恋する少年のつぶやき
シリーズ「誰かのつぶやき」第三作目です
読んでくださると嬉しいです✨
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「大丈夫。私は君を信じてるよ。」
自信のなかった僕にそう声をかけてくれた部活の先輩。
先輩は誰もをまっすぐに見てくれる明るくて優しいひと。
僕たち後輩はみんな先輩のことが大好きだった。
でも、そんな先輩が僕は心配だった。
いつも笑顔を絶やさなかった先輩が、最近よく泣いている。
誰かにつられて泣くこともあれば、なんの前触れもなく目に涙が溜まっていくのを慌てて隠し、洟をすすっていたところも見た。
先輩は、もう限界なのではないだろうか。
もう心が壊れそうになっているのではないだろうか。
その考えが頭を過ったとき、僕は震えた。
先輩の心からの笑顔を失わせたくはなかった。
けど僕にはなにもできない。
ただの後輩である僕には。
僕は自分の無力さを恨んだ。
僕が彼女の同級生だったら。
僕が彼女の先輩だったら。
なにか変わっていただろうか。
いや。
僕は首を振る。
そんなことを考えたって仕方ない。
僕は先輩のその小さな背中を探した。
見つけたその背中は、いつもと違い少し丸まっていた。
「先輩」
僕は声をかけた。
僕があげられる一番の言葉を、あなたに伝えるために。