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彼氏と同棲中の女が婚約前にマイホームについて考えて不安になった話の後日談

不安を抱え始めたのは、ちょうどひと月まえほどの話。

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きっかけは、会社の先輩とプライベートな話をしていた時。最近、住宅展示場に行ったと話した私に、先輩からの
「家はいいよな、あれ?結婚は?」
という言葉を聞いてからだった。

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私は1歳年上の彼氏と同棲生活を送る女である。同棲して先月半年経過し、交際開始からはそろそろ1年半が経とうとしている。
私たちは同棲を初めて間もないころから、将来のマイホームについて話していた。
週に1,2回ポストに入ってくる住宅情報やネットの検索では飽き足らなくなってきた冬のある日に、私たちはとあるハウスメーカーのモデルハウスに足を踏み入れた。
とても感じの良い営業の人から話を聞いたり、一軒家という暮らしを体験したりしたことで、私たちの家づくりへの熱は沸点まで高まった。
「おしゃれなハウスメーカー見つけたよ」、「理想の間取りをつくってみたんだ」、「集合住宅展示場にいってみようよ」なんて、私たちの会話は家に関連することでいっぱいになった。
将来の話を、隣にいる人と当たり前にできることが、とても幸せで、楽しくて、何も怖いことも不安もなかった。家づくりはお金も時間もかかるけど、きっともうすぐ始まってもっと楽しい明るい未来が待っているのだろうという確信しかなかった。

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そんな浮かれ切っている私だが、同じタイミングで少しの違和感ももっていた。それは家づくりに関する現場で必ず繰り広げられる、
営業:奥さまですか?
私たち:「いえ、まだなんです///」
というコレだ。
はじめのうちは「私奥さんに見えるの?へへへ照れます」と浮かれる思いもあった。でもそればいつしか「そうか、ここは、奥さんと、来る場所なんだ」、とか、「奥さんに見えておかしくないけど、私まだ奥さんじゃないんだった」、という、実感となった。
でもまだ、言語化ができるようなものではなく、ただもやもやとあるものでしかない。
その場の数秒間の不和は、時間とともに表面では見えなくなくなるから立ち止まって考えるような問題とはまだなっていないものだった。

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「あれ?結婚は?」
家づくりについて深く考えていなかった私にとって、この客観から放たれた一言が、違和感ともやもやを思い起こさせるトリガーとなった。
「そうか、家づくり、は結婚をしてから考えるのか。」「一般的な順番と違っているのか。」「なんでほかと違うんだろうか?」「結婚もまだしていない、プロポーズもされていないのに彼氏と家について考えてるなんて友達や先輩に言っている自分、もしかしてイタイのではなかろうか???」
トリガーによってもやもやの原因を理解したと同時にすぐにそれは不安となって私に残った。

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私にとって、結婚というものは「考えてはいるが急いでいないしまだ先のこと」であったから、結婚を考える必要性はもちろん、不安になったり焦る理由はない。
ないのに、急にその言葉が頭の中を反芻して、深い深いところにある「結婚したい」という気持ちがふつふつと膨らんでいった。
結婚どころが婚約前に家づくりを考え始めてしまったという世間一般とのずれに気づいたことから生じた不安は、消えることは決してなくて、むしろどんどん大きくなって、それを止めることも、以前のように沈めておくことも、たぶんできなくなっていた。
年齢、交際歴、同棲をしていることなど総合的に考えて、結婚を考えるのは全く悪いことではない。
そしてその将来を思って不安になるのも当たり前。ここまでのことは何も問題はないのだが、ここからがこのテーマの問題となる。

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私の問題は、話す・聞くということができなかった。ということにある。
不安を解消するにはとってもシンプルで、「私たちっていつ結婚するの?」「家よりも結婚の話を先にしたいな」聞き方なぞ何でもよいが、とにかく話す・聞くということ、それをためらって前に進めなかった。

コミュニケーションを取って意志を確認するだけ、なんて書くとめちゃめちゃ簡単で、ためらうものではない、ということはわかっているし、そう思われてしかるべきなのも認める。ただ、わかっていても、小生、乙女にとっては、私たちの将来の話を切り出すのは容易ではなかった。

話をしなきゃ、いや、今日はちがうな、できないな、またでいいか、と考える日々が続いた。
そしてその時間の流れとともに、私の心にいろんな良くないことが浮かんでは、悲しくなる日が続いた。例えばこんな感じだ

  • もしかしてこのままプロポーズされないんじゃないかな

  • 結婚を待っていては(当初の私の人生計画では、同棲を2年してから結婚、というのを昔伝えていた)いずれ結婚するメリットと気力がなくなり、このままなんじゃないかな

  • 不倫とか離婚とか、そういう可能性を考えると、今のままが幸せなんじゃないかな

  • というかまって、他に女がいたりして?

  • というかまって、未練引きづってる元カノがいたりして?

  • というかまって、毎日同じ家に帰ってきてるけど、実は私の方がセカンドだったりして?

とかなんとか。妄想家もびっくり仰天なほどに、無限大に不安が押し寄せては消えずに溜まっていった。私は日を追うごとに、心が穏やかでいられなくなっていった。

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私たちの間で家の話はというと、実は何も進展はなく、停滞していた。
というのも、私が気付かされた日を境に、何も経緯の知らない彼氏に、「ちょっとしばらく家の話はやめてくれ」と突然抵抗し始めたからであった。
彼氏は忠実にも家の話をパタッとしなくなった。基本鈍感なはずなのに何か察したのであろう。
気をつかって家の話を避けているような、そんな気配があった。話題が少しでも「家」になると、こちらをチラチラ伺っては話せずくすぶっているようだった。
そんな様子をみて、はじめのうちはざまあみろと思っていた。
「早く気づけ!というか気づいているのか?」と、プロポーズの気配のない彼氏への抵抗作戦とその成功に面白がっていた。
でも次第にそれが意地悪しているような、申し訳ない気持ちに変わっていった。
それでもなかなか話は切り出せず、不安と罪悪感でどんどん押しつぶされそうだった。

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そんな私にも転機はやってきた。ある朝のことである。

工務店からのセールス電話があったと彼氏が切り出し、家の話が始まったことをきっかけに、私は自分の想いと疑問を伝えてみたのだ。

  • 奥さまですかと聞かれて奥様じゃないですというのがいやだったこと

  • この先、どんな人生設計になるかわからないのに、計画を立てられないのに、家を決め、部屋を決め、というのがいやだったこと

そして、

  • いつ結婚するんですか

ということ。

すごく勇気を振り絞ったし、
なんなら、何日間も押し込めてきた思いを口にすることで涙もでてしまっていたし。いつ結婚するの?に対して彼氏は笑ってたけど、ゆっくり話を聞いてくれて、話し合いができた。話の中で、私の疑問は晴れた。それに加え、私たちの将来が私の知らないところで計画されていることを知った。彼氏の供述は下記の通りであった。

  • プロポーズは考えている。日にちも決めている(なんと今年の上半期、だそうだ)

  • 決めているけど○月○日にプロポーズするよ~とは言えない、言わない

  • (子どもができないのに部屋だけあったって、という心配に対して)部屋なんてなんぼあってもいい、余ることはない

  • 私の仕事のことは考えてはなかったけど、自分だって(年収アップのための)出世できるかはわからないけど、わからないまま進んでいくしかない

不安が晴れてほっとしたのは束の間、
私はそのあと何日も、「もうすぐプロポーズされるのか~えへへ~」と顔の筋肉が緩んで治らない病に陥った。
何日もの間、もやもやしていたのに、勇気を出して、素直になって、言葉を振り絞ったら、そのあとは本当にすんなり進んだ。
壁を乗り越えた先は思っていた何倍もさわやかで、良からぬ妄想はまったくもって不要だった。

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こうして振り返ってみて、今思うことは、
あのひと月を苦しむ必要はなかった、ということ。
結婚していないことは、不安にならなきゃいけないような、また焦らなきゃいけないような事案ではないし、
私が勝手に不安になってただけだし、
そもそもこんなにも引きずらずにその日すぐに話して聞いてみればよかっただけだし。
話を切り出しにくい。焦ってるって思われたくない。という、「自分が傷つきたくない」というプライドがこの一連のエピソードにおける原因なんじゃないかなということ。

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26年もこういう人格でやってきた人間はすぐに変われないと思う。
それでも、話しにくいことを「えいっ」て話せるように特訓したい。結局傷つくのは自分だし、相手も辛いかもしれないからね。
私の目標は
こうやって日記に書かなくても瞬時に脳内で処理して、コミュニケーションをとって、悩まずに生きていけるようになることです。
でも時間をかけて、こうやって自分の感情を文字に起こして落ち着くのであれば、またやりたいし、結果悪くない時間で、人生の過程なんだなとも思ったりします。(は?)
ちょっとあきらめが滲んでいるように見える、私の決意で締めたいと思います。

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家の話はというと、結局進んでいません。
話し合いの時、半年以内に来るプロポーズの後で家の話でいいということになりましたので。(ちゃんとプロポーズしてもらえるように彼女頑張ろ)
この先、話が進んで建てるって決まった後も、多分これと同じかそれ以上の衝突がありそうだけど、それでも合意しながら決めて、建てて、楽しく暮らせたら、私は幸せだなと思います。

最後に言わせてほしい。
家って、めっちゃ高い。日用品のお買い物とは段違いで高い。
土地って、ノリでは決められない。これから死ぬまで一生そこにいるわけだし、「同棲始めます」とは段違いでハードルが高い。
そんな高くて、一生モノの、買いなおしの効かないお買い物、プロポーズも受けてない彼女からしたら、めっちゃ怖いよ。ニコニコしてるように見えるかもだけど突然、猛烈な不安に襲われてるなんてこともあると思うの普通。だからもし、同じシチュエーションの彼氏くんがこれよんでたら、アドバイスしたい。
家づくりの話、進めたいなら、まずプロポーズしな。彼女、奥さんになってからじゃないと、話の規模でかすぎて、本腰入れて考えにくいと思うから。(経験者は語る)

最後まで読んでくれてありがとう。いつか、彼氏と笑いながらこれを読み返せていますように。

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