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「三角屋根の奇跡」 〜夫婦で紡ぐパンとコーヒーの物語〜

 

  • 場所:葉山の海沿い「森戸海岸」バス停前

  • オーナー:中澤一道さんとゆかさん夫妻

  • オープン:2016年5月

  • コンセプト:パンとコーヒーを通じて、日常に寄り添う心地よい空間を提供


夫婦の原体験と出会い

一道さんの原体験

  • 群馬県高崎市で生まれ育ち、幼少期からものづくりが好きだった。

  • 祖父の木工細工を手伝いながら、手で何かを作り上げる楽しさを学ぶ。

  • 学生時代、土木工学を専攻し、都市の構造や空間デザインに興味を持つ。

  • 卒業後、ロンドンやニュージーランドで英語を学びながら、海外のカフェ文化に触れる。

  • 帰国後、ものづくり系の専門学校に進学し、雑貨+飲食を組み合わせた店舗開業を目指すが頓挫。

  • 「自分で飲食も学ぼう」と決意し、レコールバンタンキャリアカレッジに入学。

ゆかさんの原体験

  • 東京都国立市出身。幼少期、母と一緒にパンを焼く時間が何より楽しかった。

  • 焼きたてのパンの香りが家に広がる瞬間に、「食べることが人を幸せにする」ことを実感。

  • 高校卒業後、老舗ベーカリー「ドンク」に就職し、基礎技術を徹底的に学ぶ。

  • 都内のベーカリーで大量仕込みや発酵技術を磨き、職人としての経験を積む。

  • パン作りを通じて「おいしいパンは人と人をつなぐ」と実感し、地域に根ざしたパン屋を夢見るようになる。

二人の出会いと、なぜ一緒にやることになったのか

  • 二人はレコールバンタンキャリアカレッジで出会い、互いに開業を目指す同志として意気投合。

  • 違う専門分野を持ちながらも、カフェという共通の目標に向かう姿勢に共感。

  • 運命的だったのは、一道さんが千駄ヶ谷の「BE A GOOD NEIGHBOUR COFFEE KIOSK」で働いていたとき。

  • ゆかさんはコーヒーが苦手だったが、ここのコーヒーだけは「おいしい」と感じた。

  • 「なぜこのコーヒーだけ飲めるのか?」—— その疑問が、一道さんをコーヒーの世界へ導く大きな転機に。

  • 「食と空間で人をつなぐ」という共通の想いが強まり、一緒に店をやる決意をする。

  • 開業資金や経営の現実を考え、「一緒にやるなら結婚しよう」と自然な流れで夫婦に。

  • 物件探しを開始し、鎌倉の不動産会社の紹介で、葉山の土地に出会う。

  • 「ここなら、自分たちが思い描いたカフェができる」と確信し、店を作り上げることを決意。

  • 更地だった場所に、二人で細部までこだわった店舗を設計し、夢を実現させる。


建築・空間設計の特徴

デザインのこだわり

三角屋根のデザイン

  • 幼少期に憧れた「帰りたくなる家」をイメージし、心地よさを感じるフォルム。

  • 外観には木材を多用し、葉山の自然と調和するシンプルなデザイン。

三角屋根が象徴的なシルエットを作り、視認性と親しみやすさを高めている。

大きなピクチャーウインドウ

  • 店内から庭を一望できるように設計し、四季の変化を感じられる。

  • 自然光を最大限に取り入れ、明るく開放的な空間を演出。

  • 夕暮れ時には柔らかい光が差し込み、落ち着いた雰囲気を作り出す

窓際のロッキングチェアとペレットストーブ

  • 冬でも暖かく過ごせるように、ストーブを配置。

  • 窓際にロッキングチェアを置くことで、ゆったりとした時間を提供。

どの席からも庭が見え、外の景色と共にくつろげる設計。

中央の大テーブル

  • 無垢材のオーダーメイドテーブルを設置し、木の温もりを感じられる。

    • 一人でも、家族連れでも自然に馴染むよう、適度な広さを確保。

    • 大人数の来店時にも対応できる設計で、コミュニケーションを促進。

オープンキッチン式厨房

  • 作業の様子が見えることで、パン作りのライブ感を楽しめる。

  • お客様との距離が近く、会話が生まれる工夫。

  • 食材のこだわりや工程が見えることで、信頼感を高める。

丸窓のデザイン

  • パン生地の発酵する泡をイメージし、柔らかな印象をプラス。

  • 細部まで遊び心を取り入れ、カフェの温かみを表現。

ドアの取っ手

  • 木製のオリジナルデザインを採用し、手に触れたときの心地よさを追求。

  • 取っ手の形状や質感にもこだわり、店のアイデンティティを感じられる。

照明設計

  • 温かみのある間接照明を多用し、落ち着いた雰囲気を演出。

  • 夕方以降は柔らかい光が包み込み、心地よい時間を演出。

  • テーブルごとに照明の強さを調整し、それぞれの空間に最適な光を提供。

カウンターと棚の配置

  • 使い勝手を考慮し、動線がスムーズになるように設計。

  • 木の質感を生かした棚は、パンやコーヒー豆が映えるよう工夫。

商品が自然に手に取れる高さに配置し、視覚的にも楽しめる。

テラスと庭のデザイン

  • 店内と外の境界を緩やかにし、開放感を感じられる作り。

  • 天気の良い日は、外の席で心地よい風を感じながら過ごせる。

  • 季節の草花が植えられ、訪れるたびに違う表情を見せる庭。

関わった会社やデザイナー

  • ロゴデザイン:千駄ヶ谷の「PAPIER LABO.」江藤公昭さんが手掛ける。

  • 設計・施工

    • 設計士:友人である建築デザイナーと共同で設計。

    • 施工会社:「RENOZ(リノズ)」が施工を担当。

  • インテリア・家具

    • イス:カリモク60のチェアや特注のロッキングチェアを使用。

    • テーブル:オーナーのこだわりでオーダーメイドの無垢材テーブルを制作。

    • 棚・カウンター:手触りや経年変化を楽しめるように無垢材を使用。

  • 庭のデザイン

    • 造園:逗子の「Dande Lion Petit」による植栽。

    • 壁面緑化:ツタが徐々に成長中。

出典・参考記事


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