ってなかったのかな?
 後に、二人だけ毎日きちんと帰宅している人物(部長と事務の聖子さん)がいることはわかります。聖子さんはタイムループに気づいていたものの、やはり部長が気づかないのは不自然でした。

②本作のタイムループ範囲は、広告代理店のオフィス内だけではなく、外の世界も含まれているようで、例えば窓にぶつかる鳩や、横断歩道で女性が落としたハンカチを拾う男性などの行動が繰り返されるのは確認できています。
 それなら、尚更なぜ世界中の多くの人々が「自分たちは同じ一週間を繰り返している」と気づかないのでしょうか?

③タイムループするのは「物質」のような外面的な物だけなのか、それとも「意識・思考・記憶」といった人間の内層的な物もループするのか?そこも曖昧でした。
 もし、記憶までリセットされてしまうのなら、再び月曜日に戻っても、皆の前週の記憶は消えてしまっているので、タイムループ自体に「誰も気づかない」と思うのですが…

4. 漫画がタイムループの原因としてもシックリこない。

 社員達は、最初はタイムループの原因が部長の「怪しげなブレスレット」にあると考え、何とかしてそれを破壊しようと躍起になります。しかし、それは外れてしまい、また彼らは原因を再究明しないといけなくなります。

 結局は、「社長が描いた未完成の漫画」だったのですが、このオチを聞いても、何だかシックリ来ませんでした。この漫画は、「狐の呪いで人生を繰り返す男の話」で、部長がこの漫画を完成できず、出版社に出せなかった後悔がこの度のタイムループを引き起こしていたという結論が示されるのですが、部長が漫画を出せなかったことと、部下達の仕事には今ひとつ関係性を見出だせなかったので、「え、何その理由?」と疑問が拭えませんでした。

 しかも、部長の夢を叶えてあげれば、タイムループが終わるというなら、部下は社畜になれ、他社への転職も諦めろ、という恐ろしい考えも浮かんでしまいます。ある意味、社畜映画かよと突っ込んでしまいました。それも含めたブラックユーモアなら、まだわからんでもないですが。

5. こういうシュールな作風は人を選ぶのかな?

 うーん、こういうシュールな作風はとにかく人を選ぶのかな?と思います。私が観た回では、上映終了後に拍手が起こり、出ていく人達が「面白かったね~」と話していたので、私とは住む世界が違うのかなとさえ思いました。

 私自身、『カメラを止めるな!』も、一昨年映画ファンの皆様の中でバズった『映画大好きポンポさん』も合わなかったので、この手のB級作品とは相性が悪いのかもしれません…。最も、『カメラを止めるな!』は、ゾンビ映画は苦手だったものの、まだアクション演技やホラー的な反応はあって、まだ本作よりはメリハリがついていたと思います。好きな方はすみませんでした。

出典: 

・映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 」公式サイトhttps://mondays-cinema.com/

・映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 」Wikipediaページ

・PR TIMES 映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』が今秋公開!新感覚のオフィス・タイムループ・ムービー誕生
株式会社チョコレイトhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000351.000024007.html
※ヘッダーはこちらから引用。

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