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【20】私が「闘病」と言わない理由


「がん」と診断をされた異常な細胞。
もう、これ以上増えて欲しくない。

だけど

仲間を増やし広がり
「がん」になった細胞たちを
私は敵認定できない。


私の中に居る異常細胞は私の一部。


正常細胞として生きるはずだったのに
何かの理由でグレて
異常な細胞になった。

そして
一生懸命に集まったのは、きっと

「風の谷のナウシカ」に登場する
あの粘菌たちのように

不安だから、生きていたいから。


どんどん集まって
私の内に生じたのは
私の不調和が塊った「がん」


育たず小さく生を全うして
ほどけて、塊を解散して
正常細胞へ生まれ変わって欲しいと
結局願うのは、異常細胞の死。

がん細胞に死を望むくせに
本体の私は生きたい
生きていたい、少なくとも、まだ。


ありがとね
ごめんね
ゆるしてね
あいしてる


思い出すのは
かつて妊娠中にお腹に触れ
細胞が増え育つよう願った時期。

どちらも私の体内で育った細胞。

がん細胞の存在を知ってから
「わたし」を更に探索している。


闘病生活とか、癌をやっつけるとか
戦うとか、勝つとか、負けないとか
耳にする言葉は何か違う、私には。

だから、ずっと
「療養生活」と言っている。


ちいさく、ちいさく、ちいさくなあれ


どんどん小さくなっていくんだよ
正常細胞に生まれ変わっておいで
生まれ変わって私と共に生きよう。


進行性と言われている私のがん
私の一部
グレて拗ねた「がん姫」は
怒りを膨らませて増えた私。

抗がん剤も手術も
助けてくれるものと捉えたら
味方になるよ、力を抜いて
委ねてみるのもいいよと
優しく響かせて届けてくれる声

その愛情を有難く抱きしめた。

それでも、私は
抗がん剤も手術も嫌だった。

わたしは、わたしの全部と
もっと仲良くなりたい
仲良くなれば害扱いの「がん姫」は
つるんと無害になるんじゃないか
その方法をずっと探していた。


「リボーン洞戸」へ向かったのは、告知から3か月を過ぎた初夏。

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