【11】カミングアウト
「がん」という病名ラベルがつき私は揺れた。
治療方法は「標準治療」だとか「三大治療」と呼ばれるものに決まっててスケジュールも詰まってる。がんサバイバー先輩方がセカンドオピニオンを求めていたのは、診断や手術でどこまでどうするのかなど情報や選択を知りたいからなんだと実感。
だって、納得したいじゃん。
自分のことだし、自分の身体だもの。自分の命だもん。
ほとんどの人が病院の勧める治療が最良で安心だと思っている様子なのは、言葉に出す出さないにかかわらず態度や雰囲気で伝わってくる。
家族や友人にとって「大事な私」だから病院に行ってと言うのだろうけど、舵取りは自分でしたいの。
現実を怖がっている私と、自分で決めた道を進むと意欲に満ちた私、状況をどこかで面白がっている私が混在していて、それぞれが大きくなったり小さくなったりマーブル模様の配分はその都度変わる。
私は普段から感情の振れ幅が大きくて、病になって更に揺れているものの基本的に私は同じだった。病になっても私。
私だけでなく誰でも、もともとの自分が根底にあって、その上で、自分の一部である「がん」は身体からの声を伝えてきているんだ。
がんの問いかけは
「今のままじゃいけないよ、どうする?」
私の内側に大きな異常細胞ができたのはどうしてなのか腑に落ちた。
私の細胞が変化して形つくられた「がん」も私の一部。「がん」のお陰で気づけたことがたくさんあった。自分の命と向き合って自分を改めるチャンスをもらった。
「がん」の人にも、その周りの人にも
誰か全然知らない人にも
伝えたくなってビデオ撮りして掲載
(2021年2月27日)
大冒険のはじまりの意欲に満ちた私。食事療法のおかげで肌艶がいい。
規制が厳しいコロナ禍の為、仕事関係など対面以外で伝える必要があり、これを撮っておいたお陰で頭・体・心がちょっとだけ楽だった。
当時の診断は「直腸がん」だったけど「大腸がん」の方が分かりやすいだろうと勝手な判断で話していて、誤解を招くきっかけになった。
しかも、この先で「肛門管がん」と診断されるのは予想もしていなかった。
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